川越芋太郎の世界(Bar”夢”)

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「美の巨人たち:柴田 是真」

2010-01-13 22:34:15 | 美の番組紹介
美の巨人たち:柴田 是真


柴田是真を知っていましたか?

「はい」と答えられる人はかなりの日本通です。
実は、本日紹介された一枚は、「花瓶梅図漆絵」と普通のようで、普通でない一枚です。
一見してみてください。
木の板に描かれた花瓶の図。
漆を馳駆した漆芸が変わっている。

いや、それだけではないのです。
和紙に描かれています。
耳を疑いたくなるような質感です。
実は、あたかも木に描いたように見えますが、全て和紙です。


「ばかな!」
はい、その秘密を本日は紹介ただけるそうです。


柴田是真は、江戸領国の宮大工の家に生まれ、幕末期に蒔絵師古満寛哉に
弟子入りし、基礎を学ぶ。
その後、蒔絵師は人の絵に蒔絵を施すという旧来の前提を彼は嫌い、
円山四条派に学び、後に自ら創造した絵を描き出すことに精力を傾ける。
絵師是真誕生である。


構図は大胆に、機知にとみ、急速に絵師としての認知を得る。
当時は、天保の改革の影響下にあり、質素倹約の時代。
その後、漆芸では、少量の漆で描く工夫として、青海波塗りを完成する。

紙に漆で描くことは、粘り気のある漆を縦横に利用しなければならない。
接着剤として利用された漆で絵を描く、しかも紙に。
誰しもが不可能と考えるだろう。
それは、気の遠くなるような時間と根気の連続であった。
是真は数々の独自の技法を生み出し、板に描くことから究極の紙に
描くことに成功したといえる。


西欧画への挑戦を日本画、漆で成し遂げたといえる。
西欧画に負けないという自負と野心の作品がそこにあった。
漆は安定性が高く100年を経過しても色褪せる事はないという
長所も持ち合わせている。

是真の貴重な一枚がウィーン万博に出品した「富士田子浦図」であろう。
そして、漆絵の最高傑作が本日紹介のこの『花瓶梅図漆絵』です。
まさに、ミスタージャポネスクであろう。


彼の作品は、都内王子の王子稲荷宝物殿にも、その一枚を見る
ことができる。

紙に描きながら、木に書いたように見せる方法に、究極技として
「紫檀塗り」を生み出す。
紫檀に描いたように、紙に紫檀を描いてしまう。
超絶技法!
紫檀の木目を紙に再現したのである。

考えられない技法は、時間と労力と熱意の成果である。
薄皮一枚に全てを描いた是真、芸術界の幕末の獅子である。
従来の工芸から芸術に漆を高めた騙し絵こと漆芸は我々が世界に
誇れるジャネスクである。

<ご案内>
「美の巨人たち」が動画で再度見られます。
http://video.search.yahoo.co.jp/search/video?tt=c&ei=UTF-8&p=%E7%BE%8E%E3%81%AE%E5%B7%A8%E4%BA%BA%E3%81%9F%E3%81%A1


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