■■■■■■■■■■日本と世界の医療事情■■■■■■■■■■
■「日本の国民医療費」
●2014年の日本の国民医療費は、12年連続で過去最高を更新し40兆円を超え
た。高齢化の伸展により、国民の4人に1人以上が65歳になり、25年の医療費は
54兆円と予測され、12年度と比べてほぼ倍になる。
高齢者1人当たりの医療費は 年間80,6万円。70歳未満は17,9万円だった。
■「医療費の削減努力」
●現在75歳以上の医療費は税金が5割、現役世代の負担が4割、高齢者自身
が1割を負担している。高齢者人口が毎年伸びるおりから 高齢者医療費をいか
に削減するかは、当面の大きな政治課題だが、その対策として厚生省は、
・入院日数の短縮
・単価の安い後発医薬品の使用促進で30%(現在23%どまり)の達成を目指す
■「TPPと医療問題」
●いまTPPの貿易自由化で問題になっているのが、医療と農業だ。
特に医療ではTPPによって世界に冠たる国民皆保険制度が崩れるのではない
かという危惧がある。このあたりは、国益を前提にした安部政権のTPP導入の対
米折衝に期待したい。
■「自由診療と世界の現状」
●自由診療が主体の海外の国々では、日本と異なり、手術などの治療費が非常
に高いという話をよく聞く。こういう話を聞けば聞くほど、国民皆保険制度が充実し、
医療費負担の安い日本に生まれてよかったと感謝している。
●例えば国民一人当たりの年間受診回数は、日本は21回、しかし欧米では日本
のほぼ4分の1しか受診しない。少しぐらい具合が悪くても病院にはいかないのが
常のようだ。
その理由は医療費が大変高いからと言われる。1回当りの総医療費を比較すると、
・日本 7000円
・米国 6万2000円
・スエーデン 8万9000円
●入院日数で見ると、日本は平均33,5日だが、米国は7,8日と短い、
但し日本の場合、福祉の遅れから、患者の帰る場所がなく仕方なく社会的入院に
なっているという説もある。家で面倒を見てもらえない、お一人さま高齢者の入院
が増えているという実態もあるという。
●その結果、日本は世界一安い医療を平等に受診できるが、日本の医療は患者
が多く、医師が少ないので外来診療ではいつも待たされ、診療時間が短いという
不満も募る。
逆に欧米では、患者が少ないので診察に十分な時間がかけられ 患者の満足度
は高い。そこで海外の医療費と救急費用の実態を調べてみた。
■「世界の治療費の実態」
(世界の都市名) (救急車費用) (盲腸手術総費用)
●ハワイ・ホノルル公営5万1780~ 6万7980円 256万円
●ロスアンゼルス 公営4万5900円 130万円~173万7100円
●ウィン 民営1万9500円 2万4400円 127万3500円
●ローマ 0円 121万7600円
●アテネ 0円 113万6 500円
●ゴールドコースト 公営9万 700円 102万1100円
●パース 民営5万8200円 40万円~102万1100円
●マドリード 0円 101万4400円
(出所:トリップアドバイザー2012)
●海外旅行のときは、不意な病気や怪我を想定して海外保険にはいれれた方が
安心だ。
■「日本の医師の分野別実情」(専門別医師数)2013年現在
●外科 19144人
●総合内科 14647
消化器病 14204
●整形外科 14188
●小児科 10972
●一般病院連携精神医学 374
●新生児 周産期 362
●生殖医療 307
●熱 傷 197
●レーザー 164
■「日本の医師の働き方の実情」
●開業医 かかりつけ医として地域住民の健康を管理
●在宅診療医 在宅高齢者介護医療に24時間体制で従事
●学校医
●自由診療専門医
●海外ボランティア医
●フリーランス医
●勤務医 病院勤務--
●産業医
●麻酔医
●介護施設勤務医
●海外勤務医
●船 医
●防衛医官3 (12pt)
●画像診断医
●研究医 診療をしない医師--
●監察医
●医系技
●製薬会社勤務医
■「日本の医師の働き方別の実像」
●いま日本では一部地域や一部の診療科目に偏りがあり、勤務医が足りないと
言はれる。
厚生省調査では、現在の医師数は約29万5千人でODCD加盟先進国の中で
は、人口1千人当りの医師数からすると平均3,2人のところ、日本は2,2人の最
低クラスの「医師不足国」である。
そのために救急患者のたらい回しとか、病院の閉鎖、医師不足による医療崩壊
が続出しているという。
■「求められる総合医療医」
●いま日本では、幅広く総合的な診断能力を持つ「総合医療医」が期待されて
いる。所が、日本では医師の専門医志向が強いため、総合診療ができにくいと
されて来た。
●聖路加国際病院長の日野原重明先生は、
「将来的には医師の3~5割位が総合医であってよいのではないかという考えも
ある、より多くの若い医師がこの分野に進んでゆくのではないかという考えから、
彼らをどのような教育的環境の中で成長させればよいかが、いま問われている。
既に開業している医師は、必ずしも幅広い総合的な臨床能力を持っていない。
彼らは、幅広い病気を持つ患者を受け入れる知識も経験もないために、総合医に
なるための講座を受けようと望む医師も増えてくるのではないかと思われる。
幅広い能力を身につけるために勉強すること、それ自体は誠によいことと思う。」
と述べておられる。
■「チェンマイの新しい介護医療の動向」
●最近チェンマイでは、高齢化が進む現地ロングステイヤーの要望に応えて
現地の介護研究者を中心にバンコク病院がバックアップして、介護研究会が
発足した。15年前には、考えもしなかつた事が、本国同様、いま真剣な課題
として討議されるようになってきた。日本本国と違い海外だけに、まだ適用が
なされていない海外の介護保険など、問題が多いだけに今後に注目したい。
■「患者が求める医師像」
●一般に患者側は
「自分では判断できない体の異常の相談にのってくれるお医者さん」、
「持病など、ある程度チェックしてくれるお医者さん」
と言う二つの役割を、かかりつけの医師に期待している。
●患者側からすると、
常に頼れる先生、信頼できる医師が求められていると思う。
日野原先生の言葉のように、総合的な診察能力のある診療医が,求められている
といっていい。
そのためには患者側が、医療の常識的な知識や医療情報をよく学び、医師と共
に歩む姿勢が求められる。それによって初めて患者と医師との信頼関係が生ま
れてくると思う。
■「名医選びのチェックリスト」■
●①インホームドコンセント(説明と同意)を尊重し、実践している。
●②患者がセカンドオピニオン(主治医以外の専門医の見解)をとる事を当然と考えている。
●③患者のQOL(生活の質)に配慮した治療を実施している。
●④自分の家族を見る気持ちで患者を診ている。
●⑤診断、治療技術に優れ、人間的にも信頼できる
●⑥医療スタッフのチームワークが取れている。
●⑦患者と共に病気のことをしっかり考えている。
●⑧周囲の医師、看護師などからの信頼が厚い。
●⑨医療情報を公開している。
●⑩生涯教育を旨とし、常にアンテナを張り巡らして新しい情報の収集に努めている
(注)「各質問にイエスの合計が8~10 つけば優秀な医師」
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