鴨頭の掲示板

日本史学関係の個人的な備忘録として使用します。

【業績】 鴨頭俊宏《英語論文》「『朝鮮通信使』をキーワードとした静岡県域における自治体史誌編さん傾向の再分析」(広島大学大学院人間社会科学研究科『教育学研究』第5号、査読なし、2024年12月)

2025年01月09日 17時22分34秒 | いち研究者としての日記
原文タイトル:Toshihiro Kamogashira “Re-examining the Analysis of the Compiling Trends of Local Government History and Geography Published in Shizuoka Prefecture Using `Chosen Tsushin-shi (Korean Envoy to Japan)’ as a Keyword”

昨2023年に発行された同じ紀要の第4号では、専門的に取り組む研究テーマについて、学校の前近代日本史教育の教材となりうる旨を提起する英語論文を発表しました。それに対して今回は、2018年より専門とは別途、趣味で取り組むテーマでも英語論文を書いてみたのです。

ただ、これまで中国四国地方9県を対象フィールドとしつつ近世史用語では「異国船」をキーワードに固定しながら分析を積み重ねているのに、なぜ急に静岡県―朝鮮通信使へと設定を変えたのか、訝しく感じるかたもいらっしゃるでしょう。その理由は、日本史学界における自治体史編さん事業史の研究史にあります。
これまで取り組んできた、1つの都道府県域における自治体史誌の編さん傾向を説明しようとする議論は、関東近世史研究会の2009年例会企画「関東近世史研究と自治体史編纂」(会誌『関東近世史研究』での公表は、2010年発行の第68号から)が本格化の第一歩といえましょう。しかしもう1つ重要な、通史本でも有名な歴史用語1つをキーワードに設定して編さん傾向を描き出そうとする分析手法は、その例会企画より前、2005年発表の静岡県―朝鮮通信使を分析対象とした北村欽哉論文「静岡県の自治体史と朝鮮通信使」『静岡県近代史研究』第30号が端緒だといえるのです。
北村論文に学んで今回は、分析対象を北村論文と同じに設定したうえで、私が提起する研究手法により改めて分析を試みます。こうして、先行研究者とは異なる編さん傾向の本質を新たに説明するとともに、これまで提起しつづけた研究手法の有効性を確認しました。

なお、広島大学リポジトリでは1ページずつ、画面に表示されプリントアウトすることになりますが、312ページFig 1-1と313ページFig 2-1、314ページFig 1-2と315ページFig 2-2は、プリントアウト後ページ見開きに並べることで、双方グラフが描く変化の相関性がわかりやすくなります。
ぜひご味読ください。
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【記事】 鴨頭俊宏《新刊案内》「吉野正敏著『気候地名をさぐる』」『地方史研究』第432号(2024年12月)

2024年12月11日 00時00分01秒 | いち研究者としての日記
地方史研究協議会『地方史研究』第432号には、併せて標記の投稿記事も掲載されました。
わが国の地名については、整理の方法によるものの、約26万もの項目が成り立つとされています。地理学者・気候学者である吉野正敏氏(1928~2017年)は、そのなかから「気候地名」を抽出して分析を試み、平成9年(1997)、学生社よりこれをテーマとする単著を発表しました。標記の新刊(吉川弘文館、2024年)は、その単著に菊池勇夫氏の解説を加えて吉野氏の研究を日本史学とも結びつけようと、刊行しなおされたものです。こうして出版された本書の注目点を、簡潔な作文で述べてみました。

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【記事】 鴨頭俊宏《新刊案内》「清水詩織著『近世後期の海防と社会変容』」『地方史研究』第432号(2024年12月)

2024年12月10日 17時17分34秒 | いち研究者としての日記
地方史研究協議会へ投稿していた標記の記事を掲載する『地方史研究』第432号が完成し、自宅に配達されました。掲載頁は67~68です。
江戸時代、いわゆる「鎖国」体制を維持していくうえで重要な課題の1つが、敵船による海からの攻撃に対し国土を防衛する海防です。これまでの日本近世史研究では、海防を、幕藩関係を見とおす議論の素材に用いてきました。それに対し標記の新刊(勉誠社、2024年2月)は、実際に沿岸で警備を担当する地域社会の人びとの視点を加えて、より正確に近世海防の本質を説明しようとします。こうした本書の注目点を、簡潔な作文で述べてみました。

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【受贈】 日本福祉大学知多半島総合研究所『知多半島の歴史と現在』№28(2024年10月31日付)

2024年11月29日 13時22分14秒 | いち研究者としての日記
日本福祉大学の知多半島総合研究所(愛知県半田市)より標記の機関誌を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。
この機関誌には、学部生グループによる調査報告1本、講演録3本、日本史学関係の研究論文3本、そして2023年度活動報告が収録されています。

 ※2024年11月29日現在、HPに№28の刊行情報は掲載されていませんが、後日更新すると予想されます。
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【備忘】 交通史学会2024年度第2回編集委員会(2024年11月4日)

2024年11月04日 23時26分40秒 | いち研究者としての日記
11月4日(月・祝)19時より1時間、標記の会議を、Zoomを用いるオンラインで開催して、私は東広島市の自宅から参加しました。委員会では司会を務めています。
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【備忘】 広島大学創立75+75周年記念式典・記念事業(2024年11月2~3日)

2024年11月04日 01時59分48秒 | いち研究者としての日記
11月2(土)~3日(日)、広島大学の東広島キャンパスにおいて、大学祭に併せ標記の記念行事も開催されたので出席しました。
2日の朝は強い雨が降り、影響が心配されましたが、昼には晴れています。3日は、少し暑いぐらいの晴れでした。
私自身、学生と職員、双方の立場を合わせて計14年半ほど広島大学にお世話となっています。

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【備忘】 INEI 2024(International Network of Educational Institutes, 2024.10.23~25)

2024年10月26日 00時08分04秒 | いち研究者としての日記
令和6年(2024)10月23日(水)~25日(金)の3日間、教育学界の国際会議であるINEI (International Network of Educational Institutes)2024が広島大学をホスト校として開催され、私も運営サポートのスタッフとして参加しました。
23日は広島市の東千田キャンパス、24日は東広島キャンパス、そして最終25日に再び東千田キャンパスと、会場を移しながらさまざまな行事をこなしています。専門と異なる学問領域の国際会議は、なかなか参加する機会がないので、本当に貴重な経験となりました。

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【業績】 鴨頭俊宏《ポスター発表》「地域史学習における自治体史誌との向き合い方に関する研究開発の試み」『スマート社会産官学民協働まちづくりフォーラム』2024

2024年10月20日 00時09分04秒 | いち研究者としての日記
令和6年(2024)10月の18~19日、広島大学において全国Town & Gown構想推進協議会『スマート社会産官学民協働まちづくりフォーラム』2024が開催され、2日目のフォーラム事例発表で標記をテーマとするA0判ポスター1枚を出品してセッションに臨みました。
そのフォーラムは、未発表の研究成果を新規に公表するのでなく、これまでの取り組みを参加者に説明しながら産官学そして地域住民の連携推進を図ろうとするイベントです。ゆえに、ポスターは、令和5年(2023)に発表済みの《論説》「愛媛県域の自治体史誌と近世史用語『異国船』―小藩分立タイプの県における編さん傾向―」(中国四国歴史学地理学協会『年報』第18号、査読なし)の内容にもとづいて作成しました。

なお、発表したポスターはフォーラム終了後から、PDFのデータをresearchmapの資料公開コーナーで閲覧できるようにしています。また、先に発表した《論説》に掲載する一覧表に残った採録の誤謬を、そのポスターでは修正しています。

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【記事】 鴨頭俊宏《新刊案内》「有馬卓也著『岡本韋庵の北方構想』」『地方史研究』第431号(2024年10月)

2024年10月11日 14時49分15秒 | いち研究者としての日記
地方史研究協議会へ投稿していた標記の記事を掲載する『地方史研究』第431号が完成し発行されました。掲載頁は102~104です。
案内する新刊のテーマ岡本韋庵(いあん、監輔、1839~1904年)とは、阿波国徳島藩領の農村(今日の徳島県美馬市、旧穴吹町域)に生まれ、文久3年(1863)より5回の樺太探検と、蝦夷地・北海道の開拓とに、後半生は儒学などで学校教育に勤しんだ探検家・官吏・漢学者・教育者です。樺太の有益さを主張するとともに、この地を侵蝕するロシアの脅威を訴え続けました。標記の新刊(中国書店、2023年)は、彼の生涯にわたる北方構想を、論文篇と資料篇を設けてわかりやすく描き出そうとしたものであり、記事では、その概要と地方史研究者の立場からの注目点とを簡潔に記述しています。
阿波国江戸時代における異国船の脅威といえば、文政12年(1829)牟岐(現海部郡牟岐町域ヵ) への、イギリス船籍と考察されている海賊船の漂着事件を想起します。この事件は彼が生まれる10年前なので、彼の異国観を含む思想にどのような影響を与えたかは不明ですが、以後、個人的に注目していきたいと考えています。

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【記事】 鴨頭俊宏《新刊紹介》「若林宣著『女子鉄道員と日本近代』」『交通史研究』第105号(2024年9月)

2024年09月24日 21時38分55秒 | いち研究者としての日記
このたび発行された交通史学会『交通史研究』第105号には、標記の《新刊紹介》記事も掲載しました。掲載箇所は99頁です。
その新刊(青弓社、2023年12月)とは、明治時代の前半から現在に至る鉄道界への女性就業の変遷を、新聞史料をはじめさまざまな文献を駆使しつつ数値分析もともないながら描き出していくものです。こうした研究の注目点を、簡潔な文章で紹介しました。

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【備忘】 交通史学会『交通史研究』第105号(2024年9月20日)

2024年09月24日 21時07分33秒 | いち研究者としての日記
私が編集・発行の担当者を務める標記の学会誌が、無事に完成して東広島市の自宅に届けられました。これから各会員の手許にも届けられると思います。
私自身、編集委員自体こそ複数の学会・研究会で通算10年以上務めているものの、会誌発行の担当者は、現役の大学院生時代以来で実に20年ぶりのことです。前回担当したときは、投稿データをFD(フロッピーディスク)で郵送するのが主流であり(もしかしたら、東京・大阪などではすでに変化しているかもしれませんが…)、そろそろCD-RWを使う人も現れてくるころでしたから、20年という時間の長さを実感させられます。

なお、この会誌は東京の吉川弘文館で販売することになっており、近日のうちに、そこのHPより会員以外のかたも購入できるようになります。どうかご味読ください。

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【業績】 鴨頭俊宏《新刊紹介》「熊原康博・岩佐佳哉編『東広島地歴ウォーク』」『芸備地方史研究』第325・326合併号(2024年8月)

2024年08月29日 01時07分33秒 | いち研究者としての日記
出版から記事掲載誌の発行まで1年以上も経過してしまったためもはや新刊とは呼べませんが……、芸備地方史研究会へ投稿していた標記新刊(レタープレス株式会社、2023年3月、A5判ソフトカバー、152頁、本体1,364円+税)の紹介文を掲載する『芸備地方史研究』第325・326合併号(2024年8月20日付)が完成し発行されました。掲載頁は30~32です。
標記刊行の出発点は、広島大学の当時教育学研究科社会認識教育学専修に属する(あるいは属していた)大学院生が、地理学の授業をとおして広島県東広島市内の地理・歴史に関し調べた成果を1冊の書にまとめていく活動にあります。東広島市域の歴史と現状の両面を実際にフィールドワークしながら学ぼうとする一般の人びとにとり、見やすく便利なハンドブックとなるよう、担当教員も執筆陣に加わりつつ工夫を凝らした成果だといえましょう。
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【受贈】 『日本歴史』編集委員会編『きょうだいの日本史』(吉川弘文館、2024年9月)

2024年08月24日 19時30分23秒 | いち研究者としての日記
その分担執筆者を務めた山崎圭先生・下向井紀彦さんより標記の編著書(吉川弘文館、A5判ソフトカバー、全280頁、本体2,000円+税、2024年9月)を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。
本書は、日本史について古代・中世・近世・近現代4つの時代区分ごとに無名~著名さまざまな「きょうだい」計24事例を取りあげ、この具体的な関係のありようから各時代の特徴を見とおそうとするものです。本書「はじめに」によれば、学会誌『日本歴史』第896号(2023年)掲載《新年特集》「きょうだいの日本史」の成果をより広く共有しようと、史料の現代語訳化など一般的な歴史ファンも読みやすくする改訂を施すうえで書籍化したとのことです。
なお、山崎先生は近世編の「近世の百姓の欠落ときょうだい」(167~173頁)を、下向井さんは同じく近世編の「三井家擬制の兄弟」(142~155頁)を、それぞれ執筆しています。

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【受贈】 秋山寛行「近世後期本庄宿における本陣利用者獲得と休泊由緒—『田村本陣休泊控帳』を素材として―」(本庄早稲田の杜ミュージアム『調査研究報告』第3号、2024年3月)

2024年08月10日 00時43分49秒 | いち研究者としての日記
秋山寛行さんより標記論文の抜刷を1冊、私へも贈ってくださりました。ありがとうございます。
研究では、中山道の江戸から数え10番目の宿である本庄宿(現埼玉県本庄市)の本陣で書き残された休泊関連史料を素材にしています。江戸時代の後期から幕末期にかけた参勤交代一団に対する休泊利用獲得のありようを検討しました。簡潔にいえば本陣では、過去の大名家の休泊記録をまとめた「休泊由緒」を作成し、それを大名家との交渉に用いるなどして利用を勝ち取ろうとしたようです。

さて、論文をひととおり読み気になった主な点は次の2つです。
1つは、江戸時代ではまだ前半期にあたる元禄期の「宿割」の存在です。論文抜刷3頁に掲げている【史料三】では、元禄11年(1698)7月付の記録として、
……先年拙者御宿仕候御宿帳等持参仕、御宿割求馬様へ御目掛候処、尤ニ候へ共……
とあるのに対し、直後の論述では
……以前の宿泊記録である「御手帳」・「古帳」などを持参し、大名家への直接交渉を行っており……
と、史料中の「御宿割」が大名家(藩)のなかでいかなる役割を担う役人なのかを省略した説明文になっています。宿割をめぐっては先行研究に論及があるので、参考のうえ、ほかの史料でも検索を試みるのが望ましいと考えます。
2つめは、対象とした近世後期のなかで生じた変化との相関性です。参勤交代を含む公用通行をめぐっては、必ずしも「近世後期」でひと括りにできるものでなく、このなかで変化が生じたことがすでにわかっています。すなわち、江戸への参勤交代で本来ならば東海道を通行する西日本大名のあいだで中山道を選ぶ場合が増えてきたものの、それを問題視した幕府が東海道通行を促す通達を発しています。また、三大飢饉の1つで有名な18世紀後半の天明年間には、自然災害により、通行者が東海道から中山道へ迂回したり逆に回避したりの変化も生じています。このように、中山道の通行をめぐっては、近世後期のなかでも増加と低迷の時期区分が成り立つと思われます。では、本庄宿をはじめとする中山道の本陣の場合、増加期と低迷期それぞれでいかなる利用獲得の活動をしていたのか、今後の課題点として興味深いところです。
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【記事】 鴨頭俊宏《新刊案内》「鹿毛敏夫著『近世天文塾「先事館」と麻田剛立』」『地方史研究』第430号(2024年8月)

2024年08月09日 00時01分01秒 | いち研究者としての日記
地方史研究協議会『地方史研究』第430号には、標記の投稿記事も併せて掲載されました。掲載頁は135~137です。
この投稿は、鹿毛敏夫先生ご本人より標記新刊(吉川弘文館、2024年2月)の完成書を私へも寄贈してくださったことに対する返礼を兼ねています。

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