小学生のころの、いやなことをまた思い出してしまった。
小学校は子供の足で15分か、もっとかかったのか、計ったこともなかったが、なにしろ学校が遠いという印象が強く、空を飛んで行けたらいいのにといつも思うほど、歩いて通学するのが苦痛だった。
寒い季節のことだった。
学校からの帰り、暴風雨の中、傘をさしてずぶ濡れになって、ようやく家にたどり着いた。
寒くて、冷たくて、さんざんだった。
私のあとから、どこへ行っていたのか、母が帰ってきた。
開口一番、母は
「神田さんが足を真っ赤にして、雨の中、帰って行ったわ、かわいそうに。」
と、同学年の女の子の神田さんを心配することを言った。
私は、濡れて帰って冷たい思いをしてきた私のことを気づかずにいる母の様子が悲しかった。
「私だって、どしゃぶりの中歩いてきて冷たくて大変だったのよ。」
そう言うと、母は同情するより、違うことを言った。
「神田さんは、もっと遠くまで歩いて帰るのよ。かわいそうじゃないの。」
あとはなんと母が言ったのか忘れた。
とても悲しかった。
小学校は子供の足で15分か、もっとかかったのか、計ったこともなかったが、なにしろ学校が遠いという印象が強く、空を飛んで行けたらいいのにといつも思うほど、歩いて通学するのが苦痛だった。
寒い季節のことだった。
学校からの帰り、暴風雨の中、傘をさしてずぶ濡れになって、ようやく家にたどり着いた。
寒くて、冷たくて、さんざんだった。
私のあとから、どこへ行っていたのか、母が帰ってきた。
開口一番、母は
「神田さんが足を真っ赤にして、雨の中、帰って行ったわ、かわいそうに。」
と、同学年の女の子の神田さんを心配することを言った。
私は、濡れて帰って冷たい思いをしてきた私のことを気づかずにいる母の様子が悲しかった。
「私だって、どしゃぶりの中歩いてきて冷たくて大変だったのよ。」
そう言うと、母は同情するより、違うことを言った。
「神田さんは、もっと遠くまで歩いて帰るのよ。かわいそうじゃないの。」
あとはなんと母が言ったのか忘れた。
とても悲しかった。