■■世界のコメ事情を探る■■ (特集)
●日本と世界のコメ事情が緊迫しています。
最近、タイのコメ価格が3倍に高騰しました。 なぜか。
世界のコメ大国である「日本とタイのコメ事情」を通して、
急激に推移する日タイの食事情を検証します。
■■(1)【世界のコメ市場データ】■■
●資料「世界のコメ生産量ランキング」
(順位) (国名) (生産量)万トン
第1位 中国 1億2950
第2位 インド 9200
第3位 インドネシア 3400
第4位 ベトナム 2326
第5位 タイ 1840●
第6位 ミャンマー 1066
第7位 フィリピン 1001
第8位 ブラジル 799
第9位 日本 794●
第10位 米国 633
(資料:米国農務省調査2006、精米換算)
●資料「世界のこめ輸出国ランキング」
(順位) (国名) (概算輸出量)万トン
第1位 タイ 700●
第2位 ベトナム 460
第3位 米国 270
第4位 インド
第5位 中国
第6位 パキスタン
第7位 イタリア
第8位 オーストラリア 67
(資料:米国農務省 2004推定、精米換算)
■■(2)【世界のコメ事情】■■
●「世界の生産量」
2007年の世界のコメ生産量は、4億2000万トン(精米換算)
世界の耕地面積 約14億ヘクタール
その中、コメの作付け面積、約 1億5500億ヘクタール(9割がアジア)
●「世界の消費量」
2007年の世界のコメ消費量は、4億2400万トン(精米換算)
世界人口60億人の半数以上の34億人がアジアに住みコメを主食する。
●「世界の輸出量」
輸出大国のタイをはじめ、ベトナム、インド、米国が輸出上位を占め
るが、最近、国内消費優先のために、ベトナムとインドが輸出制限を
開始、コメ不足の様相を見せ始める。
●「需要予測」
予測では、2025年に、世界人口が80億人を超える。
そのため、38%のコメ増産が必要とされ、世界的な食料危機が危惧
される。
●「世界の市場」
コメの需給を予測して、最大輸出国のコメが最近3倍に高騰している。
識者の中には 「国際的な食糧危機の予兆なのではないか」(評論家
松本健一氏)と警鐘を鳴らす筋もある。
●「世界のコメ品種」
・長粒種(インデカ米) 世界で生産される9割がこれ、アジアに集中。
・短粒種(ジャポニカ米)日本のコメが主体。
交配による品種改良で、長粒種と短粒種の中間的な品種が誕生。
●「世界のコメ評価」
・ジャポニカ米は、世界的な寿司ブームなどを背景にコシヒカリなど、
銘柄米の評価が高い。
・食生活の違いで、評価はそれぞれ異なるが、インデカ米は、ピラフなど
に適していると言はれる。
■■(3)【日本のコメ事情】■■
●「日本のコメ消費量」
・人口 1億2700万人
・1人平均消費量 70キロ
・日本のこめ消費量 (精米ベース)900万トン(玄米ベース)1000万トン
●「日本のコメ生産状況」
・日本の耕地面積 500万ヘクタール
・平均反収(10アール当り) 500キロ
・全耕地稼動の収穫量 1400万トン
・現在生産調整減産量 400万トン
・現在作付け減反耕地面積 80万ヘクタール
●「1993年の米騒動事情」 」
日本の米不作で自給不能に陥った。いわゆる93年のコメ騒動だ。
急遽タイからタイ米を緊急輸入し事なきを得た。
・1993年秋の作況指数 75に低下。(平時指数100)
・1993年のコメ収穫量 750万トン
・1994年の不足量 ★ 250万トン
・その対応 タイから、250万トンを緊急輸入して対応。
・輸入管理 日本政府、食糧庁
・その影響 国際市場のコメ価格の高騰をもたらした。
・タイ米の評価 タイ米の調理方法の周知不徹底のため不評。
■■(4)【タイのコメ事情】■■
1993年のコメ騒動の顛末は、前項の通りだが、
当時のタイ米に対する不評について、タイのコメ事情に詳しい知人に
聞いた。
●「タイ米の評価」
1993年の日本の米騒動のときのこと、
緊急輸入のタイ米について、おいしくないと不評をかった事実がある。
しかしこれは、タイ米が不味いのではなく、日本人がタイ米の食べ方を
知らなかっただけだ。
●「タイ米の炊き方」
味を左右するコメのたきかただが、
・ジャポニカ米は炊飯、
・インディカ米はなべで煮るとおいしい。
一度、タイ米でチャーハンを作ってみて欲しい、美味しさに驚くはずだ。
●「タイ米の価格」
試みにタイ米の通販購入先と価格をご紹介したい。
【楽天インポートショップ】 www.rakuten.co.jp/e-trerd
・タイ米 2KG 735円 ・30KG 11,000円
タイ産米 2KG 735円
●「銘米・ジャスミンライス」
長粒種のタイ米の中で、格別美味しさを誇るのが「ジャスミンライス」。
ジャスミンの花のように白いのでこの名がつけられたと言う。
タイ国内での消費は全体の20%弱で、他は輸出用である。
炊き上がりが香ばしい香りを発することから、タイ語で「カオホンマリ」
香り米とも呼ばれる。
●「タイ米の収穫期」
タイ米は、年2毛作。
・1期作(雨季):播種 6月~8月 収穫 11月~1月
・2期作(乾季):播種12月~3月 収穫 3月~7月
●「沖縄・泡盛」
世界的な銘酒、沖縄名産の泡盛の主原料が、タイ米であることを知る
人は少ない。
日本では戦後一貫して米の輸入を禁止してきたが、沖縄ではずっとタ
イ米の輸入が続けられ、琉球の伝統的な泡盛の原料にタイ米が使わ
れてきた。
泡盛の起源については、諸説あるが、
沖縄が琉球王国と呼ばれ、特にシャム国(現在のタイ)との交流が活
発だった時代にさかのぼる。
その頃、琉球人が、シャム国から蒸留技術を持ち帰り、やがて日本本
土へも伝えられたと言う。
沖縄では現在、本島、宮古島、石垣島、与那国島、波照間島などで約
50社のメーカーがタイ米を原料にして、伝統的な泡盛を作っている。
■■(5)【増え続ける人口、減り続ける食糧】■■
■「世界のコメ事情」■
●「コメの価格、高騰」
タイ米の国際価格が急騰している。
世界最大のコメ輸出国タイでは米価がこの3ヶ月で3倍に高騰し、
1970年台の世界的な穀物不足以来の歴史的な高値を記録した。
ベトナム、インドなど主要輸出国が国内消費優先のため輸出を制限したこと
などが引き金となっているようだ。
フィリピンや香港などコメを輸入する消費地で同様が広がっている。
主食の高騰はインフレを加速し、社会不安を招く恐れも出てきた。
●タイ貿易取引委員会の2日の発表によれば、同国の長粒種米1級の
平均輸出価格は1トン当たり827ドル(約8万4000円)となり、800
ドルを突破。
タイの米価は国際取引価格の参考指標で、各国の米価も高騰。
特に、日本の米価は1トン当たり約30万円と高くなっているが、
コメの余剰で、タイ米との価格差は縮小している。
●コメ急騰の直接の原因は、ベトナムやインドなどの輸出規制である。
主要な輸出国では経済成長や人口増で国内の需要が増加。
自国内への供給を確保するため、ベトナムは3月25日にも首相が
年間の輸出量を350-400万トンに抑える通達を出し、
ベトナム食品協会が2日に6月末まで新規の輸出契約締結を禁止する
申し合わせをした模様。
インドも1日、高級種を除くコメ輸出を全面禁止したほか高級種の最低
輸出価格も1トンあたり1200ドルに引き上げ。
中東有数のコメ生産国であるエジプトも3月末、10月までの輸出停止
を決定した。
■「急騰の理由」■
●各国とも国内の米価が上昇したため、国内流通量を増やす目的で輸
出制限を実施。
その結果、タイに買いが集中し、同国の1-3月の輸出量は前年同月比
で約7割も増えている。
そのタイでも輸出を絞る可能性が出てきたから大変だ。
タイ政府は2日の閣議で米価高騰を受けて政府準備米を月に65万トン
放出することを決定した。
しかし、備蓄は210万トンしかなく放出が続けば3ヶ月ほどで底をついて
しまう。
長雨や洪水、害虫による被害でコメ収穫量減少も懸念され、
輸出業者の中では、年内に1トンあたり1500ドル(約15万円)を超える
との観測も出てきている。
■「コメの行方」■
●健康志向を背景に世界的な米食拡大などから、コメの国際価格は
2001年からじわじわと上昇。
原油高による肥料高騰など生産コスト増も加わり、昨年6月には10年ぶり
の高値を更新した。
稲作用の土地をバイオ燃料作物に転用する動きもタイで拡充している。
イラクでは経済復興に伴い、国内産の伸びを上回る需要が見込まれ、アフ
リカ諸国でもコメ消費が増加している。
●世界のコメ生産量は約4億2000万トンでうち約7%の3000万トンほど
しか国際取引は行われていない。
90年代には30%超あった世界のコメ在庫率も最近は20%を切っている。
今後、コメ不足が世界的に深刻化する可能性すら出てきた。
●原油高から、バイオエタノールで脚光を浴びたトウモロコシ、大豆の高騰
に続き、小麦などの穀物価格は軒並み急騰を見せ、そしてその流れはコメ
にまで及んできた。
しかし、
3ヶ月で2倍になってもその価格は1トン当たり827ドル(約8万4000円)。
日本のコメの1トン当たり約30万円には遠く及ばない値段である。
ある意味で、日本人が考える「米」は蚊帳の外の話ではあるが。
■「増え続ける人口、減り続ける食糧」■
●日本だけを考えれば、少子化、米離れが進んでいるが、ちょっと視野を
広げれば、アジアなど新興国と呼ばれる国も含め経済発展に伴い人口は
爆発的に増えている。
経済発展が進む過程では、農業→工業化が進んでいるワケだが、増え続
ける人口と、減り続ける食料などの問題から「水と食料」は、これから世界
的に深刻化すると言われて所以だ。
原油高はもともとは、新興国など人口が多い地域での経済発展が需要増
を招き、深刻化してきたが、
その流れは貴金属などの資源のみならず、いよいよ「食」という資源にまで
及んできた事を認識したい。
●主要参考文献
【超長期予測・老いるアジア】 小峰隆夫著 日本経済研究センター
【21世紀の人口、食糧戦略、アジアと世界】 アジア人口開発協会
【物語 タイの歴史・微笑みの国の真実】 柿崎一郎著 中公新書
■■(6)【総括】■■
■【改めてコメについて考える】■
●世界のコメや大豆が高騰し、食糧危機の不気味な足音が近ずきます。
世界のコメ生産国は売り惜しみし、輸入国は買い占め、先進国の投機が、
コメにまで及びます。
●世界人口の推移も気になります。
世界の人口は
・1750年 8億人
・1900年 10億人
・1990年 53億人
・2025年 83億人
・2050年 98億人 そのうち途上国人口86億人
貧しい国の人たちの飢餓は、ますます進むことになります。
●日本の食の自給率はわずか39%、
食糧のほとんどを輸入に頼る日本は、果たしてこれで大丈夫なのか。
食糧の急騰は、危機意識の少ない日本人への警鐘と思えてなりません。
●ともにコメを主食とする日本とタイの人たちにとって、コメはお互いの生活
文化に大きく係るものだけに、
この機会に、「日本のコメ」「タイのコメ」「世界のコメ」について、改めて考え
ていただければ、幸いです。
(山田)
●日本と世界のコメ事情が緊迫しています。
最近、タイのコメ価格が3倍に高騰しました。 なぜか。
世界のコメ大国である「日本とタイのコメ事情」を通して、
急激に推移する日タイの食事情を検証します。
■■(1)【世界のコメ市場データ】■■
●資料「世界のコメ生産量ランキング」
(順位) (国名) (生産量)万トン
第1位 中国 1億2950
第2位 インド 9200
第3位 インドネシア 3400
第4位 ベトナム 2326
第5位 タイ 1840●
第6位 ミャンマー 1066
第7位 フィリピン 1001
第8位 ブラジル 799
第9位 日本 794●
第10位 米国 633
(資料:米国農務省調査2006、精米換算)
●資料「世界のこめ輸出国ランキング」
(順位) (国名) (概算輸出量)万トン
第1位 タイ 700●
第2位 ベトナム 460
第3位 米国 270
第4位 インド
第5位 中国
第6位 パキスタン
第7位 イタリア
第8位 オーストラリア 67
(資料:米国農務省 2004推定、精米換算)
■■(2)【世界のコメ事情】■■
●「世界の生産量」
2007年の世界のコメ生産量は、4億2000万トン(精米換算)
世界の耕地面積 約14億ヘクタール
その中、コメの作付け面積、約 1億5500億ヘクタール(9割がアジア)
●「世界の消費量」
2007年の世界のコメ消費量は、4億2400万トン(精米換算)
世界人口60億人の半数以上の34億人がアジアに住みコメを主食する。
●「世界の輸出量」
輸出大国のタイをはじめ、ベトナム、インド、米国が輸出上位を占め
るが、最近、国内消費優先のために、ベトナムとインドが輸出制限を
開始、コメ不足の様相を見せ始める。
●「需要予測」
予測では、2025年に、世界人口が80億人を超える。
そのため、38%のコメ増産が必要とされ、世界的な食料危機が危惧
される。
●「世界の市場」
コメの需給を予測して、最大輸出国のコメが最近3倍に高騰している。
識者の中には 「国際的な食糧危機の予兆なのではないか」(評論家
松本健一氏)と警鐘を鳴らす筋もある。
●「世界のコメ品種」
・長粒種(インデカ米) 世界で生産される9割がこれ、アジアに集中。
・短粒種(ジャポニカ米)日本のコメが主体。
交配による品種改良で、長粒種と短粒種の中間的な品種が誕生。
●「世界のコメ評価」
・ジャポニカ米は、世界的な寿司ブームなどを背景にコシヒカリなど、
銘柄米の評価が高い。
・食生活の違いで、評価はそれぞれ異なるが、インデカ米は、ピラフなど
に適していると言はれる。
■■(3)【日本のコメ事情】■■
●「日本のコメ消費量」
・人口 1億2700万人
・1人平均消費量 70キロ
・日本のこめ消費量 (精米ベース)900万トン(玄米ベース)1000万トン
●「日本のコメ生産状況」
・日本の耕地面積 500万ヘクタール
・平均反収(10アール当り) 500キロ
・全耕地稼動の収穫量 1400万トン
・現在生産調整減産量 400万トン
・現在作付け減反耕地面積 80万ヘクタール
●「1993年の米騒動事情」 」
日本の米不作で自給不能に陥った。いわゆる93年のコメ騒動だ。
急遽タイからタイ米を緊急輸入し事なきを得た。
・1993年秋の作況指数 75に低下。(平時指数100)
・1993年のコメ収穫量 750万トン
・1994年の不足量 ★ 250万トン
・その対応 タイから、250万トンを緊急輸入して対応。
・輸入管理 日本政府、食糧庁
・その影響 国際市場のコメ価格の高騰をもたらした。
・タイ米の評価 タイ米の調理方法の周知不徹底のため不評。
■■(4)【タイのコメ事情】■■
1993年のコメ騒動の顛末は、前項の通りだが、
当時のタイ米に対する不評について、タイのコメ事情に詳しい知人に
聞いた。
●「タイ米の評価」
1993年の日本の米騒動のときのこと、
緊急輸入のタイ米について、おいしくないと不評をかった事実がある。
しかしこれは、タイ米が不味いのではなく、日本人がタイ米の食べ方を
知らなかっただけだ。
●「タイ米の炊き方」
味を左右するコメのたきかただが、
・ジャポニカ米は炊飯、
・インディカ米はなべで煮るとおいしい。
一度、タイ米でチャーハンを作ってみて欲しい、美味しさに驚くはずだ。
●「タイ米の価格」
試みにタイ米の通販購入先と価格をご紹介したい。
【楽天インポートショップ】 www.rakuten.co.jp/e-trerd
・タイ米 2KG 735円 ・30KG 11,000円
タイ産米 2KG 735円
●「銘米・ジャスミンライス」
長粒種のタイ米の中で、格別美味しさを誇るのが「ジャスミンライス」。
ジャスミンの花のように白いのでこの名がつけられたと言う。
タイ国内での消費は全体の20%弱で、他は輸出用である。
炊き上がりが香ばしい香りを発することから、タイ語で「カオホンマリ」
香り米とも呼ばれる。
●「タイ米の収穫期」
タイ米は、年2毛作。
・1期作(雨季):播種 6月~8月 収穫 11月~1月
・2期作(乾季):播種12月~3月 収穫 3月~7月
●「沖縄・泡盛」
世界的な銘酒、沖縄名産の泡盛の主原料が、タイ米であることを知る
人は少ない。
日本では戦後一貫して米の輸入を禁止してきたが、沖縄ではずっとタ
イ米の輸入が続けられ、琉球の伝統的な泡盛の原料にタイ米が使わ
れてきた。
泡盛の起源については、諸説あるが、
沖縄が琉球王国と呼ばれ、特にシャム国(現在のタイ)との交流が活
発だった時代にさかのぼる。
その頃、琉球人が、シャム国から蒸留技術を持ち帰り、やがて日本本
土へも伝えられたと言う。
沖縄では現在、本島、宮古島、石垣島、与那国島、波照間島などで約
50社のメーカーがタイ米を原料にして、伝統的な泡盛を作っている。
■■(5)【増え続ける人口、減り続ける食糧】■■
■「世界のコメ事情」■
●「コメの価格、高騰」
タイ米の国際価格が急騰している。
世界最大のコメ輸出国タイでは米価がこの3ヶ月で3倍に高騰し、
1970年台の世界的な穀物不足以来の歴史的な高値を記録した。
ベトナム、インドなど主要輸出国が国内消費優先のため輸出を制限したこと
などが引き金となっているようだ。
フィリピンや香港などコメを輸入する消費地で同様が広がっている。
主食の高騰はインフレを加速し、社会不安を招く恐れも出てきた。
●タイ貿易取引委員会の2日の発表によれば、同国の長粒種米1級の
平均輸出価格は1トン当たり827ドル(約8万4000円)となり、800
ドルを突破。
タイの米価は国際取引価格の参考指標で、各国の米価も高騰。
特に、日本の米価は1トン当たり約30万円と高くなっているが、
コメの余剰で、タイ米との価格差は縮小している。
●コメ急騰の直接の原因は、ベトナムやインドなどの輸出規制である。
主要な輸出国では経済成長や人口増で国内の需要が増加。
自国内への供給を確保するため、ベトナムは3月25日にも首相が
年間の輸出量を350-400万トンに抑える通達を出し、
ベトナム食品協会が2日に6月末まで新規の輸出契約締結を禁止する
申し合わせをした模様。
インドも1日、高級種を除くコメ輸出を全面禁止したほか高級種の最低
輸出価格も1トンあたり1200ドルに引き上げ。
中東有数のコメ生産国であるエジプトも3月末、10月までの輸出停止
を決定した。
■「急騰の理由」■
●各国とも国内の米価が上昇したため、国内流通量を増やす目的で輸
出制限を実施。
その結果、タイに買いが集中し、同国の1-3月の輸出量は前年同月比
で約7割も増えている。
そのタイでも輸出を絞る可能性が出てきたから大変だ。
タイ政府は2日の閣議で米価高騰を受けて政府準備米を月に65万トン
放出することを決定した。
しかし、備蓄は210万トンしかなく放出が続けば3ヶ月ほどで底をついて
しまう。
長雨や洪水、害虫による被害でコメ収穫量減少も懸念され、
輸出業者の中では、年内に1トンあたり1500ドル(約15万円)を超える
との観測も出てきている。
■「コメの行方」■
●健康志向を背景に世界的な米食拡大などから、コメの国際価格は
2001年からじわじわと上昇。
原油高による肥料高騰など生産コスト増も加わり、昨年6月には10年ぶり
の高値を更新した。
稲作用の土地をバイオ燃料作物に転用する動きもタイで拡充している。
イラクでは経済復興に伴い、国内産の伸びを上回る需要が見込まれ、アフ
リカ諸国でもコメ消費が増加している。
●世界のコメ生産量は約4億2000万トンでうち約7%の3000万トンほど
しか国際取引は行われていない。
90年代には30%超あった世界のコメ在庫率も最近は20%を切っている。
今後、コメ不足が世界的に深刻化する可能性すら出てきた。
●原油高から、バイオエタノールで脚光を浴びたトウモロコシ、大豆の高騰
に続き、小麦などの穀物価格は軒並み急騰を見せ、そしてその流れはコメ
にまで及んできた。
しかし、
3ヶ月で2倍になってもその価格は1トン当たり827ドル(約8万4000円)。
日本のコメの1トン当たり約30万円には遠く及ばない値段である。
ある意味で、日本人が考える「米」は蚊帳の外の話ではあるが。
■「増え続ける人口、減り続ける食糧」■
●日本だけを考えれば、少子化、米離れが進んでいるが、ちょっと視野を
広げれば、アジアなど新興国と呼ばれる国も含め経済発展に伴い人口は
爆発的に増えている。
経済発展が進む過程では、農業→工業化が進んでいるワケだが、増え続
ける人口と、減り続ける食料などの問題から「水と食料」は、これから世界
的に深刻化すると言われて所以だ。
原油高はもともとは、新興国など人口が多い地域での経済発展が需要増
を招き、深刻化してきたが、
その流れは貴金属などの資源のみならず、いよいよ「食」という資源にまで
及んできた事を認識したい。
●主要参考文献
【超長期予測・老いるアジア】 小峰隆夫著 日本経済研究センター
【21世紀の人口、食糧戦略、アジアと世界】 アジア人口開発協会
【物語 タイの歴史・微笑みの国の真実】 柿崎一郎著 中公新書
■■(6)【総括】■■
■【改めてコメについて考える】■
●世界のコメや大豆が高騰し、食糧危機の不気味な足音が近ずきます。
世界のコメ生産国は売り惜しみし、輸入国は買い占め、先進国の投機が、
コメにまで及びます。
●世界人口の推移も気になります。
世界の人口は
・1750年 8億人
・1900年 10億人
・1990年 53億人
・2025年 83億人
・2050年 98億人 そのうち途上国人口86億人
貧しい国の人たちの飢餓は、ますます進むことになります。
●日本の食の自給率はわずか39%、
食糧のほとんどを輸入に頼る日本は、果たしてこれで大丈夫なのか。
食糧の急騰は、危機意識の少ない日本人への警鐘と思えてなりません。
●ともにコメを主食とする日本とタイの人たちにとって、コメはお互いの生活
文化に大きく係るものだけに、
この機会に、「日本のコメ」「タイのコメ」「世界のコメ」について、改めて考え
ていただければ、幸いです。
(山田)
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