鴨頭の掲示板

日本史学関係の個人的な備忘録として使用します。

【受贈】 濱保仁志「近世岩国における軍学の採用とその背景」『岩国徴古館調査報告書』第3号(2023年3月)

2023年07月03日 22時29分14秒 | いち研究者としての日記

濱保仁志さんより標記論考の抜刷を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。

江戸時代岩国領(吉川家)の軍学(兵学ともいう)史につき、曖昧に複数の流派があったと述べる先行研究に対し、甲州流(武田流)と越後流(上杉流)双方の系譜描出を試みつつ江戸時代後半の政庁における立ち位置の違いを見通しています。大雑把にいえば吉川家は、家の歴史的なつながりから、福岡藩黒田家の甲州流を導入して主流にしました。

表面だけサラっと読めば、領主の立場からするといかなる軍制を整えるかは自身が生きるか死ぬかを左右する重要課題なのに、先祖のつながり云々を理由にするとは、実戦のない平和な時代ならではという印象を抱くでしょう。戦後生まれの現代人が率直にそう思う理由を政治の記録に残すということは、何か裏があるのでは?と、勘ぐってしまいますよね。

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【受贈】 濱保仁志《資料紹介》「『覚(山口・長府・馬関探索報告)』について」『岩国徴古館調査報告書』第2号(2022年)

2023年07月02日 01時11分11秒 | いち研究者としての日記

濱保仁志さんより標記小論文の抜刷を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。

岩国徴古館所蔵資料のうち、文久3年(1863)6月5日発生フランス軍艦下関砲撃事件の関連情報を伝える岩国領吉川家家臣森脇主税(修)報告書の記録について、翻刻し紹介したものです。

率直に、課題点と感じたのは《資料紹介》の論文種別におけるタイトルの付け方ですね。今や、若手どころかベテランの研究者までインターネットで論文を検索する時代。標記のようなタイトルの付け方だと、キーワード検索ではヒットせずスルーされる可能性がありましょう。察するに、そもそも掲載誌が所蔵館の調査報告書ゆえタイトルで所蔵館名を省略しても差し障りないこと、文字数が多すぎるのは論文タイトルとして不適当なこと、により標記のものとしたのではないでしょうか。しかし、ネットのキーワード検索でスルーされないことを念頭に置けば、所蔵館名と対象時期の情報はタイトルに含ませるのが望ましいでしょう。

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【受贈】 林泰正《博士学位論文》「近現代の岐阜県中濃南部地域における鉱業・交通・観光事業に関する地理学研究」(2020年)

2023年07月01日 23時58分28秒 | いち研究者としての日記

地理学者の林泰正さんより標記の中部大学大学院博士学位論文を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。

製本化された論文は、ソフトカバー片面A4判で、頁数は77。「はじめに」「おわりに」に本論部分7つの章を加え、計9章で構成しています。内容については、林さんがそれまで学術誌などで発表してきた論文3本にもとづきつつ書き下ろしも加えながら成しました。題名のとおり、岐阜県中濃南部地域の近現代史的展開を、地理学の視点により鉱業・交通・観光事業をキーワードにしながら説明しています。

さまざまな大学院のさまざまな分野の博士論文を読んでいると、それぞれの論文作成文化が垣間見え、興味深いです。

 

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