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美の壺:九谷焼

2010-10-17 21:00:35 | 美の番組紹介
美の壺:九谷焼


九谷焼といえば、古都金沢。
加賀百万石の華麗な世界と雪に埋もれた風土が醸し出す世界。
金沢が生み出す美術には、雪の白と対比させた華麗な色彩
の美学がある。
加賀友禅もしかり、この九谷焼もしかり。


九谷焼の緑と黄色の独特の色彩。
艶やかであり、奇抜でもあり。
好き嫌いの分かれるところであろうが。(笑)



<美の壺1:緑と黄は憧れの色>


緑と黄は九谷焼には欠かせな色である。
古九谷からの引継ぎであろうか。
あの魯山人も芸術的であると評した。
まるでゴッポの絵画のような色彩である。


古九谷は50年で不明となった幻の焼き物。
行方も詳細も不明のまま、120年後に
加賀の「古九谷」として、九谷焼が蘇る。


九谷焼の源流には、もう一つの流れがある。
それは、交趾焼と言われ、明からベトナムを経由して、
日本へ取り入れられた。
暖かな南方の緑が特徴である。


九谷焼はこの2つの源流を取り込み、進化した。



<美の壺2:ミクロの技がつくる華やかさ>


ベンガラと極細筆が作り出す細密描写の世界。
たっぷりと釉薬が塗られた陶器として九谷焼は有名である。
釉薬が立体感を生み出し、温もりのあるグラデーションを
生み出す。
皆様も陶器展やデパートの食器売り場に展示された九谷焼を
ご覧いただいているとおもいます。


さて、九谷焼にはこのほかに赤い九谷焼があることを
ご存知でしょう。
細描の極めつけとして、有名です。
江戸後期から明治にかけて生み出されました。
緻密が極める「赤」の世界。


極細の筆と技の巧みが描き出す世界。
筆先に意識を集中し、点描で描く。
海外ではジャパンクタニとして有名です。
欧米輸出を目的とした東洋の奇蹟です。
日本の磁器輸出No1でした。



<美の壺3:色彩が盛り上げる加賀のハレ>


白い世界に閉じ込められた雪国加賀。
そこでは、「ハレ」の舞台は色彩の舞台となるようだ。
戸惑うぐらいの派手な世界。
友禅染も九谷焼も同根のものを感じる。


雪の中に閉ざされた世界
せめて部屋の中に華やぎを求めたのでろうか。
そこには、長い冬を生きる加賀の人々の思いがある。
「ハレ」は高級感すら漂わせて。


古九谷論争の真実―古九谷は伊万里焼ではなかった
二羽 喜昭
北國新聞社出版局



九谷焼下絵図譜―九谷とアール・ヌーヴォーの交流
松本 佐喜男
東方出版

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