hugi

「蒼穹の昴上・下」「珍妃の井戸」「中原の虹・全4巻」「マンチュリアン・リポート」に続く、第5部作である。
史上最も高貴な離婚劇。
自由をめざして女は戦い、男はさまよう。
ラストエンペラー・溥儀(プーイー)と二人の女。
時代の波に吞み込まれた男女の悲劇と壮大な歴史の転換点を描く…。
家族とは何か。自由とは何か。
清朝最後の皇帝、溥儀は、紫禁城(ヅチンチョヨン)を追われながらも、王朝復興を夢見ていた。
イギリス亡命を望む正妃と、史上初めて中華皇帝との離婚に挑んだ側妃とともに、溥儀は日本の庇護下におかれ、北京から天津へ。
そして、父・張作霖(チャンヅオリン)の力を継いだ張学良(チャンシュエリャン)は失意のままヨーロッパへ。
東北軍閥であった張学良将軍が熱河における敗戦の責任をとって下野し、阿片に溺れてしまったのである。
二人の天子は塵をかぶって逃げ惑う。
北村修治は朝日新聞の特派員である。
上海支局に二年余り勤務したあと、昨昭和七年三月に建国された満州国への勤務を希望したのだが、回された場所は北京だった。
その北村が北京の街中で恩師梁文秀(リャンウエンシウ)を尋ね歩いていたところ、同じ発音の「文繡(ウエンシウ)」の消息を耳にした。
皇妃文繡は傅玉芳という漢人の名で、小学校の教員をしていた。
北村は校門で待ち伏せして、話を聞こうとしたが、文繡に一喝され、あえなく失敗。
そこで「万朝報」の北京特派員として、三十何年も北京を見続けてきた岡圭之介を頼った。
岡はこともなげに、「任せておけ」といった。
北村と文繡の家へ同行したのは、なんと前の大総官太監(ダアツオンクワンタイチェン)李春雲(リイチュンユン)老爺(ラオイエ)であった。
ここで世紀の離婚劇の顛末を聞くことが許されたのである。
それにしても宣統帝愛新覚羅溥儀(シュアントンディー・アイシンギヨロプーイー)は、自分で何かをするということを、まったく知らずに大人になった、なんとも哀れな人間であった…。
関東軍の罪は、張作霖を誅殺して、自作自演の満州事変を起こし、東北の地をわが物にしたこと。
満州事変は特務機関長の土肥原大佐が謀略の絵図を描き、板垣高級参謀と作戦主任参謀の石原中佐が実行した。
彼らが越権と下剋上によって支配する関東軍は、もはや満州の野に放たれた猛獣である。
中央政権をも無視し、ひいては天皇をもないがしろにした、少数の参謀たちの、「私」の戦いであった。
その時、永田鉄山は動いた。
板垣を残し、他は日本国内勤務として異動させた。
そして、できてしまった満州国をの収拾を任されたのが、老練な武藤信義大将であった。
謀略渦巻く満州の底知れぬ闇。
父・張作霖を爆殺された張学良に代わって、関東軍にひとり抗い続けた馬占山(マーチャンシャン)。
1931年、彼は同じく張作霖側近だった張景恵(チャンチンホイ)から説得を受け、一度は日本にまつろうが…。
一方、満州国建国を急ぐ日本と、大陸の動静を注視する国際連盟の狭間で、溥儀は深い孤独に沈み込んでいた。
果たして、満州国は溥儀を宣統帝(シュアントンデイー)として復辟し、大清帝国の再興の礎となるか…?
北の曠野で一人抗う男は叫び続けた。
「我に山河を返せ」
ついに日本の軍部も知るところとなった具体。
「龍玉」(ロンユイ)は今、誰の手に…。
第3巻に続く…
私は、前の「中原の虹」を読みすっかり張作霖のファンになっていた。
「天切り松・闇がたり」と同じく、ピカレスクロマンである。
悪党も膨大な配下を従えれば、英雄になれると知った。
こんな英雄が、あの中国の混乱期にいたとは知らなかった。
白虎張(パイフーチャン)は、悪党も生きる値打ちもない者も、「あばよ!」といって、モーゼルが火を噴かす!!!
これは物語であって史実と異なることもある、知れ切った満州国の末路には、何の興味もない。
すべて歴史が示す通りであろう…。


「蒼穹の昴上・下」「珍妃の井戸」「中原の虹・全4巻」「マンチュリアン・リポート」に続く、第5部作である。
史上最も高貴な離婚劇。
自由をめざして女は戦い、男はさまよう。
ラストエンペラー・溥儀(プーイー)と二人の女。
時代の波に吞み込まれた男女の悲劇と壮大な歴史の転換点を描く…。
家族とは何か。自由とは何か。
清朝最後の皇帝、溥儀は、紫禁城(ヅチンチョヨン)を追われながらも、王朝復興を夢見ていた。
イギリス亡命を望む正妃と、史上初めて中華皇帝との離婚に挑んだ側妃とともに、溥儀は日本の庇護下におかれ、北京から天津へ。
そして、父・張作霖(チャンヅオリン)の力を継いだ張学良(チャンシュエリャン)は失意のままヨーロッパへ。
東北軍閥であった張学良将軍が熱河における敗戦の責任をとって下野し、阿片に溺れてしまったのである。
二人の天子は塵をかぶって逃げ惑う。
北村修治は朝日新聞の特派員である。
上海支局に二年余り勤務したあと、昨昭和七年三月に建国された満州国への勤務を希望したのだが、回された場所は北京だった。
その北村が北京の街中で恩師梁文秀(リャンウエンシウ)を尋ね歩いていたところ、同じ発音の「文繡(ウエンシウ)」の消息を耳にした。
皇妃文繡は傅玉芳という漢人の名で、小学校の教員をしていた。
北村は校門で待ち伏せして、話を聞こうとしたが、文繡に一喝され、あえなく失敗。
そこで「万朝報」の北京特派員として、三十何年も北京を見続けてきた岡圭之介を頼った。
岡はこともなげに、「任せておけ」といった。
北村と文繡の家へ同行したのは、なんと前の大総官太監(ダアツオンクワンタイチェン)李春雲(リイチュンユン)老爺(ラオイエ)であった。
ここで世紀の離婚劇の顛末を聞くことが許されたのである。
それにしても宣統帝愛新覚羅溥儀(シュアントンディー・アイシンギヨロプーイー)は、自分で何かをするということを、まったく知らずに大人になった、なんとも哀れな人間であった…。
関東軍の罪は、張作霖を誅殺して、自作自演の満州事変を起こし、東北の地をわが物にしたこと。
満州事変は特務機関長の土肥原大佐が謀略の絵図を描き、板垣高級参謀と作戦主任参謀の石原中佐が実行した。
彼らが越権と下剋上によって支配する関東軍は、もはや満州の野に放たれた猛獣である。
中央政権をも無視し、ひいては天皇をもないがしろにした、少数の参謀たちの、「私」の戦いであった。
その時、永田鉄山は動いた。
板垣を残し、他は日本国内勤務として異動させた。
そして、できてしまった満州国をの収拾を任されたのが、老練な武藤信義大将であった。
謀略渦巻く満州の底知れぬ闇。
父・張作霖を爆殺された張学良に代わって、関東軍にひとり抗い続けた馬占山(マーチャンシャン)。
1931年、彼は同じく張作霖側近だった張景恵(チャンチンホイ)から説得を受け、一度は日本にまつろうが…。
一方、満州国建国を急ぐ日本と、大陸の動静を注視する国際連盟の狭間で、溥儀は深い孤独に沈み込んでいた。
果たして、満州国は溥儀を宣統帝(シュアントンデイー)として復辟し、大清帝国の再興の礎となるか…?
北の曠野で一人抗う男は叫び続けた。
「我に山河を返せ」
ついに日本の軍部も知るところとなった具体。
「龍玉」(ロンユイ)は今、誰の手に…。
第3巻に続く…
私は、前の「中原の虹」を読みすっかり張作霖のファンになっていた。
「天切り松・闇がたり」と同じく、ピカレスクロマンである。
悪党も膨大な配下を従えれば、英雄になれると知った。
こんな英雄が、あの中国の混乱期にいたとは知らなかった。
白虎張(パイフーチャン)は、悪党も生きる値打ちもない者も、「あばよ!」といって、モーゼルが火を噴かす!!!
これは物語であって史実と異なることもある、知れ切った満州国の末路には、何の興味もない。
すべて歴史が示す通りであろう…。