近くの木にとなったホウジロです。
シモバシラ(別名 雪寄せ草)という植物をご存じであろうか?NHKの夕方の番組で天気予報があるが、季節の便りとして視聴者が写した写真の紹介があり、その中で立川の昭和記念公園で撮られたシモバシラについた霜柱を紹介していた。普通地面の水分が凍り、土が霜柱によって持ち上がるものではなく、シモバシラの茎に細かい帯状の霜柱がまとわりつくように成長したものである。まるでスカートを穿いたようでもあり、花びらが外側に開くような複雑な流体を形作る。水分がある状態で、気温が氷点下以下にならないと出来ないそうで、不思議な現象である。今までに見たことも聞いたこともなかったが、女房が撮った写真を見て初めて知った次第である。
昨年の11月の中旬、水上市に在住されているキノコの胞子の写真集を出版されている植物写真家の埴 沙萌先生宅へ、女房と共におじゃまする機会があり、その折りに奥様からシモバシラの植物を分けて貰った。女房は鉢に入れて、せっせと水をやり、気温が氷点下になった翌朝、大きな声で「シモバシラに霜柱が出来たよ!」知らない人が聞くと何のことか判らないが、初めて小さな霜柱が出来ていた。決して昭和記念公園のような大きな霜柱ではなかったが、実際に目にすることが出来た。
その後も何度となく、女房はシモバシラの霜柱を撮影するために昭和記念公園へ出かけたが、今年はあまり多くなく、残念がっていた。我が家のシモバシラもそれ以後注意してみているが、霜柱が出来ることはなかったが、来年への期待で、また見られることを楽しみにしている。
シモバシラは紫蘇科の多年草で、明治時代の植物学者の伊藤圭介氏の名前に由来していて、英語ではKeiskea Japonica との学名が付いている。シモバシラの草が枯れて茎が残るが、宿根草のため、根は凍結するまで活動を続け、根から水分を導管で茎に吸い上げるため、氷点下以下になると地表近くの水分が氷柱となる。紫蘇科の植物に見られる特異な現象とされている。