『深海大戦 Abyssal Wars 漸深層編』 藤崎慎吾 (角川書店)
ヒト型格闘ロボットの存在意義を海中に見出した熱血海洋ロボットSF、『深海大戦 中層編』の続編。というか、話が終わっていない。そもそも三部作なのか四部作なのか。
前作の中層編では謎の深海生物リヴァイアサンや、敵役の〈ダゴン〉との戦いが繰り広げられたが、今回の獲物はただの潜水艦と、燃え成分は若干抑え目。それでも、最後の戦闘シーンでは、またもやのヒーローアニメ的展開が待ち受けているのであった。
今回はシリーズを通してのストーリーの骨格が見え始めた感じ。ミクロネシアに伝わる伝説と深海底に現れた海の中の湖の謎。秘密の洞窟に祭られている浮遊する岩。そして、ネットで流行し始めた不思議なシミュレーションゲーム。これらがひとつに繋がることを暗示して次巻へ続く。
ただ、今作の展開では、超自然的な要素が多すぎて、ちょっと残念だった。この著者であれば、深海研究の最新知見や面白ネタを盛り込んでくることを期待するのだけれど、見慣れない深海生物やポンペイ語の単語を並べるだけで、あまりネタ的に面白いものは見当たらなかった。
一方で、憑依や幻覚、予知夢といった超自然的な部分がクローズアップされ、それが無ければ物語が成立しなくなってしまっている。このあたりにどういう説明をつけるのか、あるいはつけないのかが今後の展開で気になる部分。やっぱり重力波とか?
アニメ化決定ということだけれど、もともとはアニメ化の企画は無かったのか。ロボットアニメの意図的なパロディに見えるぐらいの類型的な展開は、果たしてアニメ化された暁にはどのような評価がされるのかもちょっと気になる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます