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■■■■■■■ロングスティヤーの危惧■■■■■■■
中西英樹
在タイ王国チェンライ(ロングスティヤー)
■■「全て自分が基準」
⚫️日本のいいところはどんなところですか, という質問が よく
クオーラに出てくる。安全, 公共交通機関が整備されている, 食
事が美味しい、病気になっても安心とか答えはいくつもある。
自分が答えるとしたらまずは「日本語が通じることです」
を挙げたい。
⚫️異国に住むということは、安全でなく,電車,バスは ロクに走
っておらず,食事は口に合わず,病気になったら命とり, 更に言葉
が通じない, これらの不便に慣れることである。
異文化の中で暮らすのだから,予めある程度は不便,不当なことは
覚悟している。覚悟しているということは予測していることだか
ら, 仕方ないと思って対応していく。
ここは日本でない, 外国だと思えば諦めもつくし,その中で小さな
幸せを見いだしていくことも可能である。例えば,
・バスが定刻通りに着いた,
・現地食で美味しいものを見つけた,
・現地語が結構通じた、
などである。
⚫️でも日本で生まれ, 日本で育ち,日本で学び,働いてきたという
事は日本の常識に染まっているということでもある。人間,誰で
も自分を基準にして考えている。
昔,英語のできる人と仕事をしていた。彼が外人とペラペラと喋
ってお互い大笑い「ねえ,中西さん,わかったでしょ?」ワカンネ
ーヨ。
自分が理解できる事は他人も理解できるものと思い込んでいる
らしい。肥満体の奥さんの家の食卓には大量のおかずが並ぶ。
自分の食べる量を基準としているからだ。
我々,全共闘世代には自分を基準として若い人に「なんだ,こんな
こともわからないのか」と怒る人がいる。こういう人は外国で
暮らすことは難しいような気がする。
■■「思い込みが糾される」
⚫️異国住まいである。だから日本が世界標準でない,自分の思考
方法,振舞いが相手に受け入れられるとは限らない, と身構えてい
るつもりである。でも無意識のうちに足払いを食わされて1本と
られたような気になることがある。
例えば,清涼飲料水を1本買う場合と2ダース入りのケースで買う
場合,日本なら1本当たりの価格は大量に買った方が安い(ことが
多い)無意識のうちにそれが常識となっていた。
ところがタイではケース入り2ダースのビールと1缶のビールで
は1缶で買う方が安いことがある。まとめ買いが高くつくのだ。
兄がビールを買いに行った。缶ビール半ダースは 特売であるが,
2ダースケースは通常価格のため1本当たりの価格が高くなって
いた。この時,珍しいことではあるが,レジのお姉さんが「2ダー
スだと高くなりますよ」と言って2ダースケースを4つにハサミ
で切り分けて特売価格にしてくれたそうだ。
普通は黙って表示価格通り, お客の都合は考えない。
スーパーの特売で調味料が値引きになっていることがある。とこ
ろが同じ調味料が売り場によって特売前の価格となっている。全
く同じ商品であっても値段が違う。
経済学では「一物一価」というではないかといっても始まらない。
大量に買うと高くつく,同じ店の同じ商品でも売り場によって値段
が違うには驚いたが,工夫により安く買えればそれなりに嬉しく,少
し異文化に慣れたような気になる。
⚫️スワンナプーム国際空港にある自販機の600ML入りペットボト
ルは20バーツだが,
・食堂街にあるコンビニでは45B,
・エビアンなら100Bだ。たかが水1本に400円?
・ところが地下1階にあるコンビニでは45Bのボトルが7B(30円弱)
とチェンライ価格で販売されている。
必要もないのに思わず1本衝動買いしてしまったくらいだ。
以前は チェンライの食堂では水と氷は無料で, プラスチック製の2L
入り容器がテーブルにドンと置いてあった。
最近は 無料を改め, ペットボトルの水を置く食堂も多くなった。
・1本10Bである。
・チェンマイでも10B、これが普通だと思っていたが,
・フアヒンの食堂では1本20Bだった。さすがリゾート,物価が違う。
チェンライなら40Bのカウパット(チャーハン)が60から80B,
概ね,こんな値段だろうと思っていても裏切られる。
日本ならラーメンの価格帯は地方によってもあまり変わりがないの
ではないだろうか。
⚫️チェンマイにLS(ロングスティ)しているご夫婦がプーケットに
遊びに行って,あまりの物価の高さにビックリ仰天,すぐにチェンマイ
に舞い戻ったという話を聞いた。
日本の平準化された物価に慣れていると,タイはおかしいよといいた
くなるが,おかしいのは自分の方だ。
年収が1000万以上ある人は海外どこでも暮らせますという記事があ
った。確かに些細な物価の違いに違和感を覚え,時にはイラつくよう
では異国で暮らせない.「恒産無くして恒心無し」は、ロングス
テイにも言えるということか。
■■「円安の苦悩」(為替よりも重要なこと)
⚫️日本のテレビニュースで昨今の円安を取り上げていた。
円安のせいで輸入物資,エネルギーコストが高騰し, 小麦製品,ビール,
牛乳,養殖魚なども値上がりし,庶民の生活が苦しくなったとか。
画面にはスーパーの店長が映り「偉い人は我々と 同じ生活をして欲
しいとは言わないが,せめて物価上昇の現場を見てほしい」という切
実なコメントを述べている。
牛乳が5円上がっただけでも, 庶民代表の主婦が「苦しいやりくりの
中で値上げは困ります」と嘆いてみせる。続けて 昨年度日本企業が
儲けた金額の合計が79兆5000億円と過去最高額となった。
旅館や飲食店を中心にしてコロナの影響から持ち直し, 製造業の利益
も30%あまり増加したという国税庁発表のニュースになる。
⚫️ 要するに庶民の暮しは厳しくなっているのに, 企業所得は 増えて
いる, 儲けた金はどうして庶民に還元されないのか, というツクリに
なっている。
繰り返し書いているが円安で儲かる業界もあるし, 損する業界もある。
逆に円高で収益が上がる会社,下がる会社もある。
円高の時はデフレで物価が下がった。庶民や年金生活者は物価が安く
なった分,所得が増えたと言える。損をするのはいつも庶民,中小企業
の図式だ。このニュースは この円安ではもう工場をたたむしかない
と嘆くパイプ工場の社長を取り上げている。
「円安の直撃」
⚫️円安で困っている人といえば,タイで暮らしている年金老人が挙げ
られる。
いい時は1万円が4000バーツ以上になったが,今は円安で2500バーツ、
約4割の収入減だ。タイのインフレ率は7%を越えており,物価上昇は
日本より顕著である。
チェンマイ,チェンライ在住者のブログでは,せめて3000バーツならと,
円安を嘆く声で溢れている。
⚫️でも日本のマスコミはタイで困っている年金老人など絶対に取材
しない。 タイに暮らしているというだけで「勝手に日本を出ていった
くせに。結構,そっちではタイ女性とウマくやっているんだろう, そん
な不逞老人の実収入が減るのは自業自得だ」という声が, 怒涛の如く
押し寄せることが目に見えているからだ。
それに日本に居住する ご同輩は, 年金の1割を消費税に持っていかれ
る。タイにも消費税にあたる付加価値税(VAT)7%があるが,内税だし
そこらの市場で買えばこの税金はない。
為替で実収入が減ったなんて文句言うんだったら,まず 外国在住者の
年金を消費税分,10%減額してもいいんじゃないか,という声があがり
そうなので,自分は為替について不平不満は言わない。
●国際空港の円とバーツの兌換所
■■「為替どころか」
⚫️日本のニュースで解せないのは,日本の防衛問題が真面目に取り
上げられてないことである。
産経新聞の阿比留瑠偉記者は,11月1日の「阿比留瑠偉の極言御免]で
こう述べている。(以下引用)
「極東情勢は,風雲急を告げている。残念ながら武力衝突の足音は,す
ぐ近くにまで迫っているが, 日本の国会は何をしているのか。
米海軍制服組トップのギルデイ作戦部長(大将)は19日,中国による
台湾侵攻が今年中か来年中にも起きる可能性を指摘した。
ブリンケン米国務長官も,17日に「中国はずっと早い時期の統一を追
求する決断をした」と述べている。
中国共産党の習近平総書記(国家主席)は2期10年まで「68歳定年」
という2つの慣例を破り、3期目に突入した。16日にはこう宣言して
いる。
「武力行使の放棄は約束しない。祖国の完全統一は必ず実現しなけれ
ばならないし,必ず実現できる引用終り)
⚫️この非常時において国会では統一教会の問題ばかりだ。
憲法改正はおろか、自衛隊の弾薬,迎撃ミサイルが不足していて、国民
の生命,財産を守ることができない現実があっても何も議論しない。
安倍さんが台湾有事は日本有事、日米有事といった時、中国は1300発
の核ミサイルを落とすと日本を脅した。
⚫️台湾は10月からほぼ感染症の制限なしで観光客を受け入れることに
なった。エアアジアが12月から週3便,チェンマイ―台北間に就航するこ
とになった。料金は日本円で往復2万4千円ほどである。
感染症後,初の海外旅行は台湾と思って計画し始めたが,年内にも共産軍
の台湾侵攻があるとの米軍高官の情報に接し, フライト予約を躊躇して
いる。
⚫️独裁者は,プーチンを見るまでもなく「合理的判断」をするとは限ら
ない。習近平は経済がボロボロになっても,いやボロボロだからこそ台
湾侵攻に乗り出すだろう。
その時,尖閣,沖縄はどうなるのか。
核ミサイルで為替どころか、貯金も吹っ飛んでしまうという危機感は,
チェンライにいてもひしひしと感じるのだが。ーー
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