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■■■■■■■■■京都大学異色准教授の軌跡■■■■■■■■■
(●表題の写真提供/京阪電車・祇園の舞子)
■「コロナと真向勝負」
●新型コロナは、人間社会の在り方を根本的に変えようとしている。
そこへ突然の安倍総理の辞意表明である。
何はさておきお疲れ様でしたと申し上げたい。安倍総理は,前の民主党政権
下で疲弊した日本経済と日本外交を大きく回復させ,安定成長の路線に方向
ずけた。その成果は高く評価したい。
ただし政治の空白は一瞬たりとも許されない。新首相の選出を待ちたい。
さて,本論に戻ってIMF(国際通貨基金)の調査では、世界経済は,世界的
な大封鎖に陥り、大恐慌以来で最悪の景気後退だと予測する。
その見通しでは成長率でマイナス4,9% 経済損出は2年間で実に約1300兆
円と試算している。特に先進国経済は,歴史的な落ち込みとなり米国は8%減、
第2次世界大戦の特需が消えた1946年来74年ぶりのマイナス成長だという。
日本は、20年の成長率をマイナス5,8%、リーマンショック後の2009年
を超す景気悪化だとする。それでも日本は、コロナによる死亡者数が 一桁
違いに少なく 経済についても他の先進国よりも落ち込み幅が小さいという。
●今回は,コロナの話ではなく、コロナの報道で見えてきた日本の新しい
側面を探って、お伝えしようと思う。
コロナウィルスの報道は、感染症という 特異な分野の情報だけに,特別
この分野に詳しい医師や研究者が、まず報道番組の回答者として登場、
何時しかこの中の一部の人が、各局ワイド番組の医事キャスターとして
定着登板するというのを目のあたりにしてきた。
勿論コロナが終焉するまでの登板という事だろうが、中には解説者として
各局を掛け持ちするつわもの専門家もいる。この感染症の分野は,特異な
専門分野だけに,報道解説に向く適材が極端に少ないといういう事もよく
わかる。
●今回の事で,私が特に注目したのは、京都大学『准教授』の肩書である。
一瞥すると「〇〇大学特任教授」とか「〇〇大学招聘教授」とかの肩書が
比較的多い中で「京都大学 准教授」が、ひときわ目を引いた。
前者の「特任」とか「招聘」とかの教授の方は、聞くところでは、医師や
別の仕事との掛け持ちで大学で教えているという比較的時間がとりやすい
年配の専門家が多いのではないかという。
一方「准教授」は、大学の公式の職階名で、独自分野を専門で研究しながら
大学や大学院で学生を教える立場にあるという。
●今回, 注目したのが,コロナと真向勝負の京都大学ウィルス再生医科学研究所
宮澤孝幸准教授である。
准教授とは,あまり聞きなれない役職ながら、今回のコロナ報道番組では、
感染症の専門家として、にゃんこ先生の愛称でしばしば登場し,教授の肩書
を持つ医師よりも,圧倒的に話が実務的で面白く,たちまちファンになった。
あらゆる感染症の撲滅まで、存分のご健闘を期待したい。
●私が注目したのは、まず「准教授」の肩書である。
昔からある「助教授」とどう違うのか。高等教育機関の職階は2007年の学
校教育法で改正され下記のように変わったという。
職階の順番は
「教授」
「准教授」
「講師」
「助教」
「助手」
で「准教授」は「教授」に準ずる役職であある。法改正以前は「助教授」
は、「教授」を助ける仕事だったのに対し「准教授」は学生の指導を担い
つつ、自らの研究に従事するのが役割だという。
■「異質の天才准教授の夭折」
●私が古くから畏敬してた京都大學・産官学連携本部、客員准教授の滝本
哲史さんが去る8月10日亡くなった。47歳だった。
東京大学法学部をトップで卒業し,東大政治学研究科の助手ののち,マッキン
ぜーで新規事業を担当し投資計画のコンサルティングを担当した。エンゼル
投資家と経営コンサルタントの顔を持ちながら, 2011年に「僕は君たちに武
器を配りたい」を上梓してベストセラーに、この本は,いまから8年前に,脱コ
モディティ化をテーマにして、今後,日本人として生き残れるのは、
・マーケッター、
・イノベーター
・リーダー、
・インベスター
だけだと極言して注目を集めた。
その後も「武器としての決断思考」や「戦略がすべて」など多くの名著を
出した。
●中でも1900億円の家業の負債に悶える親しい元同僚社長のために,進んで
日本交通に入り,再生を果たした話は,もはや美談を超えて, 素晴らしい経営
実話として,その決断力と,実践力は、経済界でもあまりにも有名な話である。
大阪弁護士会では,若手弁護士の育成のために,よく専門講師として招いてい
たと聞く。
私は,何回か話を聞いたり,彼の著書を読み,その稀なる思考力に心酔していた。
天才は、早く逝くとは聞いていたが、余りにも早すぎる夭折だった。日本
のために本当に惜しい人を亡くしたと思う。ご冥福をお祈りしたい。
●因みに京都大学・産官学連携本部は、日本の企業のスタートアップの起点の
ような存在で、研究から生まれた卓越した智を広く社会に伝えその問題解決に
当たって来た。
起業講座の開催はもとより、企業との共同研究やベンチャー企業支援活動など
日本の将来を担う有望企業家の育成に力を入れている。
■「日本亡命のタイ人京大准教授」
●最後は、京都大学東南アジア地域研究所パビン、チャチャバルポンプン
准教授(48)である。ケンブリッジ大学の研究員でもある。
彼は,2014年タイでクーデターが発生した際、京都大学で教鞭をとっていた
が,タイ政府軍の反対派の急先鋒としてタイの軍政と君主制を批判したため、
王室不敬罪で15年の判決を受け帰国できないでいるという.今は,日本に亡命
して,京都大学准教授として教職にあたっている。
最近でも,パピンさんが、自宅で就寝中に襲撃されるという事件があったと
いうが,タイの軍部は、軍の関与を否定しているという。
●最新情報では、米国の交流サイト大手FaceBookは、タイ政府から
の圧力を受けタイ王室に批判的な公開サイトのタイ国内への接続を遮断した
と発表した。このサイトは京大パピン准教授が4月に開設した「ロイヤリスト
・マーケットプレイス」で、プラユット現政権と王室に対し、批判的な情報
を掲載し、閲覧読者は100万人を超えるという。
タイ政府はFaceBook社に対しこのサイトを遮断しなければ、コンピュータ
犯罪法で訴追すると警告していたという。政府は、現在のタイの学生でもに
も大きな影響があるとみており、パピン准教授の自宅襲撃問題も、これとの
関連が危惧されている。
どうあれタイの政情が民主化され、パピン准教授が、日タイ大学の間を自由
往来して貴重な研究に専念できるよう、1日も早い改善を祈りたい。
因みにパピン准教授が属する京都大学の東南アジア地域研究研究所は、1963年
設立の世界でも有数のアジア専門研究機関で、地域経済の振興や人材育成など
幅広い研究活動を通じ貢献してきた。
週末に開かれる タイをはじめアジアに関する公開講座は素晴らしい。サイトで
開催日を確認の上、参加されてはいかがだろう。
2014年当時のJTIROは、パピンさんの日本亡命記事を,ブログで報道し
たところ,早速、在阪のタイ政府機関からこの記事削除の要請があり,致し方
なく削除に応じたことがあった。タイは,表向き自由国家とはいえ,軍政だっ
たため、不自由な側面があつたのかもしれない。
それに引き換え日本のなんとおおらかで自由なものか、この自由を心から
大切にしなければなるまい。
●伝統的な古都京都と,そこに住まう学究の人たちによる意識や思考の対立
と相克、そこから触発的に生み出される斬新な思考や発想が、日本の思潮
の先端を突き破る。そしてそれが昇華して世界で開花する。
今回は,そんな京都大学准教授の活動の未来を予測して、3人の異色准教授の
活躍の軌跡を取り上げた。
私も今を去る60年前、20代半ばの頃、京都に3年ばかり住まい、大阪へ通勤
したことがある。戦後当時の古都京都は、若い学生たちで揺れ動いていた。
その頃の京大の吉田学生寮は,全学連アジトの拠点でプラカードで覆い尽くさ
れていた。
伝統的な街並みに出現した極めて異質で雑然とした学生の拠点に,よそ者の私
は伝統と革新の静かな対立とみたてたたが, 京都の人達は, 誰一人,苦情を述べ
る人はいなかった。,暖かい眼差しでその行方を静かに見守っていたと言う。
そのような京都大學からは、革新的な著名な学者や知識人が輩出した。
桑原武夫、貝塚茂樹 会田雄二 梅棹忠夫 多田道太郎 梅原猛 大嶋渚
本庶佑 山中伸弥 などなど、世界的なそうそうたる人たちである。
来週はもう9月,初秋の到来である。久方ぶりに京都銀閣から東山界隈をぶらり
散策する計画だ。昨年まではインバウンドで喧騒を極めた京都だが,本来の静け
さを取り戻したようだ。古都の雰囲気を満喫したいと思う。
帰路、相国寺の承天閣美術館で若冲を見る予定。秋が待ちどうしい。
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