「大飯原発を再稼働させないと、この夏の電力が2割も不足する」
という大誇張のニュースを関西電力と、その情報を鵜呑みにした政府が
流し続けているが、今日の西日本新聞は第一面で、この問題をチェックし
電力不足はピーク時の一時的なもので、原発を再稼働しなくても去年並みの
操業調整や節電で充分乗り切れることを明らかにした。
私も何度もこのブログで強調しているが、ほんのピーク時に上回る可能性が
あるというだけの話で、「節電すれば電気代を割安にする方法」等で誘導すれば
何も問題が無い程度のことだ。
Web 記事では、下記のように短くなってしまったが、紙面ではもう少し
詳しく書いていた。
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関電、電力不足は計58時間 今夏全体の2・8%
(西日本新聞) - 2012年4月12日(木) 02:02
関西電力の全原発停止が続いた場合、電力需要が昨夏並みだと、今夏に電力が足りなくなるのは計58時間で全体の2・8%となり、ほとんどの時間は電力不足を回避できる可能性があることが関電の公表データから11日、分かった。
関電は供給力不足のため、大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働が欠かせないと強調している。今回は、供給力と昨夏実績の単純比較だが、需要が大きくなる時間帯の対策ができれば、再稼働を急がなくて済む可能性があり、短時間のピーク時対応が最重要課題と言えそうだ。
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福島4号機のプール冷却が停止 第1原発、警報作動
(西日本新聞) - 2012年4月12日 17:18
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/296815
東京電力は12日、福島第1原発4号機の使用済み燃料プールの冷却装置で午後2時44分に警報が作動し、装置が停止したと発表した。現場で水漏れの有無などを確認中。当時の水温は28度で、冷却停止中の上昇は毎時約0・5度とみられ、急激ではないとしている。
プールの中には使用済み燃料1331本が貯蔵され、熱を発し続けている。装置はプールの水を引き出し、冷やした上でプールに戻す仕組み。警報が作動したのは水を冷やす機器の付近で、水漏れや異物の混入などの可能性が考えられるという。
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原発ゼロでも25%削減可能 温室ガスの環境省試算
(西日本新聞) - 2012年4月12日 12:22
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/296785
環境省の中央環境審議会の検討会は12日までに、2030年の国内の発電電力量に占める原発の比率がゼロでも、省エネ対策や再生可能エネルギー導入を大幅に強化すれば、温室効果ガス排出量を1990年比25%削減できるとの試算の素案をまとめた。原発比率が20%の場合は33%削減できるとも推計した。
経済産業省の総合資源エネルギー調査会は11日に原発が稼働しないと30年の二酸化炭素(CO2)削減は16%にとどまるとの試算を示しており、見通しの違いが鮮明になった形。これらの試算を基に、政府のエネルギー・環境会議が夏までに最終的な戦略案をまとめる。
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西日本新聞 社説(2012/4/7)
再稼働新基準 誰がどう責任を取るのか
(西日本新聞) - 2012年4月7日 10:51
定期検査で運転を停止した原子力発電所の運転再開について、政府は安全性を判断する新たな基準を決定した。
東京電力福島第1原発事故を教訓に、東日本大震災級の地震や大津波に襲われても同様の深刻な事故を起こさない。その備えができているかが要になる。
その上で、安全性・信頼性の向上のため原子力事業者が不断の努力を怠らない。その姿勢が明確なことも条件だ。
考え方は分かるが、なぜ、これだけで原発再稼働の可否の判定が可能か。丁寧な説明がないと国民は納得しづらい。
もっと言えば、政府がより具体的な判断基準を示したとしても、再稼働で国民的な合意は難しかろう。原発の安全性は揺らぎ、政府や電力会社に対する国民の信頼はいまだに回復していないからだ。
「安全です」「大丈夫です」と言っても、口約束だけなら国民は信用しない。
では、どうするか。何かあったとき、大丈夫ではなかったとき、誰がどう責任を取るのか、はっきりさせることだ。
福島第1原発事故では、事故を招いた責任が誰にあるのか、まだ曖昧なのだ。
それは東電だろうとの声が出そうだ。だが、東電の説明はちょっと違う。
東電としては地震、津波対策も含めて原発の安全確保を最優先に考え、国と一体で取り組んできた。だが、想定を超えた災害で大事故になった。反省する点もあるが、当社の過失よりも天災の要素が強い-。要約するとこんな感じか。
世間的には通りにくい考え方であり、国も基本は事業者の責任との立場だ。
だが、そういう国も一方で東電救済に踏み出さざるを得なかった。原発被害はなお続いている。間接的な事故の影響もある。被害総額はいまも確定できない。
日本一の会社といえども、とても払いきれる賠償額ではない。そして、つぶすには東電は大きすぎてつぶせない。
結局、国と電力会社で「原子力損害賠償支援機構」を創設し、福島第1原発事故の被害の賠償に当たることになった。これで責任の所在が曖昧になり、東電に対する責任追及は不十分なままだ。
福島第1原発事故の教訓はまだある。
当局と事業者のなれ合い、もたれ合いである。国は安全規制を最低限守るべき条件とし、電力会社がそれ以上の対策を自主的に講じることを期待した。だが、電力会社は規制以上の対策には消極的だった。事故が起きて分かった。もっとやるべきこと、やれることがあった、と。
福島第1原発事故で百八十度変わったか。国民はここを見ている。国はどうすべきか。問題があれば国自身も含め厳しく責任を問われるようにすることだ。
例えば最新技術や知見に基づく安全対策が施されてなければ、運転停止させる、巨額の「罰金」を科すなどはどうか。不十分な対策を見逃した国は重い監督責任を負う。監督官庁と事業者の間に本来あるべき緊張感を取り戻す。そのための法整備など手段も権力も国にはある。
=2012/04/07付 西日本新聞朝刊=
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