『天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク』 小川一水 (ハヤカワ文庫 JA)
ここ最近のSFで背筋がゾクゾクするような衝撃といえば、個人的には“なんとかプロジェクト”とかではなくって、この『天冥の標』である。
10巻予定のシリーズもついに第8巻。PART-I、PART-IIと出たので、PART-IIIまで待とうと思ってたらIIで終わりだった。ので、今さら、遅れて参戦。
前巻までにおいて、やっと第1巻『メニー・メニー・シープ』の時代へ繋がったわけだが、今回はこれまでの答え合わせ的な展開。各章の頭に(B)と書いてあるように、過去に語られた出来事を別の登場人物の視点から見た状況が語られる。
(ネタバレ注意)
いやあ、あのイサリがこのイサリと同一人物だったなんて、今でも信じられませんがね。それを言えば、あのラゴスとこのラゴスが同一人物ってのもすごいわけですが。
フェオドールはけなげで格好いいし、カヨはどんどんおぞましくなっていく。しかし、カヨの身体に宿ったオムニフロラの言葉が、なんとなく二つの勢力の妥協点を見出すヒントになりそうな雰囲気。
これで今までの状況は再整理され、物語はクライマックスへ向けて残り2巻を駆け抜けることになる。
ところで、鯨波のルッツとアッシュは、まだ謎なままでいいんだよな。彼らがいるということは、おそらく、地球は滅びていないんだよな。そして、ドロテア・ワットがセレスを運んできた“ここ”はいったいどこなんだ!?
#それにしても、みなさんの感想を読むと、自分がいかに読み落としているか、記憶力が無いかに気付きますね。勉強になるわあ。