【731部隊の戦争犯罪】
「現中国黒龍江省の省都・ハルビン市南部の平房に、1939年ごろまでに完成した細菌兵器開発の一大軍事基地。憲兵隊から供給された中国人などを『マルタ』と称して人体実験を行い、45年までに少なくとも3000人が送り込まれ、生存者はいませんでした。中国では、証拠隠滅のため破壊された平房跡の発掘・保存・調査が進んでいます」(「しんぶん赤旗」20日付より)
以下、「しんぶん赤旗」20日付の滋賀医科大学名誉教授西山勝夫さんのインタビュー記事の一部を紹介させていただきます。
「約70年の時をへて現れた赤茶けた手書きの数十枚の書類。『731部隊』の実像に迫る”ないはず”だった政府文書の発掘です。~西山氏に聞きました」
「 ― 新たに何が判明しましたか」
「(西山氏)1999年の国会で、731部隊の認識についての質疑で、政府は『細菌戦との関連を示すような資料は存在していない』と答弁。当時の野呂田防衛庁長官も「(生体実験など)当該部隊の具体的な活動状況については確認できる資料は存在していない』と答弁しました」
「しかし、今度の開示で、『存在していない』はずの文書がでてきたわけで、政府答弁が、うそであったことが明らかになりました。この文書は厚生省(現厚労省)復員局留守業務部第3課が作成したものです。731部隊の戦争犯罪にかかわる資料がまだ埋もれていることを今回の発掘は示唆するものです」
「 — 文書はハビンにあった本部だけでなく、5支部(牡丹江、林口、孫呉、ハイラル、大連)の敗戦時の人員構成や敗走経路、本部・大連支部を除く捕虜やシベリア抑留の細部まで明らかにしていますね」
「(西山氏)敗戦時の行動をまとめた『行動経路概況図』の「防給本部」の項では『編成 昭15(=1940年)・7・10部隊長石井四郎中将とあります。~こうした731部隊に対する調査は米軍中心のGHQ(連合国軍総司令部)の指示・命令による可能性が大きいです。
「 — 文書の『概況』には、『細菌の研究と生産等を実施していた』(本部)、『終戦時までとして細菌の研究および生産』(大連支部)をやっていたと、任務がはっきりと書かれています」
「(西山氏)感染症の予防、治療の研究が主目的ならば『細菌の研究と生産』という用語が先に出てくるはずがありません。『特殊重要任務に服した科学部隊である下士官以下ー』という表現が、部隊の『特異事項』にでてきますが、その説明は見当たりません。しかし、当時、医療の分野では『特殊任務』といえば、ヒトの生体実験を指していたといわれています」
「 — 『部隊人員統計表』には、本部が敗戦時2149人、支部を含め総計3262人という新証拠が示されています」
「(西山氏)このことから本部と大連支部の詳細な数字の隠蔽が疑われます。私たちが、医学・医療分野での戦争犯罪を2度くりかえさせないためにも、だれも否定できない歴史の事実にもとづいて過去をかえりみることが大切です。政府の戦争責任をすべて公開させることは不可欠の課題です」
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