かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

614 余り知られていない話!「輸入品の地方消費税の清算」

2009-03-11 | 輸入
こんばんは!

 免税にでもならない限り、日本での輸入には5%の消費税が課税されます。

 輸入時の課税も国内でモノを買うときの消費税も同じで普段意識されませんが、この5%は、国の税金である消費税4%と、国の消費税額の25%である地方消費税の1%相当分の合計です。正式の輸入(納税)申告では、この国税と地方税とがきちんと別に記されて申告しています。

 なお、地方消費税は、国が徴収するのは本旨ではありませんが、輸入品については納税の利便のために、国の税関が消費税と併せて扱っています。

 このため、実際の輸入品の消費税は、輸入通関手続きをする税関官署に国税と地方税の5%を、輸入者本社所在地や、どこで消費されるかなどと関係なく納税されますので、千葉県の成田、東京都、神奈川県・横浜市、大阪市、兵庫県・神戸市などの輸入額の大きい港の税関に多額が納められています。
 
 したがって、納税地と実際の所在地とはまったく違った構造で、このような、納税地と消費地との相違は国内の地方消費税でも同じです。

 このため、平成9年の地方消費税の実施時に、大議論のすえ、税関と各地方自治体で徴収した地方消費税額全般について、最終的に各都道府県に再配分する仕組(清算システム)が決められました。

その清算基準は、各都道府県の

① 小売年間販売(商業統計) 
② サービス業対個人事業収入額(サービス業基本統計) 
③ 人口(国勢調査) 
④ 従業者数(事業所・企業統計) の4つの指標をもとにした計算式が決められました。

 (注)それぞれのウエイトは、次の通りです。
小売年間販売額(商業統計)と、サービス業対個人事業収入額(サービス業基本統計)の合算額 6/8
人口(国勢調査) 1/8
従業者数(事業所統計) 1/8

 また、このようにして都道府県に配分された地方消費税は、その2分の1が県内の市町村に再配分されていますが、この再配分は「人口」と「従業者数」の割合(ウエイトは50%ずつ)で配分するとされました。

 このように、県や市町村にとって「人口」や「事業場」は色んなところでプラスに働くんですね。

 消費税は他の税より都道府県による偏りが少ないと言われていますが、再配分後の地方消費税額を一人当たりの税収額で見ると東京都と沖縄県では2:1の格差があるとの資料もありました。

最近では清算基準の見直しをすべきとの意見も有るようです。

 なお、清算基準についての研究結果としては、(財)地方自治情報センターが、詳細な検討結果を2008年4月に次のアドレスで公表していますので、関心がある方はご覧下さい。
 http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/cms/resources/content/519/Chisho_Seisan_Houkoku.pdf

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 3兆円近くの地方消費税の配分のことですから、自治体にとってものすごく大きな問題と思われます。

 税の性格に基づく理論的なつめ、利用する統計の確度など、論理的、実務的なアプローチが行われるようです。

 画は、園芸名「金のなる木」や「成金草」、英名は Jade plant, Money treeです。あやかりたいものです(笑)。


  



595 帰国時持ち帰りのマイカーが公道を走るまでのシミュレーション

2009-02-09 | 輸入
  二月、三月は入学、卒業による就職、企業の年度の切りなどからの人事異動などで、住所の変わる人が多く年間でも引越しの多い時期です。
  今年は、グローバル企業が、金融危機の影響で世界的な事業整理を進めたり、企業によっては鳥インフルエンザのバンデミックに備え海外駐在家族の帰国を促したりもあるようですので、海外からの帰国のための引越し荷物の輸入通関が高水準になるかもしれません。

 そこで、今回は、海外駐在の会社員Aさんが帰国にあたって、現地で使っていたBMWの自動車を持ち帰ってくると想定して、日本で乗り回すまでにどんな手続きが必要なのかのシミュレーションです。

1 特定用途免税
 日本への帰国にあたり、使っていた自動車を別送して輸入する場合は、輸入後2年間同じように個人で使用するときは、関税、消費税が免税されます(関税定率法第15条第1項第9号)。今は、関税はもともと無税ですので、消費税が免税です。

 この免税を受けるためのポイントは、①輸入後2年間使う ②入国時に別送の車があることを申告しておく ③既に使用していたものである の3点です。 ③の既使用は、使用期間の定めは有りませんが、もし船や飛行機を持ち帰ったら1年以上使用していることが条件になっています。

 また、輸入通関時には、③の使用していることを立証するため、外国での自動車登録証、保険証、譲渡証明書等を求められます。

2 自動車通関証明

 車を実際に公道を走らせるには「道路運送車両法」に基づく車検、登録などの国内手続きをして車両ナンバーを取得する必要があります。

 代理店が正規輸入する車には、道路運送車両法の保安基準に適合しているかどうかを、型式ごとに事前に審査する自動車認証制度がありますが、引越しで個人が輸入する車や、並行輸入する車は、一台ごとに国内手続きをする必要があります。

 まず、税関から自動車通関証明書の交付を受ける必要があります。
 関税法第102条に証明書交付の規定がありますが、これに基づくもので、関税法の基本通達(102-2)に手続きが出ていますが、いずれ陸運事務所で車両検査を受けるためにこの通関証明書が必要です。

3 車両検査前の整備
 自動車通関証明を貰って、保税地域から引き取った後は車検前の整備です。
 イ 保安基準を満たすよう排ガス対策等の対応作業を、整備工場でして貰います。
 ロ 国土交通省認定の公的機関で、排ガス試験をして、排ガス試験成績書の交付を受けます。
 ハ このうえで、陸運事務所の車両検査を受けます。

 このように、自動車を転勤で持ち帰るのは、輸送費以外に、国内で走るため車検という壁がありますので簡単ではないことを覚えておいたらいいですね。

 自動車メーカーや輸入業者ですと、これ以外にもエネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)による表示、自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)による適正処分、資源有効利用促進法(リサイクル法)による分別回収のための表示 などの法律も関わっており、やはり、自動車はとても便利なものですが、利用するに当たってのコスト負担もかなりあるということでしょう。

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 写真は、6400台積載の自動車運搬船です。一度、積込みの現場を見ましたが、10cm間隔ぐらいでぴたっと止めていくんですね。縦列駐車苦手のかずさんには絶対できないです(笑)。





588 back-to-back COとは?

2009-01-28 | 輸入
こんばんは!

この表題をご覧になって、はは~んと概略がわかる読者は、通関士の方でも少ないのではないでしょうか?

日アセアン包括経済連携協定(EPA)は、日本とASEAN10各国のうちのシンガポール、ベトナム、ミャンマー、ラオスの合計5カ国間で昨年12月1日に発効し、その後ブルネイを加え、2月1日からはマレーシアについて発効します。

EPAでは、原産地規則をクリアしてEPA特恵関税率の適用があるかどうかがポイントです。

この原産地規則は実質変更基準を原則に、品目毎に原産地として認められるための規則が定められており輸入者やグローバル企業にとって、取引き品目ごとに見極めをしていく必要がありますが、多くの品目では「付加価値が40%あればよい」か「材料のHS4桁番号と製品のHS4桁番号が異なるような製造が行なわれていればよい」が要件になっています。

EPA特恵税率適用品目のわが国での輸入通関実務では、原則として、このような原産地を証明する原産地証明書(CO:Certificate of Origin)を輸入申告に添付する必要があります。

(事例の想定)

 そこで、マレーシア原産で、適切な原産地証明書(以下、COと略します。)を取得した貨物があるとします。

 これを、シンガポールでストックしておいて、商機を見て日本や、欧米に輸出しようともくろんだり、シンガポールで販売する積りでシンガポールに到着して販売前に急遽日本へ転売することになって、マレーシア原産で、適切にCOの発給を受けていた貨物でシンガポールにあるものを、日本に輸入することになったとします。

 この場合、従来のEPAでは、日本の輸入時にマレーシア原産のEPA特恵税率の適用を受けようと思うとマレーシア発給のCOが必須でした。

 ただ、こんな場合、シンガポールでの陸揚げやストックの手続きなどで、当初のCOを日本の通関時に提出できない状況となることがありえます。

 このような場合、生産国と別の締約国(事例ではシンガポール)で、生産国(マレーシア)の原産品であることのCOを発給できるようにするというのが、「Back-to-Back CO(連続する原産地証明書)」というものです。

 この制度は、日本が締結してきた他のEPAではなかったもので、ASEANが従来実施してきた経緯から
導入したものです。

 ASEANとのEPA(AJCEP AGREEMENT)についての原産地証明書の様式には、第13欄にBack-to-Back COとしてチェックする項目がありますよ。

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 (財)日本関税協会が月刊で発行の「貿易実務ダイジェスト」の2009年1月号に、財務省関税局の上川原産地規則専門官が講演・執筆された「原産地規則を巡る最近の動きについて」では、ASEAN原産地規則の特色について、分かりやすく解説されています。
 大きな図書館や本屋では見れますのでお勧めです。

 今日のテーマとは違いますが、昨日国会に提出された関税法改正案が税関のホームページにアップされています。
http://www.customs.go.jp/kaisei/horitsu.htm#kz210127

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 難産の定額給付金が国会で成立しましたが、さて何時支給されるのか。
 未だ皮算用は早いんでしょうね。

  昨年は、京都・北野天満宮の境内で、「梅にうぐいす」でしたが、今年はどこの梅見を楽しみましょうか?





567 原産地管理の重要性が高まっています!

2008-12-19 | 輸入
通関やロジステイクスの分野について、グローバルな視点や感覚の重要性が高まっているようです。

もちろん、日本で通関やロジステイクスの仕事をしている私たちにとって、日本の関税法その他の貿易関係法令の知識や手続きその他の国内事情に精通していることの重要性は言うまでもないことです。

しかし、視線を少し上げると、

①サプライチェーンのセキュリテイ確保を求めるAEO制度の世界的普及 
②輸出入貨物データの事前通報制度の広がり 

③EPA(包括経済連携協定)やFTAが世界各国・地域で網の目のように結ばれて広がっていること
④ 日本の企業が世界で調達・生産・販売するグローバルな活動をすることが当たり前になり、かつ、他国と熾烈な競争をしていることなど、

私たちの視野に、常にグローバルな動きを見据えて、日本だけの最適やコンプライアンスではなく、グローバルな最適を求めていくことが、国際競争の場で日本が最終的な勝利を得るのではないかと考えられます。

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近年、日本の製造業にとって、原産地管理の重要性が高まっています。その原因は、EPAやFTAの広がりです。

長期的には世界の関税率は低下し、無税化されていきますが、過渡的には5%、10%という関税率が残りますし、WTOによる一律の関税率引下げがない場合は、ルールに従ってEPAの特恵関税率の適用が可能かどうかの原産地管理が必要です。


そのようなことから、中国、アジア、メキシコ、東欧など、世界の生産拠点で製造した製品、部品を日本や世界各国で輸入する企業にとって、EPAやFTAの広がりは、従来あまり必要がなかった原産地管理という業務が新たに生じています。

この管理をせずに高い関税を納めて輸入することは出来ますが、コスト競争力に大きく影響することになります。そこで、輸入者にとって悩ましい問題が生じています。

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1 EPAごとに原産地規則は違う!

 原産地規則には、ご承知のように、大きく分けて ① 関税番号変更基準と ②付加価値基準 がありますが、EPAごとに品目毎にこれが入り混じって決まっています。
 
よく、世界各国がてんでばらばらにEPAやFTAを結んでいて、こんがらがっているのを、スパゲテイ・ボウル現象といって、スパゲテイがボウルの中で絡まりあっていることに例えますが、原産地規則も同様です。

 したがって、例えば、日本企業が中国で生産した製品Aを、マレーシア、日本、アメリカ、EU、南米に輸出して、その国で輸入しようとすると、一昔前は、それぞれの国でHS番号はどこに分類され(HAは本来世界共通ですが、違って分類されることがありえます。)ているかを調査すれば、輸入国の関税率は確定できました。

2 原産地規則を適用するための複雑な調査

ところが、今は、
① 先ず、中国とその国でFTA協定のようなものがあるかどうか、あれば特恵税率があるかどうかを知らべます。
② 次に、Aという製品の原産国が中国か、別の国かを、その輸入国ごとに調べる必要があります。このためには、Aについて適用する原産地規則を調査します。

③ Aという製品の原産地規則が、中国と輸入国Bとの協定では関税番号変更基準なら、Aの原料やアッセンブリした部品のHS番号を調べて、製品A のHA番号と比較する必要があります。(この変更基準も、HS4桁なのか、6桁なのかの区別があります。)

④ また、適用される原産地規則が付加価値基準なら、原材料、部品の調達国、原産地、FOB価格などを調査して、所定の付加価値基準を満たしているかの検討を要します。

3  説明責任を果たすことが必要

 日本から輸出する場合、日本産であることを証する原産地証明書は日本商工会議所が、経済産業省の監督の下で発給しています。

 実際は、ネットを通じての申請で発給されますが、2008年6月から申請者(輸出者)が入力する項目の大幅な簡素化が行なわれました(特に付加価値基準に関連する材料価額などの項目は入力を要しなくなりました。)。

 このように、手続き自体は簡素化されましたが、これは申請者による宣言によって発給するという「企業の自主的なコンプライアンス重視」に考え方が変わったもので、原産地の証明責任に変更はありません。

4 組織的な取組みが不可欠

 お気づきと思いますが、世界で活動するような大きな企業ですと、原産地をルールに従って適切に判断し、原産地証明書を得て、正しく輸出入通関をするためには、ロジステイクスやコンプライアンス関係の部課だけでは対処できませんので、関係組織が連携した取組みが不可欠です。

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ざっぱくな記述になって恐縮ですが、かずさんが通関を中心とする貿易手続きの世界で実務をしていた時期は、関税評価、関税分類、輸出入規制が、三大ポイントでした。

 当時から、原産地表示の虚偽や誤認表示貨物は輸入できませんし、一般特恵関税の原産地証明制度はありましたが、今は日本企業の生産、販売が世界規模になって、EPA、FTAの普及もあって、原産地管理業務の重要性を増しています。
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今夜は、忘年会やらで街に繰り出している人が多いです。駅の改札口が一杯でしたよ。


 この写真は、神戸港です。やはりきれいですね。



553 お酒とたばこの税金

2008-12-01 | 輸入
インド・ムンバイのゲリラやタイ・バンコック空港の反政府組織による占領、ヒラリー・クリントンの米国国務長官任命へのニュースなどとともに、麻生総理の支持率が急減したけれど次のイメージする総理は麻生さんでも、小沢さんでもないとの世論調査がありましたが、経済に暗雲が漂う中で、余裕がありそうなのは、持ち家などの基盤がしっかりしている年金生活者か、親に全面依存で就職はまだまだ先の高校生ぐらいと聞いたことがあります。

先週末に政府税調の答申があって来年度の税制改正の議論が高まります。

経済対策や選挙が近いことから、来年度予算は、なんでもありの大判振る舞いになりそうですが、その中で、たばこの増税が話題になっています。

今のかずさんは愛煙家ではありませんが、夏ごろたばこを一箱1000円まで増税したらどうかというような話題があって、周りに尋ねると1000円なら禁煙という意見が多かったようです。

中央大学の森信茂樹法科大学院教授によれば、税当局とビール業界で壮烈な戦いがあったビール・発泡酒の税金問題では、本格的な発泡酒が発売された94年と7年のビール税収は,1兆6千億円から1兆1千億円(発泡酒・リキュールを含む)に落ち込んだとのことです。

発泡酒込みのビール類販売量が741万キロリットルから694万キロリットルに落ち込んで、税金論争の結果、麦芽の少ないビール類が氾濫し、ビール類の味はまずくなりビール離れを引き起こしたと分析されています。

 さて、たばこは、余り増税しすぎると、税収としてはプラスになるのか、かえってマイナスになるのか税源としては難しいところですが、たばこの害を考えたトータルとしては、消費減になっても良いとの考え方もありそうです。

 ヨーロッパのたばこは、1000円に匹敵しそうですが、あれはどういう発想の税率なんでしょう?

 ちなみに、ビール酒造組合のチラシによれば、アルコール1度、1リットル当りの酒税額を見ると、高い順番に次のようです。

ビール(5度) 44円、 発泡酒(5度) 24円、焼酎(25度) 10円、ウイスキー(40度) 10円、清酒(15度)8円、ワイン(12度) 7円

 かずさんは,芋の焼酎派ですが、税金は安いと思っていたのがいつの間にか上げられちゃったんですね!
それにしても、ビールの税金はたばこと同じように半分は税金とは、飲むなというぐらい高いですよね!

 これから生中(なまちゅう)は控えますか? 
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  先の土日に、異業種の方の話を伺う機会がありました。「強欲資本主義 ウォール街の自爆 (文春新書) (新書) 」神谷秀樹(著) がお薦めとか、平安文学をずっと研究されている方の学問上の立場とかとかですが、自分が属して来なかった世界の方の識見は新鮮です。