カラスの画像は少なめです。
対岸の高木はほとんどが自生の落葉樹であり、柳を除き葉はすでに落ちているため、写真撮影にはもってこいの時期となった。夏場の豪雨で雑草が水につかり、流されたため、背が高い雑草がなくなっている。おかげで見晴らしがよくなった。対岸は北に当たり、野鳥が飛んでも逆光となるため、撮影には向かないが、高木が多く、野鳥の数は多いようである。
カラスが群れて高木に止まると、その近辺には猛禽類がいることが多い。また、猛禽類が突然野鳥の群れに飛び込むときは一斉に周りにいる野鳥も飛び出る。カラスの場合は仲間を呼ぶようで、俄かに騒がしくなる。今回は対岸で繰り広げられたオオタカとカラスのバトルに居合わせ、シャッターを切った。時間にして20~30分と長いバトルであった。
オオタカはカラスに追われると逃げるのであるが、今回はそうではなく、何回も高木と川面を飛び回っていた。ベテランのカメラマンによると、オオタカのほうがカラスにちょっかいをかけ、川面へと誘導しているとのこと、その目的は餌にするようだと言っていた。
体長がオオタカと変わらないカラスを殺すのは捕まえてから全体重をかけて水没させ、溺れさせるようである。
カラスはそのことがわかっているようで、追いかけるが決して追われる位置には飛ばないし、木に止まるにしても、一定の距離を保っている。カラスの追従を待つオオタカは頃合いを見計らい、あえてカラスへの挑発を繰り返す。こうしてカラスとオオタカのバトルが続くのである。どう見てもオオタカの方が、分が悪いのは承知で挑む戦いは、なぜか猛禽類の強さを知らしめる行為のようであった。
ともあれ、目先の対岸で繰り広げるバトルというドラマは、野鳥撮影者だけにわかる世界であって、たとえ行われていても、通りすがりの遊歩者には、興味すら起きない世界なのかもしれない。予想すらできない現実は、当然であるが、ふつうの人には見えないものが見えるわけで、その世界に「はまる」ことによってのみ、捉える世界が繰り広げられることは大変興味深い。差別用語になるかもしれないが、眼空きの目暗といわれる世界であろう。
バトルは命をかけての世界で、野鳥といえども生きるか死ぬかの接点を見せてくれるので、多くのカメラファンがいることも事実である。