『S-Fマガジン 2012年7月号』 (早川書房)
特集「スチームパンク・レボリューション」。
最近はやりの“ネオ・スチームパンク”というのは、かつての“スチームパンク”とは違うのだそうだ。「かつての」というのは、パワーズ、ブレイロック、ジーターといったあたりのことを指すようで。
たしかに、俺もあの辺はそんなに乗れなかったんだよね。だけど、ギブスン&スターリングの『ディファレンス・エンジン』や、山田正紀の『エイダ』なんかは、格好良くて、ちょっと不思議な感じがして好きだった。
そんな中、インタビュー記事では「スチームパンクはファッション」とか、「新しい神話」なんていう発言が出てきて、なるほどと思った。スチームパンクは確かにSFのサブジャンルから始まったが、それを形式付けるものは、SF的テーマでもなんでもなくって、ビクトリア朝的なファッションだったり、バベッジやバイロンといったキャラクターだったりするのだ。
そういう意味では、19世紀的なファッションや、ゴテゴテした作りの蒸気機関は俺も大好きだったりする。やっぱり、未来的な継ぎ目のない流線型よりも、ボルトやリベットが見えるメカメカしい感じの方が燃えるぜ。
しかし、そういう部分は視覚的なものなので、挿絵付きのラノベや、コミック、映画といった分野の方が親和性は高いのかもしれない。確かに、俺も映画の『三銃士』を観たときに、スチームパンクじゃんと思ったし。
ただ、特集として収録されている読み切り短編小説はどれも今一つな感じ。やっぱり、ファッションだったり雰囲気だったり世界観だったりを楽しむためのエンターテイメントなので、短編小説という手法ではそれらが伝わり切らない部分があるような気がする。
ビジュアルだとひと目で伝わる部分が伝わり切らない難しさというのを例示してくれる分野であるわけだな。
○「マッドサイエンティストの娘たち」 シオドラ・ゴス
フランケンシュタイン、モロー、ラパチーニ、ジキル、ハイド、レイモンド。タイトル通り、ゴシック小説に登場するマッドサイエンティストの娘たちが集まったらという小説。スチームパンクの登場人物がギリシャ神話のように固定キャラクターで描かれるという部分の好例。短編としては一発ネタ的だが、シリーズ化するとそれなりに面白いかも。
△「リラクタンス -寄せ集めの町」 シェリー・プリースト
長編の中の一エピソードといった感じ。『ボーンシェイカー』がシアトルの一画という限られた地域であるのに対し、それが南部にまで広まっているという設定なのか。それがわからないと、怖さも伝わらない。
○「銀色の雲」 ティム・プラット
これも長編の一部分といった感じ。銀で縁取られた雲というのは童話的でおもしろいし、その銀を取り過ぎたら雲が無くなって砂漠化するというのも寓意的でおもしろい。
△「ぜんまい仕掛けの妖精たち」 キャット・ランボー
雰囲気だけの作品なのか、深い意味があるのか、いまひとつよくわからない感じ。
△「河を下る旅」 ロバート・F・ヤング
なぜか特集外で収録されているヤングの作品。まぁそれなりのヤング(笑)
△「ストーカー・メモランダム」 ラヴィ・ティドハー
主人公の名前が一発ネタになっている。なんだかいろいろおかしな世界。ネオ・スチームパンクというより、ラブクラフト系?
△「奇跡の時代、驚異の時代」 アリエット・ドボダール
電車の中でぬぼーっとして読んだので、さっぱり意味が分からなかった。
特集「スチームパンク・レボリューション」。
最近はやりの“ネオ・スチームパンク”というのは、かつての“スチームパンク”とは違うのだそうだ。「かつての」というのは、パワーズ、ブレイロック、ジーターといったあたりのことを指すようで。
たしかに、俺もあの辺はそんなに乗れなかったんだよね。だけど、ギブスン&スターリングの『ディファレンス・エンジン』や、山田正紀の『エイダ』なんかは、格好良くて、ちょっと不思議な感じがして好きだった。
そんな中、インタビュー記事では「スチームパンクはファッション」とか、「新しい神話」なんていう発言が出てきて、なるほどと思った。スチームパンクは確かにSFのサブジャンルから始まったが、それを形式付けるものは、SF的テーマでもなんでもなくって、ビクトリア朝的なファッションだったり、バベッジやバイロンといったキャラクターだったりするのだ。
そういう意味では、19世紀的なファッションや、ゴテゴテした作りの蒸気機関は俺も大好きだったりする。やっぱり、未来的な継ぎ目のない流線型よりも、ボルトやリベットが見えるメカメカしい感じの方が燃えるぜ。
しかし、そういう部分は視覚的なものなので、挿絵付きのラノベや、コミック、映画といった分野の方が親和性は高いのかもしれない。確かに、俺も映画の『三銃士』を観たときに、スチームパンクじゃんと思ったし。
ただ、特集として収録されている読み切り短編小説はどれも今一つな感じ。やっぱり、ファッションだったり雰囲気だったり世界観だったりを楽しむためのエンターテイメントなので、短編小説という手法ではそれらが伝わり切らない部分があるような気がする。
ビジュアルだとひと目で伝わる部分が伝わり切らない難しさというのを例示してくれる分野であるわけだな。
○「マッドサイエンティストの娘たち」 シオドラ・ゴス
フランケンシュタイン、モロー、ラパチーニ、ジキル、ハイド、レイモンド。タイトル通り、ゴシック小説に登場するマッドサイエンティストの娘たちが集まったらという小説。スチームパンクの登場人物がギリシャ神話のように固定キャラクターで描かれるという部分の好例。短編としては一発ネタ的だが、シリーズ化するとそれなりに面白いかも。
△「リラクタンス -寄せ集めの町」 シェリー・プリースト
長編の中の一エピソードといった感じ。『ボーンシェイカー』がシアトルの一画という限られた地域であるのに対し、それが南部にまで広まっているという設定なのか。それがわからないと、怖さも伝わらない。
○「銀色の雲」 ティム・プラット
これも長編の一部分といった感じ。銀で縁取られた雲というのは童話的でおもしろいし、その銀を取り過ぎたら雲が無くなって砂漠化するというのも寓意的でおもしろい。
△「ぜんまい仕掛けの妖精たち」 キャット・ランボー
雰囲気だけの作品なのか、深い意味があるのか、いまひとつよくわからない感じ。
△「河を下る旅」 ロバート・F・ヤング
なぜか特集外で収録されているヤングの作品。まぁそれなりのヤング(笑)
△「ストーカー・メモランダム」 ラヴィ・ティドハー
主人公の名前が一発ネタになっている。なんだかいろいろおかしな世界。ネオ・スチームパンクというより、ラブクラフト系?
△「奇跡の時代、驚異の時代」 アリエット・ドボダール
電車の中でぬぼーっとして読んだので、さっぱり意味が分からなかった。