あの台風十五号の大風雨にもかかわらず、大きな女郎蜘蛛の雌は、三匹の雄を従えるほど大きく成長していた。自然農法の畑には、巣箱の回り、枝と枝の間にはこれでもか・これでもか・・・と縄張を張っている。この蜘蛛の巣を取る方法は、蜘蛛の最大の武器の蜘蛛の糸で逆手に蜘蛛を絡め取る方法だ。一メートルから三メートル程の蜘蛛取棒を作り、蜘蛛を絡め取る。この時ばかりは、不殺少戒などと野暮のことは忘れるように伊豆ボケ老人は常に御都合主義だ。それにして、相当な高いところにどの様に網を張るのか、敵も流石だ。
欲張りな伊豆ボケ老人には、大切なものがいっぱいある。このケンポナシは父との思い出ばかりか、日本蜜蜂の大切な蜜源樹だ。それがこの前の台風十五号でこの有様・・・折れた幹が五メートルの高さにひっかかり中途半端な状態の片付けも伊豆ボケ老人には難題だが、無い知恵をしぼって・・・