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■■■■■戦争の経済から,環境の経済へ■■■■■
北條俊彦
●経営コンサルタント・前 住友電工タイ社長
鎌倉を 驚かしたる 余寒あり 高浜虚子
🔵三寒四温の候、本日、無事に株主総会が終了。
最近, 各社株主総会で 独立社外取締役に対し, 発言を求める
機会が増えており、想定問答として
(Q)「独立社外取締役としての役割と,経営監督の立場とし
て意見を聞かせて欲しい」
(A) 「株主様共通の価値や利益を代弁する立場から業務執行
に対する実効性の高い監督を本分とし, 当社の経営目標に役
立つことが重要だと認識。
重要決定事項について 自身の経験と見識に基づき, 取締役会
などで中長期的で幅広く、且つ多様な視点から、市場や産業
構造の変化と 現状を見据えて活発に意見を述べさせて頂くと
共に, 最終的な経営判断について監督してまいりました。
🔵前期は, 様々な問題で市場や産業構造は大きく変化し, 当
社事業に一時的とはいえ 影響を与えるものでありましたが、
市場での技術要求レベルの 高度化により、当社の競争優位
性はグローバルに拡大してきております。
当社の成長戦略は, 環境問題や社会問題、そして企業責任を
国際基準で捉え, 本業を通じその対策や貢献に資することを
基本とし、ビジネスチャンスやターゲットを正しく捉え, そ
れらを確実に獲得するロードマップと 戦略も 具体的に描か
れており、実現に向けて確実に進んでおります。
また, 今期は成長戦略のフェーズ1である 中期経営計画達成
年度であり、結果が楽しみです。
次に企業風土や企業文化という目に見えないもの、則ち従業
員のやる気やエネルギーとなり, そして 経営戦略に直接影響
を与える大切なものとして, 人財育成と共に 確実にマネジメ
ントされて行くよう監督して行きたいと考えております。
因みに, 企業風土とは職場の人間関係や組織の機能、社員一
人一人から見た労働環境。企業文化とは, 経営戦略の実行の
仕方や目的達成の為のルールやしきたり, そして行動規範で
す。
最後に,当社は社外取締役に対し常にオープンで議論の前提
となる正しい情報を 提供しようとする姿勢があり、情報を
共有の上議論を尽くすようになっており、コーポレート ガ
バナンスはしっかりと効いていることをご報告致します。
引き続きまして, 株主の皆さまのご理解とご支援をお願い申
し上げます。』
しかし, 議長の的確で真摯な総会運営で円満、且つ建設的な
意見交換の場として 実に有意義に総会を終えることができ
想定問答は不要となった(笑)。
🔵株主総会で環境問題や持続可能な成長についての取り組
みが、頻繁に議論されるようになって久しい。
環境経済対策の目玉である電気自動車(EV)普及の伸びが 最
近頭打ちのようだ。自動車メーカー各社との競争激化と 市
場価格の低下でテスラー社の業績は不調, 中国でも大きく影
響を受け 景気の低迷が続き中国自動車メーカーの経営を 圧
迫している。
世界的に見てEV化の潮目が大きく変わってきているようだ。
元々, 日系自動車メーカー潰しの戦略として欧米が仕掛けた
ものの、中国の一人勝ち。
また, 環境、エネルギー供給、インフラ整備、EV自身の品質
・技術・環境対策(バッテリーの大量廃棄からリサイクル化)
等多くの問題を抱え、欧州では従来方針(2035年全面EV
切り替え)を軌道修正しようとしているのだ。
米国・中国では,EV在庫が積み上がり、特に中国都市部では
膨大なEVの放置、廃棄が大問題となっている。EVは消費者
の求める安全性や走行距離, そして充電インフラ、商品価格
等の要求を満たしておらず, 自動車メーカーは『死の谷』を
迎えているようだ。 ●(CO2のシンボルキャラ)
🔵「多くの日本企業が、今,何故CO2削減を目標として行動
するのか?」それはパリ協定など世界の環境問題として 地
球温暖化が外せないということである。
「パリ協定では 産業革命以降、化石燃料の大量消費により
温室効果ガスを大気中に排出、産業革命以降 100年間で
平均温度は0.74℃上昇し, 近年になるほど温度上昇の傾
向が加速しているとして、産業革命前を基準に 平均気温の
上昇を2℃よりも低く抑え1.5℃以下を目指すことを目標
に掲げている。
地球の温度は、大きく考えれば太陽からの放射エネルギー
(地球が受け取るエネルギー)と地球からの放射エネルギ
ーが均衡するところで決まる。
物体が放射するエネルギーは物体の表面積が一定ならば、
その表面温度(絶対温度)の4乗に比例するという ステン
フアン・ボルツマンの計算式を使えば、地球の温度は マイ
ナス18度であり、実際の地表温度はそれよりも 33度も
高い15度となっている。その差が 温室効果ガスによる放
射制限の影響として考えられ、放置すれば地球全体が 熱帯
化し氷河が溶けて海面は上昇、多くの陸地が水没する」と
いうのがパリ協定の主張する根拠だ。
🔵次に、金融資本の働きかけが強いということである。
戦争と同じように“環境の経済“は, 資金の需要と利益を産む
のであろう。
2006年にアナン7代目 国連事務総長が「責任投資原則
(PRI)」を提唱, 金融機関などが, 投資の意思決定や株主とし
て行動する場合、環境、社会問題、企業統治への 取り組み
を考慮すべきというものであり、2015年には 「国連サ
ミット」で世界が社会課題を解決して持続可能な発展を遂
げられるよう、新たな国際目標「持続可能な開発目標(17
のゴールと169のターゲット) 」即ち「SDGs」が 採択
されている。
国連アナン第7代事務総長 出典:JIJI
SDGsの開発目標は異論を挟む余地のない素晴らしいものだ
が,実際に達成することはかなり難しく「絵に描いた餅」に
なりかねない。各目標の矛盾点も多く, 整合性とその前提が
本当に正しいのか冷静に検証する必要がある。
少なくとも, 各国の経済格差や達成環境が違う中で課題を共
有し、実現のための深い議論と具体的なロードマップを策定
することが先決であろう。
美辞麗句を並べるだけで, 指導力のない政治の迷走を横目に
企業だけがその実行を求められる。
企業は本業と各目標との接点を棚卸しし, 冷静, 且つ 客観的
に本業を評価分析してみることが大切で、逆にSDGsを技術
革新や成長の機会と捉えて,成長戦略に繋げて行くことが大
切である。そのためにも本業で貢献する内容を より定量的、
且つ, 計画的な指標として客観的に理解できるよう科学的ア
プローチに基づいた企業目標にすることが肝要である。
🔵2019年に「責任銀行原則(PRB)」で, 131の銀行が 署名
宣言, ESG投資は金融機関の強く求めるテーゼとなっている。
日本からもメガバンク3行と三井住友トラストホールデイン
グスが署名しており、金融機関が、SDGs達成と 気候変動に
向けた共同行動を目指すとこととした。
PRIが提唱されて以降、確かに企業価値の評価基準は大きく
変わった。
これ迄の財務諸表を中心に 短期で大きなリターン、即ち、
①INCOME GAIN配当、
②CAPITAL GAIN株価変動益、
を求める投資から長期の運用で将来的な資産形成を図り,
且つ投資家自身がその投資を通じて
社会貢献(社会的責任投資:SRI)するようになってきている。
この社会的責任投資がESG投資の基本である。
寄付を中心としてきた欧米企業の社会貢献とは 根本的に違
い、日本企業は長い歴史の中で「本業を通じ 社会貢献をす
る経営」を重ねてきた。
ために, 世界の投資家にとって日本こそ魅力あるESG投資市
場の一つであり、また日本企業にとっても 安定的資金の確
保と 企業活動の持続性が得られ、更に成長させる大きなチ
ャンスがやってきたとも言えるだろう。
そのため企業は、投資家を含めたステークホルダーに対し,
ESGに関する中長期的な戦略や取り組みについて 情報を提
供する必要がある。
情報開示のポイントは以下の4点、
①成長戦略と中期経営計画のESGとの関係性
②マテリアルなESG課題とその特定プロセス
③トップのコミットメントとガバナンス体制
④指標と目標値(数値の扱われ方は要注意)
🔵将来, 地球温暖化対策として カーボンプライシングの導
入が考えられているが、化石燃料の枯渇化による エネルギ
ー価格高騰など複合的にコストを引上げ 企業の収益を 圧迫
するだろう。
カーボンプライシングとは、CO2に価格を付け, 企業や家庭
に排出量に応じた負担をさせる政策で
⑴化石燃料使用に伴うCO2排出量に応じて課税する「炭素税」
と、
⑵CO2の排出超過分や、不足分を国同士や企業間で取引する
排出量取引制度がある。
(出典)環境省
『パリ協定は政治的な交渉を経て合意されたものであるが、
温度目標とゼロ排出目標の整合性はまだ、科学的にまだ十分
に検証されておらず甚だ疑問である。空気中の約0.03%し
か占めないCO2の濃度の上昇が、果たして地球の温度上昇に
影響を与えるのだろうか?
公正公平, そして確証(科学的根拠ある正確なデータ)無き
政治的合意(国際ルール)は、一部の者の懐を潤すだけの胡
散臭いものとしか思えない。
また地球温暖化は、単に地球の自然なサイクルだと 考える
科学者もいる。地球の周期的な気候変動では, いつ氷河期に
突入してもおかしくないと言われているが、パリ協定の 目
標が達成されれば氷河期の始まりは、更に 十万年も遅れる
そうだ。
🔵百年の議論も十万年の議論も “本質(真実)”は同じであ
り,本質を捉えることこそが未来への指標となる。
普遍のメカニズムの基本となる原理・原則に基づく仮説を構
築し、真なる法則に近づけることが重要である。
●美しくきれいな地球 (環境庁)
五百万年前アフリカに人類が誕生し、進化を重ねてきたが、
現代の文明社会の歴史は僅かに一万年程度。何よりも人類や
現代文明社会は、更に進化を続けていけるのだろうか?』
話が脱線してしまったが、少なくとも 百年後も,十万年後も
私はは存在していないのだが(笑)
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