■■■■碩学が語る「タイの政治情勢」■■■■
(写真は、講演する赤木、攻 講師)
■「タイ国の政治事情」
●昨日、京都府国際センターで、タイや東南アジアの研究者として高名な前の
大阪外国語大学長、赤木 攻氏の「タイの政治情勢」と題する講演を聴いた。
2006年のクーデター以降、赤と黄の相克といはれた空港閉鎖、首都バンコクの
騒乱など、今も政争の影を色濃く残すタイの現状と、今後の展望が理解できた。
●政争が長引く中で、高度成長を続けるタイの真相は、島国文化の日本人には、
なかなか理解が及ばないところだが、19世紀以降の伝統的な社会風土の中で、
有能なクンナーン(貴族と官僚)を中枢にして、立憲革命による経済や教育開発を
進めたこの国の生い立ちが興味を引いた。
有能なクンナーン(貴族と官僚)を中枢にして、立憲革命による経済や教育開発を
進めたこの国の生い立ちが興味を引いた。
■「アンナとシャム王」
●私事になるが、若かりし東京在学中の頃、帰郷して京都祇園歌舞練場の映画
館で「アンナとシャム王」を観た...その時の感動を、いまも鮮明に覚えている。
すばらしい王宮のたたずまいと 凛とした若い国王、そして美貌の英国人女性教師
が絡む、心温まるラブロマンスだった。
館で「アンナとシャム王」を観た...その時の感動を、いまも鮮明に覚えている。
すばらしい王宮のたたずまいと 凛とした若い国王、そして美貌の英国人女性教師
が絡む、心温まるラブロマンスだった。
戦後の米国偏重のさなか、極東(アジア)に、こんなすばらしい伝統文化の国があ
るのかと驚いたものだ。 それが私のはじめてのタイとの出会いだった。
るのかと驚いたものだ。 それが私のはじめてのタイとの出会いだった。
■「タイを考える4つのキーワード」
●今回のお話の論点は、
・「豊かな自然」
・「多様な民族構成」
・「多様な民族構成」
・「カネ」
・「暴力、武力」
■「タイ国の生い立ち」
1)自然と伝統的な社会風土(19世紀初頭)
2)黒船の襲来、西欧の植民地勢力への対抗、
3)立憲革命から国名の変更(1932年~)
4)開発と独裁(1960年~)
5)軍の民主化と国王の成熟 政党議会制の発展(1980~)
6)タックシン旋風 タックシン異色政権の誕生(2001~)
7)期待される政治勢力の成長 国民倫理の確立、新しいタイの創造
●中でも異色の政治家タックシンの登場は、ばら撒きによる貧困層の取り込みと、
数による国会支配を実現し、伝統的な権力層に殴り込みをかけたが、
伝統的な権力層と 新興権力層+貧困大衆間の権力闘争に発展し、2006年の
クーデターがおき、海外追放の憂き目を見た。
●それにより誕生した次の政権は、その後、両派の対立の中、紆余曲折の政争を
経て、ようやく落ち着きを見せつつある。
期待される政治勢力の成長で、
・中等教育の改革、
・カネと暴力を排除した新しい国民倫理の確立、
・美しいタイの創造
が求められつつあるという。
■「若い研究者の輩出」
●赤木先生はじめ見識ある先達の努力で、若いタイ研究者が輩出した。
そして、タイに関する図書や資料が、数多く出版されるようになったが、直接タイの
碩学から、薀蓄あるタイのお話を伺うのは、まさしく仕事冥利に尽きるというものだ。
わずかの時間ながら、タイの歴史的な背景や近代化への歩みが、手にとるように
理解できた。 至福のひと時であった。
■「タイを学ぼう」
●かねがね、日タイ国際交流活動に携わったり、ロングステイでタイに出向く前に、
タイの歴史や情勢を理解することの有為性を、事あるごとに主張してきた。
タイの歴史や情勢を理解することの有為性を、事あるごとに主張してきた。
いずれ近い機会に、赤木先生にお願いして、会員、関係者やロングスティを目指す
人たちのために、薀蓄あるお話を直接伺う機会を設営したいと考えている。
人たちのために、薀蓄あるお話を直接伺う機会を設営したいと考えている。
【赤木 攻氏の略歴】
大阪外国語大学名誉教授
大阪外国語大卒業後、国立チュラロンコン大に留学。
大阪外国語大教授を経て、1999年同大学長に就任。
2004年から、東京国際交流館館長、
東京外国語大学特任教授などを歴任。
専門は東南アジア地域研究、タイ政治・社会論。
プミポン国王のベストセラーの日本語版「奇跡の名犬物語」
の翻訳も手掛けた。岡山県新見市出身。
【著書】
【著書】
「タイの政治文化 ―剛と柔―」他、多数
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