健康のための運動やリハビリを兼ねてカメラを持ちながら散策している方を見かける。ただ歩くだけの方も多いが、道すがら見る景色や草花を被写体として、カメラに収めることは趣味を広げる意味においても、大変良いことだと思う。四季の変化に気づき、足を止めて仰ぎ見ると、たまに飛んでくる多くの野鳥がいて、撮影は、身近に感じる世界を広げてくれる。
カメラがデジタル化し、軽量の小型カメラといえども、近くから遠くまで写しこむことができる機種も多くなっている。しかし、主流といえばバズーカ砲といわれる超望遠レンズを使った写真撮影である。レンズだけで3㎏を超え、100万円もする高額なものもある。以前はラボにフィルムを出し、現像しなければならなかった。その都度、現像代がかかるし、撮影枚数が増えると、フィルム代も結構な出費であった。
それがデジタル化され、メモリカードに保存し、パソコンに取り込むことによって、気に入った写真を自分で選択でき、印刷も手軽に家庭で行えるようになった。フィルム代がかからなくなったおかげで、経済的にもずいぶん助かっている。何しろラボでの現像や焼き増しにはそれなりの時間を必要とした。
一方、記憶した写真を再生させ、気に入った写真とそうでない写真を選別する作業が徐々に膨大になりつつある。整理の大変さがわかってくると撮影段階で制限するようになるが、ついつい、欲張ってシャッターを切ってしまう。廃棄する量が増えることの損得も考えなければならない。廃棄する量が増えることはイコール、写真の目利きが上達したのであるが、どうとらえるかは自己満足の域を出ないこともある。
さて写真の品質についての話に及んだこともある。つまり量と質である。最近耳にした言葉に「背打ち」(バックショット?) がある。通常の写真の位置は目線よりは下となるか、上向きになる。猛禽類は頭上を舞うため、撮った写真は仰ぎ見る仰角(ぎょうかく)となる。これとは逆に俯角(ふかく)に撮った写真を「良し」とするのである。丁度、富士山を飛行機から下に見て撮ることである。猛禽類の背を狙う撮り方で、難しいとされている。
つまり、猛禽類が飛ぶ位置より高い位置からの撮影を余儀なくされるからである。最近ではドローンを利用して、俯角からの撮影が可能になっているとのことで、今後、貴重な映像・画像を見る機会が増えそうである。