映画化権が売られたと聞いたのはずいぶん前のことだったので、もう永遠に実現することは無いと思っていた『エンダーのゲーム』の映画化だったが、遂に日本でも公開された。
オースン・スコット・カードの原作小説のファンなので、実は地雷作品じゃないかと思って警戒していた。なので、SF方面からでも割と好意的な作品紹介が多いことを確認してから観に行った。
映画のストーリーとしては、原作をほぼ踏襲している。しかし、残念ながら2時間に詰め込むには分量があり過ぎたようだ。薄っぺらにストーリーをなぞるだけに終わった感じ。これならば、TVドラマシリーズでやってもらうか、要素の数を減らしてもうちょっと深みを出してもらった方が良かったかもしれない。
特に、ただの粗暴な兄で終わってしまったピーターが不憫でならない。まぁ、あの当時のエンダーから見れば、粗暴な兄以外のなにものでもなかったのかもしれないけれど(笑)
映像的にはCGがなかなか綺麗だった。バトルスクールの窓から見える地球とか、バガーの生物っぽい編隊飛行だとか、女王の複眼や口元だとか。ゲーム内に登場するヴァレンタインの姿もリアルっぽいけれども、はっきりCGとわかるゲーム的な表現になっていて、ちゃんとわかっているスタッフが作っているのだなと感心した。
一方で、ボンソーの配役はどうかと思った。顔つきはいかめしいけれど、ビーン役よりちっちゃいおっさんじゃないか。なんだかイメージが違いすぎる。
バトルスクールでのエンダーと仲間たちの活躍は楽しかったけれど、エンダーやビーンの特殊な優秀さは出し切れてなかったような気がする。何より、あの有名な足を自分で撃つシーンが無いじゃないか。ビーンのぐるぐるはあったけれどさ。
しかしそれでも、「ゲートが下だ」に代表される名台詞たちはそのままで、それを聞く(字幕だったから読むだけれど)だけでもワクワクした。原作ファンにとっては、それだけで良かったかも。
問題なのは、あの唐突なラストを原作未読の観客がちゃんと理解できたのかということなんだけれど……。Movie Walkerのレビューを読む限り、大丈夫そうだ。本当に原作未読でそこまでわかるのかという疑問はあるのだけれど、映画ファンを甘く見過ぎですか。すみません。
でも、原作小説の方が絶対に面白いから。未読の方はぜひ!