2010年12月18日(土)
民主党・菅内閣によって策定された、【新防衛大綱】が発表された。
マスメディアは、中国・北朝鮮など東アジア情勢シフトのものだと
書き立てているが、実質はアメリカの肩代わりを進めて、
アジアだけではなく、全世界を対象に自衛隊を展開することができる
ようにしようという戦略である。
今や、防衛省は、“The department of War” に変質
しようとしている。
なお、この“The department of War” との呼称は、
米軍の旧・陸軍省の「正式名称」だったとのこと。
(2010/12/18;赤旗「潮流」に紹介されていた)
尖閣事件と北朝鮮による砲撃事件を逆手にとって、軍事対応を
強めようという所謂『タカ派』のやり方は、自民党政治以上に
危険な性格のものである。
(産経新聞より)
「動的防衛力」 軍事対抗へ大転換 政府が「新防衛大綱」
2010年12月18日(土)「しんぶん赤旗」
その重要な一環として沖縄の基地問題があるのは明らかである。
菅首相は、昨日仲井真弘多沖縄県知事と会談し、記者会見では、
「仲井真知事にベストではないが、ベターな選択として辺野古への
移転を御検討して頂きたい、と申し上げた」と言っていたが、
何がベターなものであろうか? ワーストではないか!
仲井真知事も会談後の記者会見で「総理は勘違いをしている。
ベターもベストもない。どちらもバッド(悪い)だ」とキッパリ!
菅首相、辺野古が「ベター」=沖縄知事は不快感―会談進展なし・普天間移設(時事通信)
2010年12月17日(金)18:03
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中国念頭、南西諸島の防衛力強化へ 新大綱を閣議決定(朝日新聞)
2010年12月17日(金)12:25
中国懸念、南西諸島を重視=テロに対処、自衛隊に即応性―新防衛大綱 (時事通信) 2010年12月17日(金)12:03
政府は17日午前、安全保障会議と閣議を開き、今後の国防の指針となる新たな「防衛計画の大綱」(防衛大綱)を決定した。新大綱は、軍備の増強を続け海洋進出を活発化させる中国を「地域や国際社会の懸念事項」と明確に位置付け、自衛隊配備の空白地帯となっている南西諸島の防衛を重視した。併せて、テロやゲリラへの対処も掲げた。その上で、こうした情勢変化に対応するため、部隊を全国均等に配置する「基盤的防衛力構想」を転換、自衛隊の機動性や即応性を重視する「動的防衛力」の構築を打ち出した。
大綱の策定は、東西冷戦下の1976年が最初で、4回目。今回は6年ぶりの見直しとなり、民主党政権下では初めてだ。おおむね10年間の対応を念頭に置いている。
前大綱までの「基盤的防衛力構想」は、旧ソ連の侵攻を想定し、北海道に陸上自衛隊の部隊を手厚く配備する根拠となっている。新大綱は「従来の基盤的防衛力構想によることなく動的防衛力を構築する」と宣言、冷戦時代の国防の考え方から完全に脱却した。そして、「動的防衛力」として、自衛隊が即応性や機動性を兼ね備える必要性を指摘。そのため、連携不足が指摘される陸海空の3自衛隊による共同訓練・演習など、「統合運用」を進める方針を示した。
日米の防衛協力については「充実を図る措置の検討」をうたい、朝鮮半島で挑発行為を繰り返す北朝鮮に関しては、前大綱と同様「重大な不安定要因」として、引き続き警戒する。
「動的防衛力」 軍事対抗へ大転換
政府が「新防衛大綱」中国を「懸念」
南西諸島に部隊増強 2010年12月18日(土)「しんぶん赤旗」
政府は17日、今後10年間の日本の軍事力のあり方を示す新たな「防衛計画の大綱」を閣議決定しました。民主党政権初となる新防衛大綱は、日本防衛を建前とした「基盤的防衛力構想」を改め、「動的防衛力」の構築へ方針を大転換。中国の軍事力の近代化・強化を「地域・国際社会の懸念事項」とし、軍事的に対抗する姿勢を打ち出す重大な内容となりました。
防衛大綱の策定は1976年が最初。今回、6年ぶり4回目となります。
新「大綱」は中国への対抗を意識し、南西諸島への新たな部隊配備や潜水艦部隊の増強などを打ち出しました。
「動的防衛力」については、「各種事態に対し、より実効的な抑止と対処を可能」とするものと説明。機動力と即応性をより高めることを重視し、アジア太平洋地域さらには地球規模での自衛隊の展開を想定しています。
同時に、「国際平和協力活動」に「より積極的に取り組む」と海外派兵の推進を表明。そのために、PKO(国連平和維持活動)参加五原則の検討をうたいました。
新「大綱」は、日米同盟について「今後とも必要不可欠」と強調。ミサイル防衛や情報保全などあらゆる面で「日米協力の充実」をはかるとし、沖縄新基地建設を含む在日米軍再編合意の着実な実施、「思いやり予算」の積極推進を約束しています。米国の「核抑止力」も「不可欠」としました。
政府は同日、新大綱のもとで、11年度から5年間の軍事力の整備目標を示す新「中期防衛力整備計画」(中期防)も閣議決定し、総額23兆4900億円程度としました。「南西地域対処」として、与那国島への陸上自衛隊の沿岸監視部隊配備や移動警戒レーダーの展開などを盛り込みました。
自衛隊の海外派兵では、陸自中央即応集団の機能充実、ヘリ搭載護衛艦や輸送機の後継機整備など海上・航空輸送力の強化を打ち出しました。
2010年12月19日日曜日 追記
新防衛大綱/議論深める好機だったのに 河北新報 2010年12月19日日曜日
政権交代は昨年、急激な景気後退のさなかに起きた。貧困と雇用への不安が広がる中で、私たち有権者の目はどうしても国の内側に向きがちだった。
米軍普天間飛行場移設問題の迷走に加え、中国漁船衝突事件、北朝鮮の韓国砲撃が相次ぎ、目を外に向けて、国の安全保障の方向付けに深い関心を寄せざるを得なくなった。
これからの防衛の基本方針をどうするか、針路を変更すべきだとすれば、国際社会、とりわけアジアの国々にどう理解を求めていくか。議論を深めるいい機会だったはずだ。
政府の新たな防衛計画大綱が決まった。好機は生かされなかったと思う。
新大綱は従来の「基盤的防衛力」から「動的防衛力」への転換をうたう。武器輸出禁止の三原則見直しにつながりかねない文言も見える。
針路を変えようとする割には、政府・与党内の議論の中身さえ十分伝わらないまま新大綱は閣議決定された。菅直人首相が掲げる「国民全体で考える主体的で能動的な外交」とは程遠い進め方である。
米国の影響力が相対的に変化する中で、中国の軍事力増強や北朝鮮の挑発行動により周辺地域の情勢は不透明で不確実だ。国際テロ、海賊行為への対応も差し迫った課題だ。新大綱が示すそんな現状認識については、あまり異論は出ないだろう。
前の大綱(2004年改定)までの基本概念だった基盤的防衛力は、上陸侵攻を想定した部隊配置を重視していた。即応性、機動性を生かす効率的な部隊運用を強調するのが、動的防衛力という考え方のようだ。
厳しい財政事情も背景にある。「人件費の抑制・効率化とともに真に必要な機能に選択的に集中して、防衛力の構造的な変革を図る」と説明している。
大綱の改定は昨年行う予定だった。鳩山政権は先送りを決めて有識者懇談会を設置。その報告書を基に民主党の外交・安全保障調査会が提言をまとめた。提言は武器輸出三原則の一部見直しを容認し、「構造変革」の色合いがより濃い内容だった。
武器輸出管理について新大綱は、国際共同開発への参加を検討するという趣旨にとどめ、党提言よりは弱い表現を選択している。社民党との連携に配慮してのことだ。
仙谷由人官房長官は「政権交代した以上、安全保障環境に対応した予算、施策でなければならない」と独自色を強調した。一方、社民党の福島瑞穂党首は「自民党時代より踏み込みすぎている」と批判している。
民主党調査会の提言に対して党内からも、福島党首と同様の声が上がった経緯がある。しかしその後、政府・与党内でどんな議論が交わされ、どの程度の深まりがあったのかは伝わってこなかった。
安全保障環境が変化したという現状認識を共有できたのだとすれば、その先の針路をどう見定めるべきかを政治は有権者に提示し、語り掛けなければならない。その議論を先導するのが政権党の責務ではないか。
河北新報 2010年12月19日日曜日