おはようございます昌栄薬品の宮原 規美雄です
薬学博士渡辺武著『漢方が救う人体危機』
現代医療の誤りを正す
第3章 漢方薬は何に効くか
悪性腫瘍とガンの漢方療法
p181明治期まで天皇家の健康管理一切は漢方によっていた!
漢方でいう薬物療法というのは、異常を正常化すること、食物療法というのは人間が生きるための必要な栄養を効率よく体内に入れることです。
この二つの療法は、方法が違いますが同じ目的――つまり健康回復を目ざしているわけです。
昔は中国でも日本でも、王族や貴族や豪商や将軍は医者を抱えていました。
天皇家は平安朝のころから天皇のおそばに侍医(じい)がいて、帝(みかど)の健康管理をしていました。
徳川家でも御典医(ごてんい)という侍医頭(がしら)が漢方、蘭方(らんぽう)あわせて十六人もいたのですから、宮中御用の侍医、帝の健康管理はたいへんなものだったに違いありません。
その宮中席次をみると、食医がいちばん位が高く、まず、帝を病気にしないことがたいせつでした。
いまでいう食物療法、あるいは食餌(しょくじ)療法です。二番目が疾医(しつい)、病気を治療するいわゆる医師で、健康管理が悪くて帝が病気になったとき、漢方薬で薬物治療をします。
三番目に物理療法です。
あんま、はり、灸(きゅう)という治療で、彼らを検校(けんぎょう)といいました。
そのほかに昔は導引(どういん)というのがありました。
いまのマッサージに似た療法です。
天皇家が蘭方をとり入れたのは明治になってからですから、明治までは漢方によって天皇家は健康いっさいを管理されていたわけです。
ひと口に食物療法といっても、二十数冊の本があって、肝臓病の食物療法、心臓病の食物療法などと、中国から伝わった療法が記載されているわけです。
帝の健康状態によって、正常なときの食事、病気のときの食事が決められているのです。
だから、町方の医者も食物療法と薬物療法を使い分けていたのです。
現在のように、食事のカロリー、栄養一点張りの世の中では日本人の正常な食事というものはありませんし、成長さえ早ければよい――ということになります。
これでは豚肉のホルモン焼きを毎日食べているのがよい、ということになってしまうではありませんか。
実際には日本人に肉食が広まって、栄養の行きわたりすぎた食事が病気を起こしている、これが現実です。
食物環境が変わって、日本人の食物療法は非常にむずかしい状態にあります。
しかし、下々(しもじも)はそうですが、宮中では天皇に対する食事はいまも昔も変わらず、食医が料理を管理して、天皇の健康を日々、診断しているわけです。
昔の書物を開くと、天皇家や将軍家や豪商などには、もう一つの健康管理で「養生(ようじょう)」というのがありました。貝原益軒(かいばらえきけん)が書いた『養生訓』の養生のことです。
生を養う事、いま流にいえばセックスのことです。
帝や将軍や貴族は、健康のために侍医が主人のセックス管理をしていたのです。
方法、回数などすべて侍医が主人に一対一で書いて見せ、それには「他言を許さず」という鉄則がありました。
いまでも、漢方の医書として貴重に扱われている『医心方』という三十巻の本があります。
この書物は平安時代に天皇家の侍医だった丹波康頼(たんばやすより)が、中国の漢方医書をもとにしてまとめたもので、徳川時代までは天皇家所蔵の医学の虎の巻だったのです。
この第二十七巻に「房内」という編が一冊にされています。
これには、いわゆる養生ことがたいへんくわしく書かれています。
それによると、性をたんに快楽としてみず、生を養う療法としてみていたことがわかります。
丹波康頼著 『醫心方』
醫心方 巻第廿七 養生
醫心方 巻第廿七 房内
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