胸の色が深紅ではないのは若鳥と思われます。
平成28年12月14日
今日はあいにくの小雨日和で、10時開始の講義聴講に車で行くことにした。片道20分の距離である。昨日までの晴天と比べ、市中を歩く人は冬の装いである。路上駐車が目立つ時期でもあり、中でも多いのは宅配便と、工事車両である。年末の混雑にはまだ早いが、何となく師走の活気が戻っているように感じた。
科学ジャーナリストの柴田鉄治氏の2回目の講義で、テーマは福島原発事故であった。講義前に進行役から柴田氏の体調不良の話があり、鼻血が止まらないようで、開始時間が延びることが伝えられた。実際には5分遅れで始まったが、本人から風邪を引いたような話があった。しかし、講義中も何度か中断し、鼻血を拭うことがしばしばで一向に止まらない様子であった。講義開始1時間後の休憩時には長めの休憩時間をとった。途中、聴講者からの質問があり、自分も同様な思いであったので、紹介することにする。
質問の内容は、講義のテーマと話す内容とが異なるという、基本的なスタンスの指摘であり、コースがサイエンスを売りものであるにもかかわらず、サイエンスではなくポリテックであるという不満であった。科学ジャーナリストと標榜している割に、話す内容に政治的批判が多く、新聞記者の経験からか、どうも物の見方が批判的で関係者の愚策を強調しているようにしか聞こえなかった。つまり、科学的なアプローチの不足であった。贔屓目に見ても、記者の逃げ口上であり、反省の弁でしかなく、聴講者の指摘はもっともなものであった。
聴講者の指摘に対しても、ピント外れな回答がなされ、質問の意図を理解できていなかったようであった。そのような状況で、休憩時間を挟み質問者は退席した。今回の講義は、体調が悪い状態を推して、講義に臨んだのことに対しても、問題を残す結果となった。誰しも常時健康に生きているわけではないが、事前に病状を伝え、後日に変更することもできたはずであるが、強引さはかえって相手へ迷惑をかけることになる。
特に病状が単なる風邪と思っても、場合によってはインフルエンザかもしれないし、高齢者の多い聴講者に対しても最悪の事態を回避する責任が講演者にあることは暗黙の知であることで、講演者にあってはならない事態との認識を持つべきであったと他山の石として思った次第である。その意味ではコースの企画や進行をボランティアに頼る反面、開催側の管理体制を強化するとともに、運営規定を見直す必要があろう。