前回に続き、メジロです。
老子の言葉。上善とはもっとも理想的な生き方を指す言葉です。理想的な生き方をしたいと願うならば水のあり様に学べという教え。水には学ぶに足る特徴が3つあります。まずは、どのような形の器に入れても、その器にうまく適合した形になります。四角い器には四角になり、丸い器には丸くなります。どのような器であってもその形に逆らわない特徴があります。つまりどのような組織に入ろうともその組織に馴染むことだと思います。
次に、水は高いところに置けば、下に流れようとします。重力による位置エネルギーのことで、高い位置にあることをポテンシャルが高いといいます。
給水塔に蓄えられた水は、階下まで給水します。人は低い地位に置かれるのはいやなものですが、誰しも高い地位に昇ろうとします。そして、一度高い地位を得ると地位の低い人を見下し、地位も巡る醜い争いは世の常です。水は自己の能力や地位を誇示せずに、逆に眼を下に向ける謙虚さをもっています。
3つ目は水の力の偉大さです。秘めたるエネルギーを持っており、時には大洪水を起こし、すべてを流し去ることもあります。古来より人は水のエネルギーを利用してきました。
水車や水力発電、蒸気は蒸気機関として、最近では高圧水を様々な用途に利用し、例えば材料の切断に利用しています。水の力は生活に利用され、人はその恩恵に浴しています。
水の1滴は岩をも穿つと言われます。このように水は柔軟で、謙虚で、秘めたるエネルギーを持っています。翻って、人の道として、それを身につければ理想的な生き方に近づけるという意味です。
余談ですが、日本酒の好きな方はご存じでしょうが、新潟県南魚沼郡の酒造メーカーから売り出されている「上善如水」があります。端麗で大変飲みやすい私も好きなお酒です。