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■■■チェンマイ慕情 (3) ■■■■■■■■■■■■■■■■
■「チェンマイ花市場」
●チェンマイの朝は早い。
朝4時には、チェンマイを象徴するワロロット市場はじめ、ピン川沿いに
あるチェンマイの花市場が一斉に活動を始める。
チェンマイは、タイ北東部の代表的な花卉の集積地である。
(リンピン・コンドミニアム) (南北に流れるピン川)
●チェンマイ滞在中は、早起きしてほぼ毎日、この花市場を散策する。
日本ではお目にかかれない南国の花が多い。 青いランは、わざわざ
青いインクを吸わせて、魅力的な色彩を創るという。
特に薔薇が美しい。 チェンマイならではの「花数珠」や「花輪」、ドライ
フラワーなど、それはそれは多彩である。
(ワロット花市場)
●クーデターから1年過ぎた2015年、チェンマイに2週間、滞在した。
この時は、知人のウィタヤシリナンさんが社長を務めるチェンマイを代表
する高層のRIMPING(リンピン)コンドミニアムにお世話になった。
●ピン川にかかるナコンピン橋を渡ると、川沿いにワロロット市場の小さ
な花屋が軒を並べる。 朝5時に起きて散策がてら花市場の周辺をみて
歩く。
写真を撮らしてもらう。白い薔薇を買い求める。2,3輪で大体100BTか
ら200BT(3~400円)程度、格別に安い。
毎日通っていると店頭のおばさんたちと親しくなり、笑顔で迎えてくれる。
●言葉による会話ができないので、もっぱら目線と表情による対話であ
るが 結構通じるし楽しい。花市場近くの古寺ワットスリドンチャイの前に
あるモダンなカフェで、コーヒーをのみ、やがて帰路に就く。
ホテルの部屋に薔薇の花が絶えないのもチェンマイ暮らしの妙味である。
■「タンブン(寄託行為)」
●チェンマイのの早朝、街の随所で見かけるタンブンは日本人にとって、
珍しい風景に写る。
タイの在家信者の人たちは、タンブン(寄託、寄付行為)を積み重ねる
事によって、 来世はますます幸せになると言う。いわゆる輪廻転生に
なると信じており、毎朝おとずれる僧侶に托鉢を怠らない。
●タイの人たちの主な寄託行為とはーーーー
・お寺に寄付する
・僧侶に托鉢する。
・自分自身が出家する。
・息子を出家させる。
・魚や小鳥を逃がす。
・仏教の五戒
殺生しない、
盗まない、
犯さない、
嘘をつかない、
酒を飲まない
を守る。
●これは自制と人の事を思うと同時に、平和共存を求める素晴らしい行
為である。チェンマイを訪れて、ほっとする街の感触とは、このようなタイ
の人達が醸しだす優しさからだと判って来た。 そして托鉢に出会うと、
いま日本に失われたものに出会ったような気がして、本当にほっとする。
これもタイを訪れる大きな魅力の一つと言えるだろう。
■「タイの仏教と僧侶」
●タイと日本は、130年を超える古い友好国であり、 同じ王国であり、
おなじ仏教国でもある。 そしてお寺が多い国としても、世界的に知られ
ている。
しかしタイの仏教は、国民のほぼ93%以上が信者を占める国教と言うに
ふさわしい存在である。
しかもタイ国憲法によると、タイの国王は、仏教徒から選ばれるとある。
かようにタイの仏教は、タイ国の公式宗教として偉大な存在なのである。
そのタイには、約3万7千の仏教寺院があり、40万人の僧侶がいる。
●因みに、日本のお寺の数は7万5900、僧侶の数は9万3千人である。
ところが日本のお寺には、タイと違ってお墓があり、檀家と檀徒のつなが
りを維持しながら、寺の経営を維持してきた経緯がある。同じ仏教の寺で
も、タイと日本では、大きく異なる。
●「タイの宗教人口」
(順位)(宗教名) (信者数)人 (構成比)%
1位 仏 教 61,746,429 93,58 ●
2位 イスラーム教 3,259,340 4,94
3位 キリスト教 789,376 1,20
4位 ヒンズー教 41,808 0,06
5位 儒 教 16,718 0,02
6位 その他 78,044 0,12
7位 無宗教 46,122 0,07
8位 不 明 3,820 0,01
(出所 タイ国民人口調査2010)
●「世界の仏教信者」
(順位)、(国名) (信者数)万人 (人口比)%
1位 中国 24,412 18,2
2位 タイ 6、442 93,2 ●
3位 日本 4,581 36,2 ●
4位 ミヤンマー 3,842 80,1
5位 スリリランカ 1,446 69,3
6位 ベトナム 1,441 16,4
7位 カンボジア 1,370 96,9
8位 韓国 1,103 22,9
9位 インド 980 0,8
10位 マレーシア 503 17 ,7
11位 台湾 495 21,3
12位 ラオス 409 66,0
13位 米国 373 1,2
14位 ネパール 9 33,9、
(出所 Pew Resrch Center 2014)
■「魅惑的なタイの寺院様式」
●チェンマイだけでも約300のお寺がある。城壁内にあるワットチェルデ
イアンやワットプラシンやワットチェンマイなどは、あまりにも有名な存在
である。
しかし小さな古いお寺の中にも、特異な建造物や色彩の仏閣がある。
(チェンマイ旧市街(□の中)の地図、右がピン川)
●城壁の北側にある「ワットモーカムトゥアン」は、私の好きな寺院の一つ
である。
300年ぐらいの歴史があるようだが、特に色彩的な造形美は、素晴らしい
の一語に尽きる。 ワットモーカムトゥアンは、旧市街の上部の真ん中あた
りにある。 因みに旧城壁内(旧市街)には、36の寺院がある。
旧市街の一辺は、約2キロメーター、徒歩で約30~40分程度である。
右に流れるのが、ピン川である。
(風格ある「ワットモーカムトウアン」の著名な古寺のたたずまい)
●それは黒瓦に象徴される重厚な趣の日本の寺とは全く異なり、南国特有
の天国を想わす色鮮やさである。
その建築様式の違いとは、日本の大乗仏教が中国から、タイの上座仏教が
インドから渡来した事に起因すると言われるが、それぞれの国民性とも関連
がある様に思えてならない。
■「仏教、王制そして国家」
●成熟化したかに見える中進国タイだが、仏教、王制、そして国家に替わる
社会制度が築かれたかどうかが、いま真摯に問われている。
タイに詳しい北海道大学大学院 櫻井義秀教授は、著書の中で、次のように
述べている。
「国王は明示的意思表示を控えており、国王に忠誠を尽くし国家を守る軍が
直接政治に介入することにも無理がある。
仏教は、徳や善き行いを説くが、政治批判の域を超えない。社会を形作つて
来た制度の限界が見えてきたこれからが21世紀タイの正念場である」
●タイの国民にとっても、日本にとっても,ASEAN にとっても、一日も早いタイ
の政情の民主化が待たれてならない。 (まだまだ続く)
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