![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/b1/97b290e8ff693767889df926452a8d02.jpg)
■■■■■■■■■■リカレント■■■■■■■■■■
■「新しい波」
●「利他」(rita ) 人間は自分だけを考えるべきではない。
・世の中もある。
・国家もある。
少しは人のために何かしなくっては 心持のわるいものだ。
御前だって, そう、ぶらぶらしていて 心持のいいはずはなかろう。
そりゃ 下等社会の無教育のものなら格別だが、最高の教育を受け
たものが、決して遊んでいて面白い理由がない。
[学んだものは 実地に応用して 初めて趣味が出るものだからな」
夏目漱石 「それから」の一節(注)趣味=深い味わいの事
●漱石も言うように人間,よわい80歳を過ぎて、元気に前向きに
暮らしていると 「利他」の心境が少しは判ってくる。不思議であ
る。これが判ると 尚更の事、自分の浅学がほとほと情けなくなつ
て来る。
●「老いて学べば、死して朽ちず」(佐藤一斉)これが明治以来
の伝統的な日本人のカルチャーだった。
戦後この傾向は一端、すたれたに見えたが、人生百年時代を迎え
て生き生き学んで生きる、「リカレント」が台頭してくる。
私のような高齢者が,年をかまわず挑戦するのが「リカレント」
である。リカレントとは 「学び直す」という事、いま元気なシニ
アにとって人気のスローガンになっている。
■「老乱の時代」
●シニアの専門家に聞くと、かって多くの高齢者は、 定年後に、
居場所を求めて高齢者セミナーや、高齢者大学や生涯学習センタ
ーに集まったが、群れない性格の団塊世代に交代してからは、こ
れらの高齢者の学習施設は、総じて低迷しているという。
●いま話題の「リカレント」(学び直し)は、従来の高齢者学習
と異なり、定年後、改めて専門知識を修得するため、大学院に入
学するなど、極めて高度なものを言うらしい。
中でも立教大学大学院ビジネスデザイン研究科などは、社会人や
シニアの卒業生の活動実績も多く、このあたりが、今回の リカレ
ントのトレンドを主導している感じがしてならない。
最近、関西でも年齢に関係なく、定年の社会人にも門戸を開放す
る大学院が増える傾向にある。修士課程2年で学費は 私学入学金
ともで平均約200~300万円程度だという。
●一方専門家は、いま高齢者の約9割が「下流老人」に陥る危機
にあるという。 3350万人を数える 日本の高齢者の さまざまな
生きざまは解らないではないが、その格差からくる老後の貧困は
ますます広がる傾向にあるという。
その格差の要因の中には、経済や学力や生活意欲や、体力や生活
環境などさまざまとされるが、どちらにしても、貧困から抜け出
すためには他力本願は許されない。
本題の「リカレント」を語るとき、この下流老人の貧困問題を無
視することはできないが 老後の「流される暮らし」から「考える
暮らし」にシフトするためには、まず自分の暮らしの在り方を、
学んで前向きに変えていくことが、もとめられる。
■「老いの戦略」
●大手企業を定年しその後 JICAで活躍した私の知人の一人は、
最近、技術系大学院の博士課程を終えて 大学で教職につくという。
能力と努力あっての結果とはいえ、素晴らしい第2の人生ではな
いか。
●私の場合、ほぼ20年近く国際交流の活動を通じて、タイやア
ジアの人たちと交流を深めてきたが、一段落したところで 振り返
ってみると、その本質や、国際交流について 総論的な知識は ほぼ
頭に入っているが、各論の真髄に及ぶと、全く自信がない。
そこで これを機会に アジアやASEANの特に地政学的な見地や
歴史の視点からみた各論について、私なりの「リカレント」に挑戦
しようと考えている。
人生、何か目標のような確たる標的ができると、また毎日が楽しく
なるから不思議なものだ。
■「百年時代の波動」
●人生百年時代を迎え、教育、仕事、引退の 「3ステージ人生」
から「マルチステージへの人生」へのシフトを提唱したのが、
英国ロンドンビジネススクール、リンダ・クラっトン教授の著書
「ライフシフト」だった。
政府の働き方改革や定年延長や、長寿化に伴う高齢者の増加など
が背景あることは否めない。
しかし学びなおし(リカレント)が、一挙に台頭したのは、定年
後のシニアに、余後を生き生きと過ごしてもらうためだったので
はないか。
●先日「政府は、広がる社会人の学び直しのために5000億円を予
算計上」と読売新聞が伝えたところ、そんな予算があるなら、ま
ず大学の完全無償化を優先しろとの、世論が巻き起こつた。
日本は予算の大半を高齢者のための年金や医療など社会保障費に
食われているだけに、確かに明日のための教育投資が後手に回っ
ているという現実がある。
リカレントも教育の一環ながら、高齢者対象という事になると、
なかなか難しい問題が出てくる。かたや高齢者の貧困問題もある。
定年の70歳、延長問題もある。高齢者の認知症増加問題もある。
●日本では、早く1990から政府の生涯教育の取り組みとして
生涯学習制度が発足し府県市町村を中心に社会教育が推進されて
きた。
今回の「学び直し」リカレントの波は、民間や教育機関やNPO
主導で沸き起こってきた気配がある。、
■「リカレントのあり方」
●リカレント、高齢者の学び直しは、いろいろ多岐にわたるが。
その学び方には、常識的ながらゼロから学べるものだが、出か
けて学ぶかIT時代に即応してオンラインで学ぶものまで、カレ
ッジや大学院、そしてオンライン講座まで大きく分けて2つの方
法がある。
考えてみれば、便利になったものだ。それだけに 受講者の完結
する意欲が試される事になる。
1)「学教室方式」
リカレントに取り組むか否かは、夫々の選択肢と実行力に委ねら
れる。去年までは、北朝鮮危機が目前にせまり、一触即発の危機
状況だった。お陰でそれも回避され、いよいよ本格の平和が、や
ってきそうである。
いまこそ、年金と怠惰に甘えている時ではない。頭脳をフルに使
い、何かの社会貢献を試みるべき絶好の時でもある。
●英文学者で作家の外山滋比古さん95歳は、
「高齢者の独創と新しい発想が社会を変える」と語る。
高齢者の永らくの人生体験は、社会の活力を生む源泉だという。
そして高齢者が自分たちで充実した生き方を創りだすようになれ
ば、社会全体の活力を引き出せる。
(因みに外山先生の著書「思考の整理学」は200万部を超える。
近著「老いの整理学」も好調、
なかでも「理を料する」 そして「流れる水は腐らない」が、
特に感動の一説である。)
●86歳の作家五木博之さんは、NHKラジオの「ラジオ深夜便」
で「高齢者は 毎日最低6人の人と対話すべき」と語っ
た。
・電話よし、
・コンビニでの買い物よし、
・隣人との挨拶よし、
対話で世の中の現況が解かり、目と耳の確かな事の確認もできる。
そして、出歩くことで健康増進間違いなし。出来れば毎日, 新聞に
目を通し、寝る前にその日の出来事と収支を軽く日記メモに記す。
そうすれば、痴呆症など糞くらえだ。
考えればこれこそ実践的なリカレントそのものだと五木さんは言
う。
●国は、2020年からの子どもたちの教育の新学習指導要綱の眼目
を「深い学び」と定めた。いつになく味わい深い表現である。
いま百歳時代を迎えて、まずシニアに求められるのは、自分のた
めの「深い学び」ではないかと思う。
その手段こそが 「学び直し」(リカレント)という事になる。
何はさておき、自分自身の「ライフシフト」のために、早速「リカ
レント」と取り組もうではないか。
どうあれ、日本のシニアには、元気な余後が期待されている事を忘
れてはなるまい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます