深大寺周辺は豊富な水脈があり、池が多い場所です。古くは作物や水田へ利用されていたと思われます。池は水路で結ばれていて、野鳥も多く生息しています。東屋が池の畔にあり生長した睡蓮は花が咲いています。
東京の郊外である調布市にある深大寺は、天台宗の名刹で、大きな敷地を持っていて、年中参拝に詣でる善男善女で賑わっている。本道に面した参道には土産物屋があり、有名なだるまを売る店もある。土産物屋よりも深大寺蕎麦を供する食堂が多いぐらい林立している。神代植物園と地続きであるため、写真撮影に行った日は必ずといって昼食は深大寺蕎麦を食することにしている。好みなのは夏冬にかかわらず「冷やしたぬき」である。
独特の桶で出される曝した腰のある蕎麦で、口当たりがよい。たぬき蕎麦はきつね蕎麦と同様に動物名から来ているようで、エビ天の変わりに揚げ玉が入っていて、エビ天に変わったことが、狸にバカしたとされたのである。きつね蕎麦はきつねが好きとされる油揚げが入っている。たぬきは「他抜き」と同声語として、他人よりぬきんでるとの語呂合わせから幸せを呼ぶとされている。そこに拘って注文するわけではなく、蕎麦つゆとごま油で揚げた揚げ玉との相性が良く、おいしくいただける。
深大寺で行きつけの蕎麦屋でエビ天を食べようとは思わないが、決して天ぷら蕎麦が嫌いではない。大降りのブラックタイガーが2本入ったエビ天蕎麦は、贅沢な感じを持っていて、余程のことでない限り注文しない。エビ天蕎麦がうまい蕎麦屋は他の蕎麦類もおいしいようである。自宅から車で15分ぐらいの場所に、小学校の同級生が蕎麦屋を開いていて、ここではエビ天蕎麦を注文する。蛇足であるが、区役所の近くに讃岐うどんを専門とするカウンターだけのうどん屋のエビ天もおいしかったが、最近は質が落ち、がっかりしている。エビは芝エビの種類である東南アジア産のバナメイである。
今回の神代植物園は9時半の開園に併せて自宅を出た。平日で、曇天であったため、日差しが少なく、避暑も兼ねてであったが、来園者が少なく、貸し切り状態であった。昼食時に蕎麦屋に行ったのであるが、普段と異なり店もお客は疎らで、久しぶりにゆっくりとした昼食が取れた。蕎麦は水質と水量が多いところがおいしいといわれる。蕎麦粉は殆どが輸入物のようで、深大寺近辺は宅地開発が進み、蕎麦畑は見かけたことはない。
手打ち蕎麦と称して、蕎麦打ちをディスプレーする店もあるが、新蕎麦を使っていると聞く。新米ほど蕎麦粉に執着はないが、新蕎麦の香りは違うといわれる。自分には未だにその区別が付かない。蕎麦の香りもよく分からずにいる。蕎麦はのど越しと蕎麦つゆの旨味と考えているが、この歳になっても分からないことがある。