携帯電話での情報交換は、現場の報道に近い。主な情報は、普段と異なる珍鳥の発見情報であろう。もちろん時期的な今の時期では見ることができない野鳥である。ほとんどは留鳥ではなく、旅の途中で立ち寄ったと思われる通過する野鳥である。翌日行っても見ることができない場合が多い。不思議なもので、餌となる木の実があるうちは滞在する鳥もいる。
毎日欠かさずに現場を見ていても、気が付かないことも多い。野鳥は常に居場所を変え、留鳥であっても、出没する時間が異なっている。早朝に出没する頻度が高いと言われてもれても、日頃夜更かしの生活をしている者にとっては、日の出前から現場に行ってカメラを構えるのは難儀なことである。しかし鳥が早起きであることはよくわかっている。
高齢になると、夜中に何度も起き、寝付かれないで、起きてしまい、朝刊が届くのを待っているなどの話を聞くが、就寝時間を聞くと10時には床に就くといわれ、朝起きも合点が行く。生活パターンを見直そうと思った次第である。しかしながら、天気予報との関係はと疑問を持つ。野鳥は、荒天か晴天かどうかは早朝にわかっているようである。低気圧に敏感なのか、それとも夕焼けや朝焼けなどの情報で知るのかわからないが、慌てて現場に行っても天候が悪い、特に風が強い日には出会いは少なく、野鳥も静かにしているようである。
勝手に思っているのであるが、午前と午後にかかる時間帯に猛禽類を見かけることが多い。たぶん、餌となる小鳥が出勤したころを見計らって猛禽類も登場するようである。しかし、もっと単純に考えれば、前日以前からえさにありつけなければ、天候云々ということではないかもしれない。生活のリズムは人間と同様に体内時計を持っているようで、季節を感じ、繁殖や、子育など別の遺伝的要素によって行動しているようである。
未知のことがあることが、魅力的な面かもしれない。わからない世界を持っているからこそ興味が尽きないのであろう。野鳥撮影のカメラマンの多くは野鳥の生態に詳しい人が多い。図鑑などの知識ではなく、現場から学んだ経験の積み重ねのようである。しかし、野鳥との出会いは偶然のなせる業で、チャンスに遭遇することの奥義は億劫がらずに通い続けることが第一の重要なポイントである。反省の意味を込めて、犬も歩けば棒に当たるがごとき、自宅で待機していてもシャッターチャンスは向こうからやって来てはくれない。