かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

650 あれっ!原産地証明書のサインが違う??

2009-05-12 | 輸入
今晩は!

経済連携協定の特恵税率を使って日本で輸入通関する際に必要な原産地証明書のサインが、
本来の証明者でない人がサインして発行され、日本の税関で特恵税率適用を拒否される例が出ているようです。

 日本とマレーシアとの間では、日マレーシアEPA(JMEPA)と日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)があります。
 この協定を利用した通関には、原則として原産地証明書(CO)が必要ですが、その署名権者は協定ごとに決まっていますが、どうやらマレーシア政府が発給したCOについて、本来の署名権者以外の者が署名するということが起こっているようです。

 このため、日本での輸入時に、税関から無効な署名によるCOとの指摘がされ協定の適用を受けられない事態が生じており、経済産業省のホームページで5月1日付けのお知らせが掲示されています。

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(財)日本関税協会が発行している「関税週報」には時々、各国の原産地証明書の証明について印影が載せられていますが、EPA税率のような新しい制度の原産地確認には税関も相応に注意しているんですね。

輸入する側からは、低い税率で輸入できると思っていたものが、輸入通関時点で税関からNOと言われないよう、COの発給時点で発給機関に確認するという自衛措置をしておくことが必要で、経産省もそのようなことを言っています。
それにしても、このような当局のミスは早く無くしてもらいたいものです。

やや脱線しますが、原産地証明書の電子化とか、電子データーによる証明書の提出が、今後の業務処理のシステム化に関係して課題の一つとされています。
実現する場合は、署名とか印というのはどういう風にシステム化に載せていくんでしょう?もし、印影や署名をデジタル化したら直ぐに同じものを偽造できますね!どうするのかな?

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小沢さんが辞めて、民主党の顔が新しく選ばれます。
25年ぐらい前に、議員会館に自民党時代の小沢事務所を訪れたことがありますが、スターとは違うオーラを感じた記憶が残っています。



649 「消費税の複数税率問題」と「給付金付き税額控除制度」

2009-05-11 | 輸入
定額給付金の申請をしましたが、振込みは月末ぐらいになるようです(^.^)。

世界景気の建て直しのため、各国が財政出動や知恵を絞った税制面での支援をしています。
そんな中で、日本は遠くないうちに消費税を引き上げることが大まかなコンセンサスになってきているようです。

かずさんは、その際は、低所得者に配慮して食料品などの生活必需品についての軽減税率を設けるかどうかが、一つのポイントになって、もし、基礎食料品は軽減税率適用ということになれば、通関実務は食品などの輸入申告時にどの消費税率を適用するか、現在の単一税率(5%)よりも申告者も税関も業務が増えると心配しています。

 ある品目の消費税率を軽減すると、実際の課税対象品が「軽減税率適用の特定品目」に該当するかを決定する必要があります。
例えば、「基礎食料品」といっても、何がこれに当たるかどうかはとても難しいでしょうし、人によっても違いそうです。

日本人なら「コメ」はまず基礎食料品でしょうが、せんべいや団子にするための米粉はどうでしょう。小麦なら全て基礎食料品でしょうか?パン用の小麦粉、お好み焼き粉に使うもの、うどん用に使われるもの、パスタ用に使うもの、五穀米に使われる雑穀はどうでしょうか?大阪人なら、たこ焼きやお好み焼きに使うような小麦粉は、基礎食料というでしょうか?
ベジタリアンなら新鮮野菜は基礎食料と感じるでしょうが、野菜余り好きじゃない人間の私などは、そう拘りません。
マリーアントワネットなら、パンよりお菓子が基礎食料品でしょうか?

こんなことを考えていたら、先月4月28日の政府税制調査会第29回企画会合後の香西会長の記者会見録で、次のような会長の発言が出ていました。

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○ 香西会長
 消費税について複数税率にするのかどうかといったようなことについては、一つの可能性としてはあるわけですけれども、反対もあるということです。率直に言うと、私は大嫌いなんです。

・・・もし一人当たりどのくらいまでの食費が本当に必要だというのだったら、それを控除することができる可能性もありうるわけです。・・・これは個人の意見ですから・・・

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 詳しくは税調のページに出ていますからご覧になればいいですがhttp://www.cao.go.jp/zeicho/kaiken/kikaku29kaiken.pdf)、消費税だけじゃなく所得税などとセットになった税制の抜本改正の中で、少子化の児童税制、ワーキングプアと言われる低所得者対策などをも見据えて、消費税の複数税率問題も吸収していく途もあると考えられているようです。

 元に戻って、記者会見では、税制抜本改革に向けた実務面の課題にかかる海外調査をすることが明らかになっています。

 調査の主な内容として、日本には無くて、米国、イギリス、韓国などで導入されている「給付金付き税額控除」制度の実態調査という項目が入っています。

 関税の世界から距離がある事項ですのでこのブログでは「給付金付き税額控除制度」は取上げませんが、制度設計を上手くすれば、極めて低所得な層に対しては、少し働けば可処分収入がどんどん上乗せになるような勤労促進的にも出来ます。

 また、低所得者層だけに給付金を届くようにしたり、子育て支援を目的に未成年の扶養家族がいる家計にだけ一定の金額を渡すとか、いろいろな政策目的の達成を助けることができるとされています。

 興味のあるかたは、4月に発売された森信茂樹編著「給付付き税額控除―日本型児童税額控除の提言」が参考になります。また、東京財団の講演録も参考になります。
http://www.tkfd.or.jp/admin/files/080421powerpoint01.pdf

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 親しい友人は石川さゆりさんの「津軽海峡・冬景色」が持ち歌の一つになっていますが、「つぐない」、「夜桜お七」などの作曲やアンパンマンのテーマソングも手がけた三木たかしさんが64歳で亡くなりました。

4月の新車販売ではホンダのハイブリッド車「インサイト」がトップとの報道、時流に乗っての快挙ですね。
 





646 DRAMの相殺関税の廃止と還付!

2009-04-28 | 輸入
 随分以前の通関士試験では、関税定率法の特殊関税が出題されることはマレでしたが、近年は比較的取上げています。

 日本が輸入品に「相殺関税」を課した第一号の、韓国ハイニックスセミコンダクター社製のDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリー)について、相殺関税が4月23日に廃止されました。

 新聞などの報道でご存知と思いますが、2001年―2002年に韓国の金融機関がハイニックスに行った金融支援を実質的な韓国政府の補助金と日本政府が認定して、2006年1月から27.2%の相殺関税を課し、その後WTOの是正勧告を受けて2008年9月から9.1%に税率を下げて相殺関税を課していたものです。

 ところが、「補助金の利益は消滅している」とのハイニック社の申立てを受け、日本政府が2007年時点での
利益の有無を調査したところ利益が存在しないとの調査結果を得たものです。

 つまり、通してみると、2001年~2002年には韓国政府の補助金があったが、2007年にはその利益は消滅していたという結論です。

なお、この結論から、2007年から現在までに納付された相殺関税と、2006年に納付したものの一部は還付申請して返してもらうことになります。

同じような経緯は、米国やECでも発生していて、米・ECともに2003年8月から相殺関税を課税していましたが、既に課税を終了しています(米国20008年8月、EC2007年末)。

日本でのDRAMのシェアは、日本のエルピーダメモリと韓国のサムソン電子で75%ぐらいを占めていて、ハイニックスは14%と報道されていましたので、還付の手続きに関連される通関士の方も多いのでしょうか?

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瞬く間に豚インフルエンザが、世界に広がっていますね。
WHOが人から人へ感染するレベルの新種のインフルエンザ発生を宣言しました。パンデミックには至っていませんが、日本は水際で阻止できるでしょうか?

 1ヶ月ぐらいの篭城に備えて備蓄すべき?とりあえずは、マスクと、手洗い用の薬用石鹸でしょうか。

 成田空港では、出国者のマスク購入が増加しているようで、夏休みやバカンスの頃の世界の状況がどうなっているのか、海外旅行の激減が心配されます。
 



630 桜使節と植物検疫

2009-04-06 | 輸入
 通勤途上で見る桜が見頃を迎え、日曜日に お城を遠望する大川端の桜並木を歩いてきました。
 この時期、この大川では恒例でレガッタの市長杯戦が行なわれていて、フォアやエイトの男子、女子などに混じって、中学生のチームも出場です。

桜は、川端や水辺がひときわ映えますが、東京では隅田川、千鳥が淵などが浮かんできます。

その連想から、明治末期に当時の東京市長が送った、米国ワシントンD・Cポトマック河畔の桜を思い出しました。残念ながら、かずさんは開花の時期のワシントンは知りませんが、いまや世界の名所になっていると言えます。2009年のポトマックの桜祭りは3月28日から4月12日とのことで、あちらでもちょうど盛りの時期です。

 日本からの桜のお返しに、1915年にアメリカハナミズキの苗木が送られてきました。この木はいまや街路樹や庭木など、日本でも愛される花木になっています。

切花や、果物の輸入は、虫がいないかなどの検疫が必要で、害虫が発見されたら消毒されるんだろうと言うのは誰でも想像できますが、本日は、花木の苗や球根の輸入と言うのは、貿易関係者でも実際にタッチする人はとても少ない分野ですので、ちょっと正確性を欠くかもしれませんが、アウトラインを見てみましょう。
関税法では、第70条(証明又は確認)の他法令と言われる世界です。

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植物防疫法は、土が付いているものの苗などは、輸入禁止です。

このため、苗を輸入するためには、土を完全に除いて、輸入可能なものを使用して植え込みや根回りの包装をする必要があります。
植込み材料としては、ピートモス、ミズゴケ、パーライトなどが良く使われ、根回りの包装にはピートモス、ミズゴケが使われるようですが、イネワラも基本的には輸入禁止されています。

脱線しますと、お正月前になると、もしかしたら中国で作ったのかと思われる一部にイネワラを使った飾り物が売られています。もし、外国のイネワラを使ったものなら、日本との二国間取決めで輸出国で決められた消毒をして使っていると思われます。
イネワラは、想像できないか知れませんので、海外旅行の土産選びでは気をつけましょう。

桜や、ハナミズキの木々の親善大使が、無事に異国で根付くまでには、まず検疫と言うハードルが有るんですね。
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昨秋に植えつけたチューリップの球根がぐんぐん成長する時期です。
チューリップと言うとオランダが有名ですが、この球根の輸入も苗木と同じように、植物検疫の検査が行われます。

球根は、土がついていないかとか、虫がいないかなどの検査が終わると、「隔離栽培」をしてウイルス病の検査が行なわれます。

この球根の隔離栽培は、植物防疫所や輸入者の隔離ほ場で、実際に栽培して生育中に抗血清、顕微鏡観察などの検査が行われます。当然この検査は、球根を栽培して次の球根が出来るまでの期間かかります。
このような、隔離栽培が行われるのは、チューリップ、ゆりなどの球根類、ジャガイモの塊茎、サツマイモの塊根、かんきつ類、りんご、なし、ぶどうなどの果樹苗などです。

 なお、球根は、オランダ、ニュージーランド、ベルギーのものは、「隔離栽培代替制度」と言うものがあります。これは、日本と、これら国との取決めで、所定の検査を輸出国ですることによって、日本での隔離栽培を免除するものです。

どの国からの、どの球根がこの制度の対象かが決まっています。
種苗店にいくと、外国産の球根が並んでいますが、このような制度を経て輸入されていると知ると、少し違った目で見られるのではないでしょうか?

通関士試験や貿易の学習をされる方は、どこにでも頭の体操をする材料はありますよ。

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きょうのさくらは、日本三大桜の、山梨県の、神代桜です。







615 特定原産地証明書の自己作成のスキーム

2009-03-13 | 輸入
 Form-A と言われる一般特恵原産地証明書は貿易関係者ではなじみが多いですが、近年、EPA締結が進展して、経済連携協定の「特定原産地証明書」が見られるようになってきました。

 そもそも、原産地証明書の発給については、「1923年の11月3日にジュネーブで署名された税関手続の簡素化に関する国際条約」(ジュネーブ条約)11条に基づき、条約を批准した国がそれぞれ発給機関を定めて発給を行わせることになっています。

この発給機関は、日本では商工会議所が位置づけられていますが、アジアでは税関が発給したり、多くのヨーロッパ諸国では輸出者が自ら作成することもできます。この違いは、大きくは社会構造や規範の違いが有るんでしょう。

 そこで、2009年2月に署名の日スイスEPAでは、日本では始めて「輸出者」が自ら証明書を作成できる制度が導入され、3月10日にそのための根拠を法律で規定するため「経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案」が公表されました。

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今回は、この法律案の内容を、制度の趣旨は違いますが関税法のAEO制度である「特定輸出者」と対比しながら、概観してみます。

1 第1種、第2種 特定原産地証明書
 EPAの特恵税率を受けるための特定原産地証明書に表題の2種類が出来ることになります。
 関税法は、このように数字をつけて識別すると言うことはされていません。これは、関税法は
全ての輸出入をカバーしていますから、何かそこから切り出して特別の概念を作るためには「特定」や「特例」を付加して、その他一般のものと区別するんでしょう。

この第2種特定原産地証明書が、輸出者が自分で作成するもので、第1種は今までと同様に商工会議所が発給するものです。

2 自己作成できる者の認定

 第二種の証明書を自己作成したい輸出者は、経済産業大臣の「認定」を受ける必要があります。
 関税法の特定輸出者は「承認」を受ける必要があります。関税法での「認定」と言う言葉は第79条のAEO通関業者の条文で「認定」を受けるとされています。
 承認と認定、かずさんは詳しく知りませんが、法律上の違いが有るんでしょうね。

 そして、原産地証明書は「経済産業大臣」の認定ですが、特定輸出者は「税関長」の承認で財務大臣の承認ではありません。
ちなみに、法人税法の税の徴収や承認権限は、税務署長で、国税局長でも、国税庁長官でも財務大臣
でもありません。

これも面白いですね。脱線しますと、

経済産業省は、省―地方経済産業局―事務所が組織のラインで、こういう実務を大臣権限にしています。
財務省は、省―各税関―税関支署・出張所のラインで、中間に位置する税関長に権限を与えています。また、国税関係は、省―国税庁―各国税局―各税務署 のラインで、最も第一線の税務署長に権限を与えています。

3 欠格
 自己作成できる者になれない欠格条項があります。
 原産地発給の法律に違反して罰せられたり認定取消を受けてから、「1年経過していない者」は認定を受けられません。(法律の第7条の3)

 関税法の特例輸出者の承認要件(関税法第67条の4)は、同じく罰せられたり、取消されると、3年(又は2年)は承認を受けられないとされています、よりレベル高く法益を求めると言うことでしょうね。

4 認定の更新
 自己作成できる者の認定は、「期間」があるようで定期的に更新をする必要があります(法の第7条の5)。この期間は省令で定めるようで未だ明らかになっていません。

 関税法の、認定通関業者の「認定」には、このような期間はなく、更新も有りません。認定なら必ず期間があるということでもなさそうです。ただし、元の通関業の許可については、「条件を附すことができる」(通関業法第第2項)とされ、実務的には許可期限をつけていますから、更新が発生しています。

5 登録免許税と更新料
自己作成できる者の認定を受けるためには、9万円の登録免許税が必要です。税金なんですね!
また、期間は分かりませんが更新時には「手数料」が必要です。

関税法の特定輸出者の承認や、認定通関業者の認定にはこんな税金や手数料は不要です。これはちょっと驚きですね。自分で証明書を発給できるから、税金が必要になるんでしょうか?
税や手数料の世界も、法的に整理するための理屈があるんでしょう。

6 義務
自己作成できる者の認定を受けると、書類の保存義務とかの義務が発生します。まっ、これは特定輸出者でも同じですね。

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2008年10-12期の実質GDP改定値は年率12.1%マイナスと報道されましたが、サラリーマンの月給がGDP連動型だと大変な事態ですね(苦笑)。

良き週末をお過ごし下さい。