フランクフルトから日帰りで、ドイツ南部の温泉保養地バーデンバーデンの祝祭劇場へ訪れ、ヴァレリー・ゲルギエフの指揮するチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と交響曲第五番を聴いてきました。
この日は金曜日の前半の演奏とうってかわり、かなり音楽が作りこまれており、まさに素晴らしいの一言。
(同じマリインスキー劇場管弦楽団のメンバーでしたが、音楽的にはまったく別のオーケストラといって良い程のクオリティで、金曜日の演奏だけではきっと誤解をしたままだったと思います。この日のステージに足を運べて幸運でした)
またこの日は、サイド側の席だったものの、中段より前の位置ということで指揮者やオーケストラの表情もよくみえ、音響的にもこの響かないホールでは、比較的聴きやすい場所だったと思います。
なおこの日の演奏は、彼独自の解釈でかなりテンポをいじっていましたが(急激にテンポが変わる場面が多々ありましたが、オケもそれにしっかりと応えており)、完成度の高い音楽を堪能できました。
ヴァイオリンのソリストは、今年のチャイコフスキーコンクールの2位入賞者(1位なし)のセルゲイ・ドガージン Sergey Dogadin(23歳)でしたが、テクニックはもちろんのこと、かなり強い意志を持って巨匠に全力でぶつかっているのがひしひしと伝わり、「俺がこのステージの主役だ!俺についてこい」といわんばかりに体中でダイナミックに表現しながら、オーケストラを牽引していました。
(個人的にソリストというものは、ふてぶてしい位に自己主張をして丁度良いと思っているので、彼の演奏には好感が持てました)
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、四大ヴァイオリン協奏曲にも数えられる程の名曲ですが、その中でも個人的に最も好きな曲で、1度生で聴いてみたいと思っていたので、ゲルギエフの指揮でそれが実現し、この日念願が1つ適いました。
ゲルギエフの指揮を生で観るのは、今回のバーデンバーデンが初めてでしたが、まだ50代ということで、今後ベルリンやウィーン等の世界トップレベルのオーケストラを指揮する彼を、いつか生でみてみたいとそんな期待が膨らんだ、至極の一夜でした。
写真:マリインスキー劇場管弦楽団 in Baden Baden