川越芋太郎の世界(Bar”夢”)

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11月度推薦図書(1)

2010-11-01 21:04:23 | 本を読む
11月度推薦図書(1)


最近の国際情勢は不安定要素ばかりが目に付く。
わが日本の周囲も尖閣列島やガス田開発・竹島問題など、
隣国との摩擦が耐えない。
どうしたらいいのであろうか。
いや、どうして係争がなくならないのであろうか。
こんな疑問を持つ人々もいることでしょう。
戦争や闘争に関する疑問。
回答の1つとして、次の書籍を紹介します。
内容の是非とともに、自らの頭で考えたいものです。


1、戦争文化論  著者:マーチン・ファン・クレフェルト
出版社:原書房
  戦争文化とは?
  本書の目的は戦争文化の紹介ではない。
  むしろ、戦争と人間との関係を論じたものである。
  一言で言えば「戦争、そのものが人間の文化である。」
と言及しているようだ。
こう表現すると必ずや反論する人々で溢れる。
しかし、本書の例示を考えると、著者の主張は正しいと
感じるのは私だけであろうか。
巷に溢れるスポーツや戦争ゲームは模擬戦争を体感し、
喜ぶ人々。
半面、困難に立ち向かう勇猛果敢さを美化する世界。
闘争は1対1もあれば、集団対集団もある。
こんな人間の世界に真の平和があるのだろうか。
過去の歴史でも、理性的な外交など存在したのだろうか。
強引に行われた戦争のなんと多いことか。


今、先の太平洋戦争を軍部独裁と独走に責任をなすりつける
人々が多い。
果たして、それで全てが表現できるのだろうか。
トルーマンの原爆投下が正当性を伴うだろうか。


しかし、本書はもう一つの主題を用意していた。
それは、「大切な文化:戦争文化」を損なう現状の問題である。
個人主義の台頭(集団的統率を嫌う)、闘争心を悪と断じる
世界観、暴力を否定するフェミニズム。
著者の警告がなる。
さて、貴方ならどう考えますか。

戦争文化論 上
マーチン・ファン・クレフェルト
原書房


戦争文化論 下
マーチン・ファン・クレフェルト
原書房



2、新徴組  著者:佐藤賢一 出版社:新潮社 
歴史小説である。あの新撰組沖田総司の兄の物語りです。
庄内藩と明治政府との激動の戦。
領地領民を守るために、家族を大切に背負うが故に、
戦に赴く侍たち。
侍たちは、身なりは質素で、外見を飾らず、言葉少なく、
表情も抑え目でありながら、熱さを内に秘める。
武士としての誇りを持ち、清潔で誇り高く、
時に臆することなく、行動する。


さて、この戦を貴方は否定できるであろうか。
戦争(戦)をすべて否定できるのであろうか。
後世の人々は、後世の価値判断で断じる。
しかし、時代の真中で、人々は生きていた。


もう一度、人間と戦争について、自分自身の頭で
考えてみたい。
世にいる評論家の是是非論ではない心の底から、
どう思うか。

  その中から、新しい自分が生まれると感じた。

新徴組
佐藤 賢一
新潮社