鴨頭の掲示板

日本史学関係の個人的な備忘録として使用します。

【記事】 鴨頭俊宏《新刊案内》「土井作治著・日本歴史学会編集『広島藩(日本歴史叢書)』」(2016年)

2016年04月07日 23時24分11秒 | いち研究者としての日記

標記の新刊図書(吉川弘文館、2015年7月、四六判、362頁、本体3,200円+税)の紹介記事を掲載する地方史研究協議会『地方史研究』第380号(2016年4月)が完成して発行されました。

標記の図書は、『広島県史』など広島県内の自治体史誌編さん事業で重要な役割を果たした岡山商科大学名誉教授土井作治先生が、当該事業に関わるなかで得た成果を改めてまとめ直された、広島藩の通史的な概説書です。

土井先生は、平成27年(2015)6月、日本歴史学会『日本歴史』第805号に私の単著の《書評と紹介》を寄稿してくださりました。この寄稿に対するお礼をしたいと考え、その一環で、土井先生の新刊を紹介する記事を投稿させていただいたというものです。

 

 ※記事の末尾(掲載誌85頁3段目)には、紹介する新刊のサイズを「A5判」と表記してありますが、正確には「四六判」です。

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【業績】 鴨頭俊宏《提言》「下関越荷方研究のさらなる深化に向けて」(『山口県史研究』第24号、2016年)

2016年04月07日 16時28分38秒 | いち研究者としての日記

昨夏、山口県の県史編さん室に投稿していた標記の小論文を掲載する雑誌が完成し発行されました。

高校時代に日本史Bの授業を履修していたかたはご記憶にあると思いますけど、越荷方とは、幕末期の萩藩(長州藩)が「下関に入港する北前船などの廻船を相手に、本来上方に運ばれるべき商品(抜荷)を購入し、委託販売することなどで収益を上げ、財政の再建に成功した」(『詳説 日本史』〔山川出版社〕242頁)というものです。萩藩がこののち倒幕に成功し、明治政府の樹立でも主導的な役割を果たすだけに、こうした成功は藩史レベルの話にとどまらない意義を有するとして、その用語は、高校の教科書にゴシック字体で表記されつづけているのです。

この小論文は、そういう越荷方について、最新の研究成果に学びつつ私自身がこれまで取り組んできた仕事と結びつけながら、将来いかに研究の深化を図るべきかを問題提起したものです。

 

ただし、この小論文については、肝腎な提言内容こそ問題ないものの表現方法に関して「読者から指摘を受けるであろうな」と思う部分が2ヶ所残りました。

1つは、掲載誌101頁上段10行目「八幡方(役職「八幡改方」が属する出先機関名)」です。史料用語「八幡方」と「八幡改方」の使い分けについて、原則的には、私が書いたとおりで問題ありません。ただ、実は例外もあり、役職名として「八幡方」と表記した場合もあるのです。よって、註釈部分にその旨も加筆しておけばよかったな、と少し思いました。

2つめは、掲載誌102頁上段5~7行目「最幕末期の慶応年間には、八幡改方と下関越荷方が同一化していた」です。その部分までの説明内容からすれば「同一化」は誇張気味であり、素直に「最幕末期の慶応年間には、一人の藩士が八幡改方と下関越荷方双方の職務を担うようになっていた」と書けばよかった、と思います。

 

このように悔いが残りましたけど、今年度、山口県の下関市立大学経済学部でも働くことになりましたので、その手土産にはなったと思います。

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