理事長退任にいたる理事会でのやり取りの模様は、スポーツ紙の方が却って詳しい。
最初、北の湖氏は理事長職に残存する意志が強く、ほとぼりが冷めるまで理事長代行を置いて乗り切ろうとしたらしいが、理事たちに批判され辞任することを決めたと言う。
私が「事実上更迭され」と書いたのは、そういう経過があったからである。
しかし、北の湖氏は理事には残留し、直ちに大阪場所の責任者に任命されたという。
理事長職からみれば『左遷』と言えないこともないが、それでも地方場所の責任者と言う重要な役職を担うことになる。
理事会全体としても体制に変化はないということらしい。
頭を挿げ替えれば斬新な運営ができるか? と言えば、自民党総裁や厚生労働大臣や社会保険庁長官などの実態をみても結果は明らかである。
理念(表向きの看板という意味ではなく)や行動規範や規則を変えて行くこと無しには変革はありえない。 反面、そういうものを制定しただけでもダメである。
枠組みを制定し、強い意志をもって行動すること無しには体制は変革できないのである。
以下は、河北新報の本日付社説。 割と私の意見に近いので紹介する。
相撲協会/閉じた組織は迷走する
ほかでもない、このわれわれが、伝統を支えてきた。大相撲53の部屋の師匠たちは、そう自負しているに違いない。
ほかでもない自分こそが、この組織を支えている。師匠たちの長たる理事長ともなれば、強くそう自覚していないことには務まらないだろう。
強烈な自負はしかし、時として、自らの現在の環境を省みる目を曇らせる。冷静に現状を見つめることができない組織は、迷走する。北の湖理事長が辞任するまでの日本相撲協会は、そう見えた。
組織の中からも外からも、意見や批判や助言が集約されていなければ、柔軟で的確な判断を導き出すことはできない。
協会の内と外に、情報集約の開かれた回路をどう設定していくか。武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)の下での新体制の課題は、そこにある。
ロシア人力士2人を解雇した今回の大麻問題に限っても、対応のまずさが目立った。協会はまずその点を検証すべきだ。
抜き打ち検査で陽性反応が出た場合、どう対応するか。簡易検査の段階、専門分析機関に移ってからの段階で、それぞれ当事者の力士や部屋の師匠、報道機関にどう説明すべきかを、事前に十分検討していたとはとても思えなかった。
「弟子の無実を信じる」とか「捜査機関の鑑定が必要だ」とか、そんな趣旨の発言があった。ドーピング検査の意味合いや捜査手続きとの違いが、理事長を含めて共通理解になっていなかったことの表れだ。
トップの情報不足、理解の欠如はトップが責めを負うべきだが、内部で補佐の役割が機能していたかどうかも当然、問われなければならない。
前理事長が4選を果たしたのは今年2月。時津風部屋の力士急死事件、朝青龍のサッカー騒動などを経てなお、「北の湖体制」を維持したことへの反省が深まらなければ、トップに物言う改革は生まれない。
トップに周辺が進言しやすい手だてを考える以上に補佐機能の強化として実現したいのは、専門家の意見の導入である。
大麻問題でスポーツ医学の専門知識が生かされはしたものの、全体に浸透しているとは言えない実情が分かった。ドーピング検査の本格実施に向け、ほかの競技団体の意見を聞く場も設けた方がいい。
法務対策の専門家の意見を聞く機会がもっとあれば、こんな対応はしなかったはずだ。そう感じさせる場面も多かった。危機管理対応の観点からは、広報対策の助言も必要だった。
外国人力士対策を日本語教育に絞って考えても、まずその分野の専門家による研修プログラムづくりが欠かせない。外国人雇用という側面からは経済界の意見が有効かもしれない。
大横綱、名大関がトップを務め、それぞれに実績を挙げた師匠が部屋をまとめればうまくいくという時代ではなくなった。
限られた一部の好事家が伝統技芸として楽しむという形を避けたいのであれば、閉じた組織を改革しなければならない。
2008年09月10日水曜日
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