暑さの中、地面を吹管でなでていました。
若い女性の爪に装飾することが流行っている。若い女性ばかりではないのであろうが、マニキュアやペディキュアといった手や足の爪に色を塗るのは以前から行われており、珍しいことではなかったが、今ではネールサロンなる施工を行う店舗が多くなっている様である。発展して携帯電話にもデコメールと称する加飾が行われていて、女性の間では好まれている様である。
爪に装飾するのは塗装と同じで、ラッカー塗料が使われている。ラッカーは硝酸繊維素を塗料としたモノで、可溶性の揮発性塗料の部類にはいる。溶剤の揮発を待って塗膜を形成し、乾燥後は耐水性となる。溶剤(シンナー)に溶けるため、除去するのも容易である。ラッカーを希釈するには約同量のシンナーを必要とするため、溶剤はベンゾール、トロール、酢酸ブチルの様なエステル類、アルコール類を混合してある。
乾燥が早いため、梅雨期や湿気が多いところではブラッシングといって白化現象を起こす。表面に水滴が着き、乳化現象を起こし、光沢がなくなる。白化現象を防ぐため、沸点が高い溶剤、例えば、セロソルブ類を加える。メタリックラッカーはアルミの粉末が入れてある、透明のラッカーに各種顔料を入れることによって多彩な色彩を得ることが可能である。ラッカーを刷毛で塗るのは乾燥が早いため難しい。棒状塗りといって一刷毛ごとに塗る場所を変えて、一度塗ったところを何度も塗り重ねることはしない。塗り重ねるには一定時間置き、前に塗った場所が乾燥してから塗り重ねる。
ネールアートは爪とは別に、つけ爪として加色したプラスチックを接着する場合もあるが、簡単には付け替えが難しいため、直接爪に装飾している。多くの材料があり、蛍光、メタリック、オーロラ、螺鈿に用いる貝、ガラス、貴石等様々で、変わり塗りに直結している。まさか、螺鈿など漆工の技術がネールアートに使われると思うと、青天の霹靂の感である。何時の時代にも光り輝くモノは人間を魅了するのであろうか。
ネールアートの素材が、漆工の広がりを高める可能性もある。逆移入であろう。光り輝くといえば、電飾についても青色発光ダイオードの発明で用途は広がりを見せている。液晶についても同様で、電気の世界と塗装とが結びつく可能性も高い。現代の新素材がどのような形で伝統技術とマッチングするかは今後の世界であるが、伝統素材だけが正当な継承などという必要はない。多いにチャレンジして欲しいものである。