美の巨人たち:夏秋草図屏風 (酒井抱一)
酒井抱一は、琳派御三家として俵屋宗達・尾形光琳とならぶ
巨匠である。
その巨匠が、こともあろうか、尾形光琳の風神雷神図屏風の
裏面に描いたのが本日の一枚。
なぜ、裏面なのか。
なぜ、尾形光琳の風神雷神図の裏なのか
番組の紹介を参考にご案内いたしましょう。
酒井抱一は、列記とした大名家の子息であり、江戸時代の
文化サロンを体現した芸術には恵まれた環境であった。
その彼も、世継ぎ問題を契機に、政治と権力から離れ、
文化人として生きて行く事となる。
早くから歌川豊春に師事し、才能を開花する。
45年も前に没した尾形光琳に惚れ込み、模写を繰り返し、
ついには、独自の境地を開くまでになる。
一橋公の依頼により作成された夏秋草図屏風の下絵が
実は、あの有名な風神雷神図屏風の裏面に抱一自信の手で
埋め込まれていた。
それは、あたかも、表裏で一枚の対となるがごときに。
風神が巻き起こす風が、秋の風となり、草木をたなびかせる。
雷神が起こす雨が夏草の恵みとなり、草木を茂らす。
無論、それだけではない。
尾形光琳の風神雷神という天に対し、草木という地を対比させ、
神と自然を対比し、不変と変化を対しさせる。
神というインパクトを表現する尾形の図は、金箔による圧倒的
な輝き観るものに与える。
それは、構図も観るものへの視線を配慮した外側から内側・中心
へ流れる動きを狙う。
これに対し、酒井抱一の本日の一枚は、もの悲しげで、繊細で、
咲き誇るわけでもなく、朽ち果てるでもなく、
ただ、そこに咲く。
銀白による落ち着きは、クールそのものである。
源氏物語絵巻に利用された銀箔の日本人好みの優雅と静けさ
月影のような寂しさともの悲しさを表現する。
酒井抱一の優雅と繊細は、江戸っ子を大いに刺激したという。
江戸琳派として、現在も世界的に評価が高い。
さて、風神雷神図も夏秋草図も上野の国立博物館で見る事ができる。
一度、お近くの方は足を運ぶ価値がありそうです。
天の神々が起こした奇蹟
それは、雨や風となり、大地にいたる。
大自然の草木を潤し、花々生かす。
時には嵐となり、そよ風となり、地に息づく生命をもてあそぶ。
時には濁流となり、せせらぎ隣、地に頼る命をもてあそぶ。
地の小さな草木という命はもの寂しく、悲しいだけではない。
太陽と月明かりの世界。
輝きの世界と幽玄の世界。
神と仏の世界。
それは、一つ一つの草木が一人一人の人間に見える。
小さくかよわい生き物でも、懸命に生きる。
それは、あたかも超然たる神と対比するがごときの
新たな世界。
人は自然であり、自然もまた人の中にあり。
そんなメッセージが聞こえてきそうな一枚である。
亡き人を恋う「ふじばかま」
思い草の「おみなえし」
草木の向うに垣間見る花
外へ外へと雄大に広がる構図
銀箔と緑青のアクセント
月明かりの幽玄という情景の局地
江戸の天才酒井抱一の挑戦は新たな勇気と感動を与えて
くれると思いませんか?
この夏秋草屏風が訳もなく、感動する理由がこのあたりに
ありそうですね。
人間っていいな。
日本の文化っていいな。
最近「銀」の良さがわかる年齢になりました。(笑)
参考ページ:美の巨人たち
酒井抱一は、琳派御三家として俵屋宗達・尾形光琳とならぶ
巨匠である。
その巨匠が、こともあろうか、尾形光琳の風神雷神図屏風の
裏面に描いたのが本日の一枚。
なぜ、裏面なのか。
なぜ、尾形光琳の風神雷神図の裏なのか
番組の紹介を参考にご案内いたしましょう。
酒井抱一は、列記とした大名家の子息であり、江戸時代の
文化サロンを体現した芸術には恵まれた環境であった。
その彼も、世継ぎ問題を契機に、政治と権力から離れ、
文化人として生きて行く事となる。
早くから歌川豊春に師事し、才能を開花する。
45年も前に没した尾形光琳に惚れ込み、模写を繰り返し、
ついには、独自の境地を開くまでになる。
一橋公の依頼により作成された夏秋草図屏風の下絵が
実は、あの有名な風神雷神図屏風の裏面に抱一自信の手で
埋め込まれていた。
それは、あたかも、表裏で一枚の対となるがごときに。
風神が巻き起こす風が、秋の風となり、草木をたなびかせる。
雷神が起こす雨が夏草の恵みとなり、草木を茂らす。
無論、それだけではない。
尾形光琳の風神雷神という天に対し、草木という地を対比させ、
神と自然を対比し、不変と変化を対しさせる。
神というインパクトを表現する尾形の図は、金箔による圧倒的
な輝き観るものに与える。
それは、構図も観るものへの視線を配慮した外側から内側・中心
へ流れる動きを狙う。
これに対し、酒井抱一の本日の一枚は、もの悲しげで、繊細で、
咲き誇るわけでもなく、朽ち果てるでもなく、
ただ、そこに咲く。
銀白による落ち着きは、クールそのものである。
源氏物語絵巻に利用された銀箔の日本人好みの優雅と静けさ
月影のような寂しさともの悲しさを表現する。
酒井抱一の優雅と繊細は、江戸っ子を大いに刺激したという。
江戸琳派として、現在も世界的に評価が高い。
さて、風神雷神図も夏秋草図も上野の国立博物館で見る事ができる。
一度、お近くの方は足を運ぶ価値がありそうです。
天の神々が起こした奇蹟
それは、雨や風となり、大地にいたる。
大自然の草木を潤し、花々生かす。
時には嵐となり、そよ風となり、地に息づく生命をもてあそぶ。
時には濁流となり、せせらぎ隣、地に頼る命をもてあそぶ。
地の小さな草木という命はもの寂しく、悲しいだけではない。
太陽と月明かりの世界。
輝きの世界と幽玄の世界。
神と仏の世界。
それは、一つ一つの草木が一人一人の人間に見える。
小さくかよわい生き物でも、懸命に生きる。
それは、あたかも超然たる神と対比するがごときの
新たな世界。
人は自然であり、自然もまた人の中にあり。
そんなメッセージが聞こえてきそうな一枚である。
亡き人を恋う「ふじばかま」
思い草の「おみなえし」
草木の向うに垣間見る花
外へ外へと雄大に広がる構図
銀箔と緑青のアクセント
月明かりの幽玄という情景の局地
江戸の天才酒井抱一の挑戦は新たな勇気と感動を与えて
くれると思いませんか?
この夏秋草屏風が訳もなく、感動する理由がこのあたりに
ありそうですね。
人間っていいな。
日本の文化っていいな。
最近「銀」の良さがわかる年齢になりました。(笑)
参考ページ:美の巨人たち
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