鴨頭の掲示板

日本史学関係の個人的な備忘録として使用します。

【受贈】 吉田智史「朝鮮通信使の海路における安全確保をめぐる対馬藩の対応と対策」『九州史学』第194号(2023年8月)

2023年10月14日 00時41分46秒 | いち研究者としての日記

吉田智史さんより標記論考の抜刷を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。

18世紀の朝鮮通信使を素材として、対馬での迎接のみならず海路通航時の安全確保まで担当した対馬藩の対策と対応を、回ごとに整理しながら考察しています。

論文をひととおり読めば対象とした歴史は、人間社会に普遍的な組織における引き継ぎの問題が裏テーマにあるなと、考えさせられます。一方で、私が取り組んできた研究テーマ(江戸時代の交通路をめぐる情報ネットワークの歴史)に関し、1つ腑に落ちたこともあります。通史的には正徳度、それまで費用負担が膨らんでいた通信使待遇につき新井白石が節約させたのに、なぜ現場で迎接を担当した藩の行政史料で通行情報に関する記録は以後どんどん充実化していくのかです。歴史を勉強しはじめたころは、迎える藩それぞれの忠誠と威信の問題云々とか勝手に解釈していましたけど、どうやら、こればかりではなかったようです。

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【受贈】 飯沼雅行著『近世の国家・社会と幕府広域役』(清文堂出版、2023年10月)

2023年10月13日 00時00分15秒 | いち研究者としての日記

飯沼雅行先生より標記の新刊(清文堂出版、2023年10月、A4判、全324頁)を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。

江戸時代の畿内淀川流域は、幕府直轄地のほか藩領・旗本領などさまざまな支配形態が混在するような社会でした。幕府機関は、支配領域の垣根を越え一定の村々に対して同じ役目を課すことがあり、それを幕府広域役と呼んでいます。飯沼先生は、朝鮮通信使・琉球使節といった外国使節の淀川通航を素材にしながら、その幕府広域役のありようを描きだしました。同じく公用通行の補助をテーマにしつつ、玉井建也氏や私が瀬戸内の芸予・防予海域という藩領世界を対象にしたのとは対照的な研究です。第2部「地域から見た淀川筋綱引役」第1章「綱引役の命令と情報の伝達」における研究史の整理で、私の研究に言及してくれています。

清文堂出版:近世の国家・社会と幕府広域役〈飯沼雅行著〉

 

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【記事】 鴨頭俊宏《新刊案内》「寺田裕一著『淡路交通―日本唯一の「島の電車」―』上下巻」『地方史研究』第425号(2023年10月)

2023年10月10日 18時06分27秒 | いち研究者としての日記

地方史研究協議会に投稿していた標記の記事を掲載する『地方史研究』第425号(第73-5号、2023年10月)が完成し発行されました。記事の掲載は127~129頁です。

案内した新刊(ネコ・パブリッシングカンパニー、2022年10月、11月)は、昭和41年(1966)9月まで兵庫県の淡路島で営業運行していた「島の電車」(淡路交通)の歴史をテーマとする一般書です。近年ますます深刻化しているローカル鉄道存廃問題を鑑み、その歴史的な教訓を得ようと、プライベートで購入していました。

なお『地方史研究』新刊案内コーナーへの投稿は、令和4年(2022)10月発行の第419号以来だから、実にちょうど1年ぶりです。

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