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「寒心に堪えない」

 私立中学合格を目指している子供たちと一緒に勉強していると、時々「ああ、なるほど」と己の知識を補填してくれることがあって、なかなか面白い。このブログでも、折に触れて記事にしてきたが、今回は「同音異義語」について新たに学んだことを記そうと思う。

 日本語には、同音異義語が多い理由は「音の種類」が少ないからだと言われるが、そんな専門的なことは後回しにして、例えば、「たいしょう」という音を表す漢字を列記してみると、私立中学入試で必須な熟語は「対象」「対称」「対照」の3つであり、それぞれの用例をきちんと把握しておかねばならない。つまり、
 ・小学生を「対象」にした雑誌を買う。
 ・2つの図形はある点について「対称」だ。
 ・彼らは「対照」的な性格だ。
他にも「たいしょう」という読みをする熟語には「大正」「大勝」「大将」「大賞」「隊商」などがあるが、これらの例でも分かるように同音異義語は多い。だからこそ、入試で狙われる可能性も高いし、漢字の苦手な生徒にとっては厄介なジャンルである。

 私が今回、取り上げたいのは「かんしん」という言葉である。今から「かんしん」と入力してみて、変換される語を羅列してみる。
 「関心」「感心」「歓心」「寒心」「奸臣」「感震」「甘心」「姦臣」「勘新」
以上9つの熟語が私のPC(ATOK)で変換されたが、私の知る限り、私立中入試で出題されたことがあるのは、初めから4番目の「寒心」までである。これらの熟語を使った文を書いてみると、
 ・社会の情勢に「関心」を持つようにしよう。
 ・彼の行為には「感心」するばかりだ。
 ・彼は上司の「歓心」を買うようなことばかりしている。
と、すらすら書くことができるが、「寒心」ではたと止まってしまう。「寒心に堪えない」という常套句で使われることくらいは知っているが、ならば、その十全な意味を理解しているかと問われれば、甚だ自信がない。今までは「この言葉は覚えなくてもいい」と生徒たちに言ってきたが、やっぱり私がきちんと把握していないのは、いい加減だとの誹りを受けるだろうから、この際きちんと理解しておくことにした。調べてみたら・・

『「寒心に堪えない」とは、「ぞっとして心配でたまらない心持ち」を意味します。この場合は、現在の世の中を憂えていることになります。「寒心」は「心に恐れを抱くこと・その心」で、「堪えない」はそれを抑えられないことを意味します。もしも、世の出来事に深く感動してしきりに感心している状態を表すのであれば、「感に堪えない」という表現になるでしょう』

 なるほど、大体の意味は間違っていなかった・・。つまり「寒心」=「心配」と考えれば、「寒心に堪えない」というのは、「心配で仕方ない」という意味になる。
 これでちょっとスッキリしたが、まだまだ意味のあやふやな言葉はいくつもあるから、折に触れて、きちんと理解していくようにしなければならない。





 
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