中国の人々は旧日本軍に侵略されたと思っている
侘助「1940年(昭和15年)8月26日、北支那方面軍第一軍参謀長の田中隆吉少将は「敵根拠地ヲ燼滅掃蕩(じんめつそうとう)シ敵ヲシテ将来生存スル能ハザルニ至ラシム」と命令した。このことをもって、中国の人々は日本軍の三光作戦と言うようになった。「殺し尽くし・焼き尽くし・奪い尽くす」。これが三光作戦である。このようなことを旧日本軍は行った。また 731石井細菌部隊は次のようなことを行った。「秘密中の秘密というのは、細菌戦をもって攻撃をやるという研究をやったということと。それから人体実験を行ったという2つの点であります」と関東軍 梶塚軍医部長は証言している。
呑助 戦前の日本軍は人道に反する戦争をしたんですね。
侘助 戦争そのものが人道に反することだよね。
呑助 安倍総理は旧日本軍が中国に侵略戦争をしたということをみとめていないようですね。
侘助 後の歴史学者の判断にまかせると述べ、日中戦争を侵略戦争であったということの判断をしないという立場をとっている。
呑助 日本の歴史学者の大半は日中戦争を日本軍による中国侵略戦争だと認識しているんじゃないのですか。
侘助 「大東亜新秩序」の建設を掲げた日本を盟主とする東アジアの広域ブロック化の構想とそれに含まれる地域、大東亜共栄圏をつくる聖戦であったと安倍総理は考えているのかもしれない。
呑助 時代錯誤も甚だしい認識じゃないですか。まさかそんなことを考えているとは思いませがね。
侘助 いやそうじゃない。真面目に真剣にそう考えているようだ。安倍晋三氏は祖父岸信介を尊敬してやまない人だからね。岸信介は「名にかへてこのみいくさの正しさを来世までも語り残さむ」と戦後、詠んでいる。
呑助 岸信介はA級戦争犯罪人として巣鴨拘置所に戦後入れられていた人なんじゃないですか。
侘助 岸信介は東條英機内閣の太平洋戦争開戦時の重要閣僚であったことから、極東国際軍事裁判ではA級戦犯被疑者として3年半拘留されたが、東條英機が絞首刑された翌日に不起訴のままアメリカ占領軍政府によって無罪放免されている。岸信介はA級戦犯として故郷を去るとき「名を惜しむなら命を捨てよ」と自決をすすめる恩師への返歌としてこの歌を詠んだと原彬久氏は著書『岸信介』の中で書いている。
呑助 岸信介はA級戦争犯罪人として訴追されたにもかかわらず一切反省することは無かったと言うことですか。
侘助 反省するどころか共産中国をアメリカの軍事力を使って打倒することが自分の政治的使命だと岸信介は自覚していたのではないかと思う。岸にとって中国侵略戦争は「みいくさ」聖戦だった。
呑助 中国人を殺し、中国人の土地を奪い、中国人の富を奪うことが「みいくさ」なんですか。
侘助 共産主義の実現を図る中国人を殺すことは正しい。中国人の土地を奪うことは正しい。共産主義を撲滅することは正しい。人々に不幸をもたらす共産主義を撲滅することは人々を幸せにすることだと岸は考えていた。
呑助 反共主義とはそういうことですか。
侘助 中国共産党八路軍と戦った関東軍の「みいくさの正しさを来世までも語り残さむ」と極東国際軍事裁判、東京裁判に出向くときに岸はこの歌を詠んでいる。
呑助 人間には強い人もいれば、弱い人もいる。いろいろな能力のある人もいれば、能力の低い人もいる。がしかし、すべての人が平等に生きて行こうという思想が共産主義思想なんじゃないですかね。
侘助 能力の高かった岸信介にとって平等な社会は自分の能力が全うに評価されない社会だと考えたのかな。
呑助 日本共産党の不破哲三氏は岸信介に勝るとも劣らない優秀な人だと言われていますよね。
侘助 ソ連共産党、中国共産党と理論闘争をして独立自尊の日本共産党の理論的基盤を築き、今や中国共産党からも高く評価されているようだからね。
呑助 確かにソ連が崩壊しても日本共産党はびくともしませんでしたね。
侘助 今の自民党は岸信介の思想を実現しようとしている。しかしこの思想は亡国の思想だと思う。