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神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] S-Fマガジン 2009年1月号

2009-01-17 21:14:41 | SF
『S-Fマガジン 2009年1月号』 




やっぱり“S”“とF”の間には“-”が入るのが正式な表記らしい(笑)
今年もお布施を続けます。冬の時代を憶えていますか。やっぱりS-Fマガジンが元気じゃないと、日本産のSFが読めなくなるので。

さて、1月号はウィリアム・ギブスン特集。
『ディファレンス・エンジン』の復刊と、最新作『スプーク・カントリー』出版記念。

サイバーパンクは、実はよくわからんのです。『ニューロマンサー』を読むのは苦行だったし。
『重力が衰えるとき』とか、『ハードワイヤード』とかは好きなんだけどね。ああいうのは、サイバーパンク以外の要素も強いせいなのか。

何人かのサイバーパンク論が載っているのだが、やっぱり巽孝之の文章は頭に残らない。こいつは相当ウマが合わないな。菊地誠の評論は『ディファレンス・エンジン』のすごさを語っているのだが、やっぱり僕が面白いと思うものとは違うらしい。タイトルどおり、「差異こそすべて」なのだが、その差異によってストーリーが面白く描けていないと、ただの薀蓄披露にしかなっていないと思うんだけど。

しかし、なんと言っても見逃せないのが、タイトルだけは有名だった、ゲイリー・ウェストファールの『ガーンズバック連続体』が掲載されていることだ。これは、ギブスンの諸作をガーンズバックの『ラルフ124C41+』と比較し、相違点を述べる形式で、ガーンズバックから始まるSFの歴史の中にサイバーパンクを位置づけようとした問題作。アンチサイバーパンクなSFファンにとっては目から鱗の必読文献と思われる。

さて、年末(気が早いな)の読者賞投票へ向けての覚書。今年は考課表形式の点数方式ではなく、記号方式にしたい。やっぱり、シロートがプロの作品に点数をつけるのは、ちょっと問題がありそうなので。

  ◎:すばらしい
  ○:好き
  △:まあまあ
  ×:嫌い

×は評価が低いのではなく、嫌いなだけなんだからね!

===
『レヤック爆裂』 友成純一
 △:連作っぽいので、これからどうなるか期待だが、今回のエピソードは特に興味なし。

『ジピと偏執狂のソフト』 ニール・スティーヴンスン
 ○:ミサイルを説得する映画(『ダークスター』?)を思い出した。滑稽だけど、イマドキ、ありそうだから怖い。

『キオスク』 ブルース・スターリング
 ○:60年代っぽい感じ。科学技術によって劇的に生活が変わるなんて、今じゃレトロフューチャーっぽい。あ、でもシンギュラリティがそうなのか。

===
読み切りはこれだけ。『虚構機関』のあとがきで日下三蔵が「2007年のSFマガジンには純粋な読み切り短編は12作品しか無かった」と嘆いて(?)いるように、日本作家の短編は少ないんだよね。その分、SF Japanにもがんばって欲しい。


[SF] ガンパレードマーチ 九州奪還 1~5

2009-01-17 16:20:12 | SF
『ガンパレード・マーチ 九州奪還』 榊涼介 (電撃ゲーム文庫)



思えば遠くへ来たもんだ。ついに九州奪還ですよ。和平ですよ。

PSのゲームシナリオから離れること8年目にして19冊目。こんな展開は想像も付きませんでしたよ。こうなってしまったら、尻切れトンボ放置状態の『ガンパレード・オーケストラ』には繋がらないんですかね。まあ、いいか。ループ世界だし。

ゲームシナリオのような“めでたしめでたし”でもなく、オフィシャルWEB小説のように23番目の転校生に助けられるわけでもなく、第5世界人たちが自力でここまで成し遂げたループも何処かにあると信じてあげたいものです。

ゲームのノベライズ小説が、原作者(芝村?)の手を離れて、ここまで続くというのも珍しいのではないか。主役はあくまでゲームキャラの旧5121部隊だが、熊本決戦で脇役だった少女戦車兵や少年歩兵たちが成長していく様子が本当の主役なのかもしれない。紅稜女子α小隊、藤代小隊、あと、橋爪とか、斉藤とか。誰も死ぬなよと思うが、誰も死なないと、ちょっと肩透かしだったり……。

ライトノベルはここ数年、ほとんど読んでいないんだけど、このシリーズだけは、惰性じゃなく、期待して読み続けている。それは、小説の面白さというよりは、原作のゲームによる刷り込みが大きいせいだとは思っていますが。

ガンパレード・マーチの世界は悲壮な戦闘と、能天気な学園生活が背中合わせに存在するギャップの面白さが表にあり、さらに裏には平行世界やら何やら山のようなSF設定がてんこ盛りという魅力的な世界。しかも、ゲームバランスがシビアで、まともにやるとエンディングにはたどり着けないという厳しさ。しかし、その中で出くわす、鬱になりそうなバッドイベントが泣かせるし、燃えるぜという壮絶なゲーム。

続編の「ガンパレード・オーケストラ」や、姉妹作品の「絢爛舞踏祭」では、この壮絶さが足りなくて、燃え方がいまひとつだったんですが、榊涼介の小説を読むと、ゲーム世界に没入していたあの頃の気持ちが戻ってくるんですよね。

ぜひ、PS2でもPS3でもいいので、榊シナリオ(もしくは矢上シナリオ)でリメイクして欲しいなり。……芝村シナリオは却下。









ありゃ、『ガンパレード・マーチ 九州奪還 0 萩幽霊戦線』なんてのも出るの?