2013年(皇紀2773年;西暦に660年を加算する)が1月から始まるのは当たり前としているが、年度単位で業務を行う職場では4月1日を起点とする会計年度が用いられている。どの時点を起点とし、一年間をどのように月として区分するかはその国の歴史が関わっており、宗教観や為政者の強い意図も影響しているようである。古くは我が国でも陰暦(太陰暦)が使われてきた。現在でも陰暦による生活習慣は依然として存在しており、月の満ち欠けによる大潮、若潮、長潮や小潮など漁業関係者にはなじみが深い。潮干狩りに適する日は陰暦の1日、15日は新月と満月で大潮である。大潮を迎えると時間的に視て、ちょうどお昼頃に潮が最も引くので潮の満ちる前に貝を採ることができる。
太陽暦(グレゴリオ暦)の1年はおよそ365.25日であるが、陰暦では月が地球を1周するのに29.5日かかるので、これに近いのは12ヶ月(約354日)であり、12ヶ月をもって1年としている。陰暦の1年は太陽暦よりも約11日短い。
陰暦は1年の長さが1回帰年よりも短いため、暦と実際の季節との間にずれが生じる。これを解消するために閏月を適宜挿入することで暦を調整しているのが太陰太陽暦である。
現在、公式の暦として使われている太陰暦はイスラム暦と呼ばれているヒジュラ暦である。閏月を置かず、1ヶ月は29日か30日である。各月と季節との関係は毎年ずれ、32.5年で一巡する。また、1日は日没に始まり翌日の日没に終わる。
イスラム暦はアラブ世界では一般的で、断食月(ラマダーン 第9月)等を決めるのは月の満ち欠けによるものとされている。イスラム世界で一斉にラマダーンにはいれるのはサウジアラビアの高僧が望遠鏡で月を視て決めることを、以前中東へ技術協力に行っていたときに、現地の信心深いモスリムから聞いた。21世紀になっても人の力で月の始まりを決める-全くアナログ的である-のはどう判断すればよいか迷うが、イスラム教徒の多いインドネシアの天気が悪ければ、何によって月初めを決めるのか疑問となるが、そこはよくしたもので、雨であればサウジアラビアに聞いて決めるそうだ。(次回へ続きます)