■「タイ政権批判の大型デモ」
●タイの首都バンコクで,2014年来 最大の反政府集会が開かれ,強権を続け
る政権への反発が広がっている。国民生活は,折からのコロナによる観光客
の入国禁止もあり、GDPがー12%減を記録、経済疲弊の度を高めている。
タイはコロナ被害が少ない国にも拘わらず,インバウンドや集会禁止が続く
事への国民感情も伏在する。
(前回2014年の市民デモの様子)
●16日のデモは、学生など約2万人と言われ、現政権の退陣と憲法の改正
と王室の改革を求める。 しかも月末にかけ全国20ヶ所での反政府デモが
実行されるという。名君と言われた前国王が亡くなって既に4年,現国王と、
現政権との深い関わりについて,市民の隠れた批判が止まらないという。
最近では、タイの大学の先端的な位置にあるタマサート大学のキャンバス
対する不敬罪」の撤廃を要求する。
王室が、いつも軍事クーデターを承認する事への不満も募る。前回の軍事
クーデターからほぼ6年,タイの世界的な格差社会政策への不満が,学生デモ
の形で噴出したようだ。
タイでは王室の批判は、タブー中タブーとされてきただけに、今後の抗議
活動の成り行きが心配される。
■「タイの格差社会」
●20年前のタイは,まだ新興国にも拘わらず社会上層部の人たちは,極めて
礼儀正しく人柄もよく,欧州の上層社会の人たちのような趣があった。
時として日本の社会よりも,気品ある雰囲気に驚いた事がある。
その上層部の人たちは,古くからの資産家の2世が多かった.50代以下の人
達の中には,英国や米国の名門大学の出身者もいた。また子息を英国や米国
の名門大学に留学させている親御さんとも出会った。しかもそれが比較的
裕福な首都圏のバンコクではなく,北部タイのチェンマイの出来事だった。
最近になって,ようやくその理由がわかって来た。
タイの税制はーーーー
・相続税がゼロ、
・固定資産税がゼロ、
・贈与税が,年間7000万円間までゼロ
日本人からすると夢のようなタイの税制である、まさにパラダイスに映る。
タイの上層部の人達のゆとり感覚と,日本の都市部の人達のゆとりのなさと,
そのぎすぎす感からくる格差理由が明確になってきた。日タイの個人の相
続税制の違いが、あまりにも大きい。
国は違えど,国民の相続や,贈与の税額がこうまでも大幅に違うとなると,経
済的なゆとり感覚は,大きく違ってくる。日本は2代で相続の利点は,無くな
るが,タイは代々累積して積みあがっていく。ゆとり度は増すばかりである。
全くタイの相続税制は,限りなくうらやましいし,反面怖くもある。
それが,タイの極く一部の人達に大きな利得をもたらし,金持ちは,労せずして
益々金持ちになるし,貧富の格差は益々拡大していく。
めるという農民層の支持で政権を獲得したしたタクシン派を、軍事クーデ
ターで追い出し政権を勝ち取った由来がある。それが今の軍事政権である。
そして,政権を支持するゆとり層の相続税などの優遇は、温存されたままで
ある。だからこそタイの大衆層から見れば,今の政権は,金持ち優遇に映る。
それが実は,聞きしに勝るタイの「超格差社会」を生み出し,ひいては大衆蜂
起の全国的なデモにも繋がっている。
●因みに国家経済を顧みると,20年を経たタイは,農業の新興国から自動車
・日本のGDPは,約536兆円(世界第3位)4兆9700億ドル
ほぼ2倍の人口であるから 実質日本は,タイの5倍の経済規模という事になる。
■「したたか戦略外交」
●タイは素晴らしい伝統国家であるが,世界の自由陣営から見ると, いささか
異端に映る。米国は軍政のタイ国に,民主化への警告を発すれど,軍事政権は
すぐさま一帯一路政策の中国にすり寄り,最新潜水艦3隻を調達した。
しばらくの様子見ののち,やがて現首相は進んで米国に趣き,今は親米親中と
いう独自の大胆外交路線で米中2大国を操る。 韓国の大統領も,羨むほどの
拘わらず, タイは1国だけ独自,孤高の中立外交で,伝統王国をしたたかに守
り抜いたという 見事な側面がある。
粘り強いタイの国民性と,柔軟な外交力が,連綿と受け継がれて,いまもこの
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■[暮らしやすい国の世界第8位]
●著名な国際団体の「ヘルプエイジ、インターナショナル」が世界96ヶ国
を対象に4項目(収入、健康、就労、就学、支援環境)に基ずき,60歳以上
の高齢者の暮らしやすい環境について存分に評価した。
■「暮らしやすい国・世界ランキング」2020
(順位) (国名)
1位 スイス
2位 ノールウェイ
3位 スエーデン
4位 ドイツ
5位 カナダ
6位 オランダ
7位 アイスランド
8位 日本 ●
9位 米国
10位 英国
上位5位までの欧州の国は、年金精度が非常に高く,高齢者が心地よく就労
するための環境、生涯学習、社会支援、医療制度、交通機関などが、ほぼ
申し分がないと評価された。
特に1位のスイスは,日本につぐ長寿国で,政府と社会が一丸となって高齢者
をサポートしているという。
■「語り継ぐ不戦の覚悟」
●戦後75年が経つ。昭和、平成、令和と時代が移り代わり戦後生まれが、
1億655万人、全人口の85%を占める。
中でも戦争をいささかでも知る世代を含め、戦争を知る人たちが年々減り
つつある。
・1940年以前生まれの戦争体験世代は全人口の9,3%の1161万人、
・1925年以前に生まれの戦場体験世代は全人口の0,5%の62万人。
戦争の怖さはたれしも解っているというが、未だ世界から戦争がなくなら
ない。日本は戦後,世界193国の中で戦争なき国8ヶ国の中に入る幸いに
恵まれたが,これも何かにつけ、前の大戦の苦々しい経験を全国民が体験と
して受け止めてきた成果と受け止めていい。世代は次の世代へ移れど永遠
に語り継いでいく一人一人の覚悟が必要だ。
■「人生百年時代の現実」
●厚労省は,国立社会府保障人口問題研究所のデータを基に,百歳時代の到来
を推計する象徴的なデータを発表した。
昭和25年(1950)生まれは、
65歳を過ぎると男性で35%、女性で60%が90歳まで生きる。
平成2年(1990)生まれは、
65歳を過ぎると男性で44%、女性で89%が90歳まで長生きする。
推計は男女とも,年齢が若くなるほど長生きの確率は増すという。まさに百歳
時代の到来である。
●そして次の様な現実的な意見が、委員から出たという。
「今の75歳は、昔の65歳と同じくらい元気だ」
「高齢者とは、65歳以上ではなく、75歳と捉えていいのではないか」
今後の国の政策としては,少子化も大きな問題ではあるが,元気な百歳時代を
見込んだ、労働政策や社会保障政策への転換が必要だという。
■「米中貿易戦争と日本の行方」
●米中の貿易戦争は、武漢コロナの蔓延と,今しがたのトランプ大統領の選
挙戦が絡んで,益々激化の様相にあるが、いずれにしろ世界の資本取引市場
は.ドルが大勢を占めており,中国とてドルと決別して、市場経済を操るほど
の実力は,もちあわせていない事は判っている。
中国と米国の消費市場が大きく,其々米中とも貿易経済では1位中国、僅差
で2位、米国である。
特に,グローバル経済と世界の平和(平穏)と経済成長と,ドル資本とは,大き
くリンクしていると言っていい。最近の米中の争いは、そんな世界経済の中
での上位2国のプライドをかけた さや当てに近い論争と言っていい。
日本は,GDPでは中国に抜かれ第3位ながら、世界最大の米国債(ドル)の
保有国である。6月現在のドル保有高は 1兆1228億ドル(約120兆円)
とはいえ覇権をかけた米中の貿易戦争は,アフターコロナの世界経済の行方を,
大きく左右する問題だけに,傍観は許されない。
●この問題については格別、国際経済に詳しい読売新聞編集委員の大塚隆一
さんの論評を引用して解明したい。最近のマスコミの国際論評の中で,これほ
ど解り易く核心を突いた当を得た論旨に出会った事がない。
当面する国際経済の行方は、戦後75年に及ぶ米国主導の国際秩序の時代が
終わり,異質の大国中国が台頭することによって,国際経済が今後どのように
推移するかにかかっているという。
戦後の国際関係は、要約すると次の3つの要件が複雑に絡んで,その覇権の行
方が決待ってきたというが、その図式は今後も変わらないという。
・「経済の秩序」
・「軍事の秩序」
・「正義の秩序」
今回の3つの要件は,国際政治学者高坂正堯氏の「3つの体系」という考え方
を記した「国際政治」(中公新書)から引用されたという。非常に解り易くて
いい。
●米国は、全ての面で内向きに変わって来た,自国ファストの傾向が高まる
につれ世界の指導力は低下する。一方中国は「一帯一路」なる独自の戦略
構想で,米国のドル覇権の崩壊を狙う。南シナ海や香港の事例を見ても,中国
は、なにかにつけ極めて挑戦的だ。
一方「軍事」は、全て経済が支えるだけに,米中の経済のバランスが狂って
くると,そのスキを狙う中国の台頭が危惧される。
近来、国家の覇権争いは、デジタルがその最前線を担う。経済にとっても
デジタルは,決定的な競争力の源泉になるという。
「正義」では、データの所有権や,プライバシーの保護がその核心となる。
どうあれ米中の狭間にある日本にとって,このような国際秩序の行方は,国家
の命運にかかわってくる。それだけに,日米の軍事同盟のもと,いかに国際協
調を進めるかにあるが、何をさておき日本の経済力をいかに強化するかが最
大の要諦になってくるという。
●戦後75年を迎え、有難い事に戦争とは無縁の平和な毎日が続く。
時として、これが常識の事と思い違いをして,不満を募らせる人もいる。
俗に平和ボケの人々が多いのも残念でたまらない。
直面する日本の国際環境を知り,アジアに目をやり,進んでたれかと取り組む。
そんな中からアフターコロナの新しい日本経済が、生まれて来る様に思えて
ならない。
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