家具の学校

『家具の学校』から始まったモノづくり
現在は、ダニエル元町本店にてワークショップ体験をご案内

ブログ16平成22年7月24日 暑気払い

2011年07月31日 | Weblog
7月24日 「熱中」違いの熱中症in家具の学校
 午前は前期最後の実習だ。はてさて、2時間の遅れを克服できるだろうか。今日の作業の説明と実演後、私は先週みんなが行っていた作業を思い出しながら行うのだが、やっぱり忘れている。しかも、作業の流れを覚えることができないので、先生に一つの工程を教えてもらって実践。それができると、また「教えてください」と先生を探してお聞きする繰返しだ。だんだん気が引けてくるのだけれど、今日完成させたい思いが募るので、「先生」と手を挙げる。
時計とにらめっこをしながら、「ああ、もう無理かも」と、音を上げそうになっていると、「あとは組み立てるだけでしょ」と先生に言われる。「その組み立て方が分からないし・・・」と、もたもたしていると、ベンケーシー・天野ドクターが「ここまで来たなら形にしなければ、早くしなさい」と発破。
それでもモタモタ瀬田を見るに見かねて、天野先生が、「はい、ここを打って」「ここ、寸法測って印付けて」「はい、これを回して」。魔法のように形が見えてくる。見本に近い物が魔法のように出来上がってくる。ベンケーシーは医師ではなく魔法使いだ。
午後は島田校長のトーネット家具についての講義。校長自らが世界各地で撮影したトーネットの曲げ木家具のスライドを見ながらの説明だ。ドイツ人のミヒャエル・トーネットが蒸気で木を蒸すことにより独特の曲木チェアを作りだしたことや、「トーネットの○番」のように番号が付いていることも初めて知った。カフェチェアとして、どんな人も必ず見たことのある椅子。丈夫で比較的安価で軽くて扱いやすいという利点が、150年間以上、世界中のどこかで作られ、販売され、使われ続けている要因ということだ。
さらに興味深かったのは、マーケティング論。トーネットの椅子にはお人形さん用の椅子もあり、子どもがそれを使う。すると、大人になってもトーネットと触れ合った体の記憶が残っている限りはトーネット利用者になるという仕掛けだ。マクドナルドを子どもの頃から食べさせてしまえば、一生、Mcとは縁が切れない、つまり、Mcの顧客を永遠に確保できるというビジネスモデルと同じだ。
今日は前期最後の授業なので、中級、上級、専攻科在籍者やOB、OG、そして先生方、およそ70人が大集合し、暑気払いが行われた。いわば、終業式のようなものだが、一味違うのは、校長先生や責任者の挨拶が簡潔明瞭なこと。また、中締めの佐宗伊勢原工場長の言葉からは、学校運営のご苦労を垣間見た思いだ。「本当に大きな事故もなく前期を終えられたことを嬉しく思います」
初級の者には見えない予防線を張り、注意をいつも促し続けてくださった先生やスタッフの皆さん、そして、心地よい空間づくりをいつも心掛けてくださった事務局の皆さんに感謝。

ブログ15 7期生 平成22年7月17日

2011年07月31日 | Weblog
7月17日 「5の次は7でなくて、6ですからね」
 「午後からは来るかと思ったよ」と前席の菅野さんに言われてしまうほど、私の製図恐怖症は知れ渡っていた。先週の午前は製図の2回目の授業で、午後が実習だったから、苦手な製図をスキップしたかなと思われちゃったらしい。
 今日は午前、午後とも実習。先週の遅れを取り戻すなんてことは私の場合不可能だろうから、とにかく進むしかない。実習室に行くと、小松さんの側が空いていなくて、どうしようと思っていたら、小松さんが場所を移動して側にいてくださるという。お手間をお掛けするに違いないが、勇気百倍だ。
 勇気は出たが2週間前の記憶は戻らず、いったいどこから手を付ければいいのか判断するのに数分かかる。『素直で人の助けになる(佐)』ようにとお父様が名前を付けたという八木直佐さんの作品をお手本にしながら、かつ、お聞きしながら寸法通りに材をカットし、毛引きで臍と臍穴用のしるしを付ける作業に取り掛かる。
 午前はほとんどこれで精いっぱい。午後は線に沿って鋸、鑿で臍の製作だ。作業台が床に座って行うもので、片足で材を抑え付けながら鋸や鑿で作業をするというかつてない格好をしなければならない。普段使っていない太もも内側などを使うし、常に下を向く姿勢が続くので、腰や首、肩、あらゆる所がひきつる感じ。挙句の果てには、まともな格好で歩けない。内またが痛いせいか、ガニマタになってしまう。
 午後は作業の説明と実践が入る。取っ手の部分や丸みの付け方や組み立て方などだ。来週の午前で実習は終わりだ。それまでに終えることができるだろうかと不安ながらも臍作りに集中していたら、ボール盤での穴開けを今日のうちに終えてしまうようにとのお達し。急いで、寸法取りをし始めたのだが、臍のことばかり考えていたので、寸法表を見てサイズを割り出すことが即座にできない。しまいには、6センチの所に印を付けるのに、7センチの所に印を付けて進もうとし、「7ではなく、6ですよ、5の次の6センチですよ」と注意を受ける。家具の学校の前に小学校のやり直しって感じ。
2時間の遅れはそのまま埋まらずだが、集中力は相当使ったのでヘトヘト。でも、何故か幸せな感じがした。不思議な感覚を味わった。一つのことを成し遂げるために必死になる瞬間の高揚感だろうか、それとも深く深く自分と向き合う達成感のようなものか。僅かな瞬間ではあったが、興味深い経験ができた。