この件は、パススルーしようと思っていたが、やっぱりひと言書いておく。
今日の読売新聞社説は、消費税のくだり以外は、結構本質を突いていたと思う。
わたしは、小沢一郎が『無罪』になった、決定的なボタンの掛け違いは、
検察による証拠のデッチ上げという、厚労省村木冤罪事件等の検察の体質が、
結局、他の証拠も含めて証拠能力が無くしてしまったことにあると思う。
厚労省事件と同じ前田恒彦検事が関わっていたことが一層証拠が偽造
である疑いを強くしたのは当然であろう。
その上、その偽造証拠を自らの捜査に使うだけではなく、検察審査会
にまで提示したという詐欺体質。
これがなければ、小沢は「有罪」になっていた可能性が濃いと思う。
しかし、無罪判決の理由が極めて弱い。 報道によると、
【こうした会計処理を違法であると小沢氏が認識していたことを
示す立証は不十分】
と言っている。
「ある行為が違法である」という認識が無くて起こした行為は罪が
問われないのか?
そんなことが許されれば、何か犯罪を犯した容疑者が
「それが違法だとは全く知りませんでした」と言い逃れができてしまう。
暴力事件や殺人・放火のような誰でも解る犯罪とは別の種類の犯罪は
特に民事では数多くあるだろう。
「隣の木の枝が伸びて落ちた果実は食べても良い」か?
のようなものも多い。
公職選挙法などは、宣伝物の配付や掲示などで、専門家以外は知らない
細かい規定があるようだ。
「公選法違反とは知りませんでした」が認められれば無罪となれば、
公選法などは有って無きが如しであるが、実際には毎回多くの検挙者を
出している。
「違法とは知らなかった」ことを理由に小沢が無罪となったのなら
超法規的配慮の判決と言えるのではないか?
では、読売社説を全文引用する。
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小沢氏無罪 復権の前にやることがある (4月27日付・読売社説)
(読売新聞) - 2012年4月27日(金)01時43分
◆「秘書任せ」の強弁は許されない
結論はシロだが、「潔白」ではなく「灰色」という司法判断だろう。
資金管理団体・陸山会の土地取引を巡り、元秘書と共謀し政治資金収支報告書にウソの記載をしたとして政治資金規正法違反で強制起訴された民主党の小沢一郎元代表に、東京地裁が無罪を言い渡した。
土地購入原資の4億円の不記載などについて、判決は「小沢氏は元秘書から報告を受け、了承していた」と認定した。検察官役の指定弁護士が「共謀が成立する」と主張したことには「相応の根拠がある」とまで述べている。
ただし、こうした会計処理を違法であると小沢氏が認識していたことを示す立証は不十分だとして、最終的に共謀は認めなかった。有罪か無罪か、まさに紙一重の差だったことがうかがえる。
判決は、秘書だった石川知裕衆院議員らがメディアからの批判を恐れ、小沢氏提供の4億円を意図的に隠蔽した、と指摘した。
石川議員ら元秘書3人に対しては、1審・東京地裁が昨年9月、有罪判決を言い渡している。
刑事責任は認定されなかったが、小沢氏に元秘書への監督責任があるのは当然だ。政治家としての道義的責任も免れない。
◆「消費税」へ影響避けよ
民主党の輿石幹事長は、小沢氏の党員資格停止処分を解除する手続きを取る考えを表明した。処分期間は「判決確定まで」とされている。処分解除には党常任幹事会の適切な手続きが求められる。
懸念されるのは、野田首相が「政治生命を懸ける」と明言する消費税率引き上げ問題への影響だ。
小沢氏は、増税について「その前にやるべきことがある」などと反対している。今後、野田政権を一段と揺さぶる構えで、首相は厳しい政権運営を迫られよう。
党内には、小沢氏を要職に起用する案もあるが、疑問だ。「政局至上主義」的な小沢氏の影響力拡大は、消費税問題を混乱させるだけで、良い結果を生むまい。
そもそも消費税問題は、昨年の党代表選や関連法案了承などで決着済みのはずだ。それなのに、党内の慎重・反対論が収まらず、足並みが乱れ続けている。
そのため、政権党への国民の不信が増幅していることを、小沢氏らは認識する必要がある。
◆国会で説明責任果たせ
野党は一斉に、小沢氏が国会で政治とカネの問題に関して説明することを要求している。
小沢氏は一時、衆院政治倫理審査会への出席を表明したが、「予算審議を促進するなら」との身勝手な条件や「三権分立」を持ち出し、説明責任から逃げている。まず国会での説明が欠かせない。
裁判では、政治資金の公開制度を軽んじる小沢氏の政治姿勢も、改めて浮き彫りになった。
政治資金収支報告書は国民が政治資金の流れを把握するための重要な資料だ。にもかかわらず、小沢氏は報告書の作成を「秘書任せ」にしてきたと繰り返した。
判決は、「収支報告書を一度も見たことがない」とする小沢氏の供述を「信用できない」と断じ、政治資金規正法の精神に反していると指弾している。
小沢氏のような「秘書任せ」の主張がまかり通るのは、虚偽記入などの法的責任が政治家でなく、政治団体の会計責任者にあるためだ。連座制の強化など、規正法の改正を検討すべきだ。
◆検察は捜査の猛省を
この裁判では、検察の捜査の問題点があぶり出された。
石川議員らの捜査段階の供述調書は、供述の誘導など取り調べの違法性や不当性を理由に、その大半が証拠採用されなかった。
判決も、「見立てに沿った供述の獲得に担当検事が力を注いでいた」と、「調書偏重」の検察捜査の在り方を厳しく批判した。
元厚生労働省局長が無罪となった大阪の郵便不正事件でも見られた悪弊だ。検察は猛省し、捜査の適正化を図らねばならない。
石川議員に関する虚偽の捜査報告書が作成され、検察審査会に提出されていたことも発覚した。
「審査会の判断を誤らせるようなことは決して許されない」との判決の指摘は当然だ。検察は、虚偽報告書が作成された意図や経緯を調べ、責任を追及すべきだ。
今回は、一般市民で構成される検察審査会の議決に基づく強制起訴事件としても注目された。
民主党内には検察審査会制度の見直しを求める声がある。だが、小沢氏の規正法軽視が明らかになるなど、裁判が開かれた意義は小さくない。安易な見直し論に走るべきではなかろう。
(2012年4月27日01時43分 読売新聞)
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