『エコープラクシア 反響動作〈上下〉』 ピーター・ワッツ (創元SF文庫)
いやー、まったくダメだ。ダメ過ぎる。自分が。
『ブラインドサイト』はまだ自分なりに、わかった気がしていた。けれど、これはまったくダメだ。
終盤まで読み終わる前に、良くわからない小説だとは思っていたけれど、それなりに自分が疑問に思う点や、おそらくこういうことだろうと推測したことをまとめようとしていた。しかし、解説を読んで、すべては吹っ飛んだ。そんな話だとはまったく読めていなかったよ。
舞台があっちこっち飛び過ぎるせいで、なんで主人公は今ここにいるんだっけという疑問が何度も沸いて、前章から読み返したり、冒頭から斜め読みもしていたけれど、本質的に何もわかっていなかったのだと驚愕する。
解説に書いてあることだけでこうなのだから、すべての全貌なんてまったくわかるはずもない。
そもそも、前作よりSF的な議論やアイディアが断片過ぎて、深まっていかない感じがしていた。それはもしかしたら、『ブラインドサイト』の読まれ方に対する著者なりのアンチテーゼだったりするのだろうかとも考えていたのだが、全くの誤解だった。すべての断片は繋がっていたのだし、主人公はただの巻き込まれ型傍観者ではなく、用意周到に選択された生贄だったということだろう。
いろいろとまだ疑問に思うことは多いのだけれど(たとえば、吸血鬼って個人主義に見えるんだけれど、意思統一された一派があるのかとか?)ここまで読めていないんじゃ、そもそものレベルに達していないようだ。
いずれ時間があるころに『ブラインドサイト』から読み直してみようと思うが、果たしてそんな時間が取れる日が(耄碌する前に)来るのだろうか……。