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「タモリ論」

 樋口毅宏「タモリ論」(新潮新書)を読んだ。
 この本を書店で買ったのを見た妻が、「面白くないらしいよ」と言い放ったが、買ってしまったものを返品するのも面倒だから、暇なときにでも読めばいいや、としばらく放置してあった。それを、何もすることのなかった先週末、1時間ほどで読んでしまったが、妻の忠告が遅かったのを少し恨んだ。  
 何にせよ、タモリを論ずることなどできやしない。あれだけTVに出ていて話しているにもかかわらず、タモリは自らの内面なんてまるで語らない。そんな男について論ずることなどできるはずもない。それは、作者も十分理解しているだろうから、結局はこんな中途半端な内容の本しか書けないのも仕方のないことかもしれない。
 
 吉田修一という作家の「パレード」という小説から次の一文が引用してある、
『「笑っていいとも!」ってやっぱりすごいと私は思う。一時間も見ていたのに、テレビを消した途端、誰が何を喋り、何をやっていたのか、まったく思い出せなくなってしまう。「身にならない」っていうのは、きっとこういうことなんだ』

 蓋し名言であろう。本書についても同じ感覚をもって読了しただけに、なんだか笑ってしまった。
 
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