三月第二土曜日は酒蔵釜屋の蔵祭だ
侘助 何回目になるだろう。天気に恵まれ楽しくお酒がいただけた。
呑助 搾りたての酒、いかがでしたか。
侘助 搾りたての酒は、搾りたてという独特の香りがあるように思うな。
呑助 お酒にもイメージが付きまとうということですか。
侘助 圧倒的にお酒はイメージが大切な商品だと思う。
呑助 お酒だけなく、商品そのものがイメージ商品なのではないかと思いますけど。
侘助 味は第二次的なものだというの。
呑助 蔵のお祭りという雰囲気がいいのでしょう。どのくらいの参加者がいましたか。
侘助 毎年、二千人くらいじゃないのかな。
呑助 熟年世代の男の人が中心ですか。
侘助 そんなことないよ。女性が一人で来ているよ。若い女性じゃなかったがね。
呑助 若い女性も来ているんですか。
侘助 若い女性というと毎年ミス日本酒埼玉代表の方が見えていた。鏡開きした樽酒を酌んでもらい、杉の枡酒を飲ましてもらったよ。
呑助 ミス日本酒なんていう美女がいるんですか。
侘助 一般社団法人「ミス日本酒」が主催している。ミス日本酒グランプリに輝くと海外に出向き、日本酒の宣伝をするようだ。例えばTHE JOY OF SAKE New Yorkがある。アメリカで日本酒と日本文化の宣伝をするイベントに出向く。
呑助 日本政府もこのような団体を設立し、日本文化と日本酒の宣伝をしているのですね。
侘助 2019年度ミスにほんしゅ埼玉代表の冨田梨花さんは振袖を着て蔵祭り参加者に笑顔を振りまいていた。ネットで調べてみたら看護師さんのようだ。
2019年度の最終審査会は3月15日、京都で開催されるようだ。われわれ一般人も参加できるみたい。コースディナー、お土産に日本酒付で参加費3万円のようだ。
呑助 共催団体が券を売っているのかもしれませんね。
侘助 外務省、農林水産省、経済産業省、環境省、国税庁、観光庁、知的財産戦略本部、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、日本貿易振興機構(JETRO)、京都府、京都市が後援している。
呑助 日本酒を世界に発信していくということはいいことですよね。
侘助 ミス日本酒に応募し、県代表に選ばれた女性たちは二か月間、和服特に振袖の着付け、日本酒の教養を受け、ファイルに出場するみたいだ。
呑助 日本酒の宣伝をするには、教養が要求されるのですね。
侘助 水着審査のない唯一のミスコンのようだ。日本文化の宣伝レディとして一年間活躍するということなんでしょう。和服文化や日本酒文化を普及するということは良いことだと思う。
呑助 日本の酒造メーカーの大半は中小企業ですよね。
侘助 大企業といっても従業員数は少ない。日本文化を担っているのは中小零細企業が日本の食文化や飲酒文化を担っている。このような所に焦点を絞り、海外に日本酒を売っていく。ワインに比べて日本酒は遥かに美味しいと思うからな。ミス埼玉代表になった冨田梨花さんは次のようなことを述べている。「食に対する姿勢が見直されている近年では、全世界でスローフードという、土地に合った方法で丁寧に生産された食を楽しむことで、その土地の魅力を見直す考え方が推進されています。その土地の酒米と水を使い、人の手で作られた日本酒は、土地の風土や文化が濃縮された、非常に優れたスローフードであると考えております」とね。
呑助 日本酒はスローフード食品の一つということですか。
侘助 スローフード運動は旨いワインを飲みたいというイタリア人が始めた運動だと聞いている。旨い日本酒が飲みたいという日本人はたくさんいるに違いない。旨い日本酒を飲みたいと始めた営みの一つが清酒「力士」を醸す酒蔵「釜屋」の蔵祭りだった。
呑助 地酒ブームは日本におけるスローフード運動の一つだったのかもしれませんね。
侘助 そうだと思うな。国鉄の宣伝「ディスカバージャパン」が発見した日本酒が「越乃寒梅」だった。四十年以上前の話になるね。スローフード食品として旨い日本酒が発見された。