かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

550  輸入貨物の消費税の仕入税額控除の判例紹介

2008-11-26 | 輸入
 現行消費税率の5%なら、消費税の租税回避へのインセンテイブはそう大きくありませんが、15%,
20%がざらのEU諸国では、あれこれ知恵を絞って回避を試みるようです。

 消費税(EUはVATという付加価値税)はモノの売買のほかサービスにも課税されます。
モノの取引きにおける消費税の課税回避は難しそうですが、サービス面では課税当局と企業とであれこれ訴訟にもなっているようです。

フィクションですが
① 日本の企業Zは、ソフトウエアAを消費税がなく法人税も低いX国に設立します。
② Aとソフトウエア開発について契約している下請けの会社Kは日本に所在します。
③ 日本の企業B、C、Dは、電子メールでX国のAにソフトウエア開発を委託する。
④ Aは、Kに開発を委託し、開発結果のデータはインターネットでやり取りされる。
⑤ B、C、Dは、Aに開発料を支払う。  

このような場合、実質的にはソフトウエア開発サービスは日本のKが日本の企業に直接サービスする場合と変わりありません。さてどう考えるのでしょう?

 かずさんは、この世界は専門ではありませんが、次のような理屈はありうるのでしょうか?読者はどう考えますか? 

1 日本の開発会社KによるAへの役務提供は「非居住者への国境を越えての役務提供」となって輸出類似取引きに該当して免税(注)になる可能性がある。

2 また、Aの日本企業に提供するサービスが「国内及び国内以外の地域にわたって行なわれるもの」に該当すれば、下記(注)のように事務所等が日本になければ「国内取引」に当たらないため消費税が非課税になる可能性がある。
(注)Aが、日本に支店、出張所等を設置していれば、その支店等を経由しての役務提供として、国内取引に該当し課税対象です。

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 日本では、まだ消費税についての国際的租税回避の動きは少ないようですが、平成20年2月20日に東京地裁で判決言渡し(平成18年(行ウ)第684号)を紹介します。

(事実関係) Aは、加工委託取引により、製品の原材料のほとんどを海外のBに無償支給し、できた製品をBから輸入している。
 Aは輸入手続きをXに委託し、Xが輸入インボイスの荷受人、輸入申告者、消費税納付の名義人となっている。
 輸入手続き費用と消費税はAからXに支払われる。
Aは、負担した輸入消費税を、仕入れ税額として控除を受けるべく税務署に申告したが、税務署は「Aは輸入消費税の申告納税を行っておらず、Xが仕入税額控除を受ける事業者であったと判断。

 (Aの主張)、
 消費税基本通達11-1-6は、輸入申告名義人ではない実質的な輸入者に対し、輸入消費税の仕入税額控除を受け得ることを認めたもの。
 
 そして、Xは製品の輸入及び原材料の輸出の手続きを行う以外には関与しておらず、Aは加工委託取引についての実質的な輸入を行っており、輸入消費税について、仕入税額控除を受けるべき「事業者」に該当する。

 参考に、先ほどの消費税基本通達は次のとおりです。

(実質的な輸入者と輸入申告名義人が異なる場合の取扱い)

11-1-6 課税貨物について、関税定率法第9条の2《関税割当制度》の規定により割当てを受け又は関税暫定措置法の規定により関税の軽減若しくは免除を受ける場合には、当該割当てを受けた者又は軽減若しくは免除を受けようとする者(当該課税貨物を使用又は消費する者)の名をもって輸入申告をしなければならないこととされている(いわゆる「限定申告」)が、当該輸入申告を行う者(以下「輸入申告者」という。)が単なる名義人であって当該課税貨物を実質的に輸入する者(以下「実質的な輸入者」という。)が別に存在する場合において、次のすべてに該当するときは、実質的な輸入者が当該課税貨物を保税地域から引き取ったものとして法第30条から第36条《仕入れに係る消費税額の控除等》の規定を適用する。(平9課消2-5により改正)
(1) 実質的な輸入者が、輸入申告者が引き取ったものとされる当該課税貨物を輸入申告後において輸入申告者に有償で譲渡する。
(2) 実質的な輸入者が、当該課税貨物の引取りに係る消費税額及び地方消費税額を負担する。
(3) 実質的な輸入者が、輸入申告者名義の輸入許可書及び同名義の引取りに係る消費税等の領収証書の原本を保存する。

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 通関業界や、商社などで仕事をされている方なら、こんな取引きはざらにあると思われるでしょう。こういう取引きについて、仕入税額控除者をどう考えるのでしょう。

 東京地裁の判決は、以下の要旨で課税当局の処分を支持しています。

(判決要旨)
1 輸入手続を委託されたXが輸入消費税の納税義務者であることは公法上確定されており、実質的な輸入者である企業Aに例外的に仕入税額控除を認める理由はない。

2 消基通11-1-6は輸入申告者が単なる名義人であって実質的な輸入者が別にいるときに、実質的な輸入者に仕入税額控除の適用を認めるべき場合があることを示している。
 
 しかしながら、この通達は、例えば税関長の承認を受けた製造者の名をもってしなければならないと関税法で定められているような、輸入申告をする者が限定されている例外的な場合に、実質的な輸入者が引取りに係る消費税について仕入税額控除を受け、仕入税額控除制度の趣旨を全うさせようとしたものと解される。

 同通達によって、一般的に実質的輸入者が仕入税額控除を受けると解釈すべきことにはならず、事案における取引は通達が例外的に定める要件には該当しない。

3 また、Xが輸入消費税の申告名義人となって申告したことは、Xが納税義務者となることを自認し、公法上の納税義務を確定させたことに他ならず、X以外の者に納税義務が生じることは想定し難いと言わざるを得ない。
 よって、Xは輸入消費税の納税義務者であることが公法上確定されており、輸入消費税の仕入税額についてはXが納付すべき消費税において控除されることが予定されるものである。
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 如何ですか?通関業の関係からは少し外れる話題だったかもしれませんね。

 ただ、荷主といろんな折衝をしていると、普段は当然と思っている基本のことについて質問を受けることがあります。

 往々にして、関税法の世界の関係者は消費税の仕組みには関心が薄いとの印象がありますが、この方面にも興味を持って行きたいものとかずさんも自戒しています。

 話は変わりますが、左の写真は最高裁の大法廷ですが、こちらの見学ツアーがあるようです。
裁判員制度が近まりました、私たちにも裁判が身近になるんでしょうか?





545 ボジョレー・ヌーボーは明日、解禁です~!

2008-11-19 | 輸入
 こんばんは!!

 かずさんは、芋焼酎派で、いつもお決まりの銘柄を買いに行く酒屋があるのですが、先週いつものように行くと、同じ銘柄の今年の新酒がラベルを少し変えて出ていました。

 お店の人から薦められましたが、焼酎ってワインのように熟成はしないんでしょうが、ボジョレー・ヌーボーのように新しく絞ったといってプレミヤが付くものでもないんでしょうね。

 2008年の解禁は20日ですので、ワインにちなむ軽い話題を取上げます。

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 税関へ輸入申告をした場合、絶対に許可にならないケースは次の4つです。

① 所定の税金を納めないか、延納の手続をしない場合(一部例外があります)
② 検疫等の他法令の手続が済んでいない場合
③ 原産地の表示が偽ったり誤認させる恐れがある場合
④ 「輸入してはならない貨物」に該当する場合です。

 ③の原産地(原産国でないことに注目!)の規制のそもそもは、「虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する1891年4月14日のマドリッド協定」という古く長ったらしい名前の協定ですが、実はこの協定の大きな原動力は自国のぶどう酒産業を背景にしたフランスでした。

 このマドリッド協定では、ぶどう生産物の原産地の地方的名称(例えばボジョレーやボルドーはこれに該当でしょう)を、異なる地方産のものに付けている場合は、その地方名が通有性を有するといっても、輸入の際に差止められるとしています。

 ワインの世界では、長年、米国・EUの間でその名称についてのやり取りがありますが、フランス・ブルゴーニュ地方北部産の白ワインのシャブリについて、カリフォルニア・シャブリという名称で米国産白ワインが出回ったり、「シャンパン」はフランスシャンパーニュ産だけに認めるとかは記憶があるところです。

 同様のことは、日本の特産品にも当てはまります。

 有名なのは、国会質問も行なわれている「大島紬」です。

 ご存知のように奄美大島産の立派な紬ですが、韓国で反物の端に「大島紬」とか「本場大島紬」とかを織り込んで輸入すると、原産地の誤認ということで輸入を止められ、この部分を切り取らなければ輸入許可になりません。このため、反物の一番上に織った表示を、一番芯に近い部分に巻いて見えなくし一見表面は何の表示もないように見せかけて輸入するなどの手口があって、この段階になれば密輸という範疇です。

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534 輸入品の節税プラン雑感(その2)

2008-11-04 | 輸入
 輸入時に納める税金の代表例は、関税と消費税ですが、日本の税関の徴税額では輸入額の増加で消費税が関税の3倍以上になっています。

 関税も、消費税も、基本的には次の取引相手に転嫁されていくものですから、輸入者にとっていくら関税等を徴収されようが構わないというおおらかな会社があるかも知れませんが、自己消費する場合は輸入時の税負担はそのままかぶりますし、転嫁していく場合も、もし節税できれば価格競争力の面から有利になります。

 先般の麻生総理の、「いずれ消費税を10%に・・・」の発言もあるように消費税率が引き上げられ、輸入時に仮払いした消費税が完全に控除できない状況になることも考えられます。

 法人税や、事業税は財務諸表で明確に出ますが、輸入時の関税や消費税は輸入品のコストに吸収されて表面的に見えにくいため、税務対策面から軽視されがちですが、国際企業にとってはモノの円滑な移動の確保とともに事業戦略上欠かせない課題といえます。

 このことを、ある外資系税理士法人は「・・・適切な間接税・関税戦略から得られる多額の財務改善機会を鑑みた場合、間接税・関税対策を軽視することは必ずしも賢明とはいえません・・・」としています。

 また、ある邦系の会計事務所は「・・・関税は販売価格に課せられ、法人税が利益に課せられることに鑑みれば、利幅の薄いビジネスほど、利益に対する支払税率は高くなり、所得税よりも税率が高くなるケースは少なくないといえます。その負担は企業利益を圧迫する一つの要因となっており関税プランニングによるコスト削減は有効手段です。・・・」としています。

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 ただ、ホームページを見る限り、業務上の輸入時の関税等削減戦略として提案されるプランには、関税法を学んできたものから見れば、奇策はなさそうです。

 税額は、基本的に、課税標準(額又は量)と税率の掛け算で決まりますので、税務戦略もこの部分に集中し、また、それを実施するための、インボイスの作成方法、あるいは輸入取引の決定方法などから構成されます。

プラン1 従価税品の関税評価方法によるプラン

 輸入品の課税価格は関税定率法第4条の「現実支払価格」ですが、実務的にはインボイス価格を基本に、第4条第一項の加算要素を加えたものです。

 関係規定をよく読めば、課税価格に含まれないがインボイスに含まれていることがある費用や支払がいくつも見つかります。
思いつくものを順不同で並べると

① 日本に到着してからの運賃その他の費用
② 買付手数料
③ 取引価格に含まれる金利、広告宣伝費
④ 本来、課税計算上は減算できる数量値引きや、累積値引きの返金
⑤ DVD、CDのようなキャリアメデイアを輸入する際の、コンピュータープログラム価格

などです。
 取引価格の構成要素を分解することによって(アンバンドリングと言うようです。)、真に課価格を構成する部分のみを関税評価額とする手法です。

 他の関税評価プランとして、ファーストセール、又はプライヤーセールという方法があります。

 これは、例えば、三角貿易(輸出国製造子会社→第三国本社→輸入国販売子会社)をしている時に、本社から販売子会社への価格ではなく、製造子会社から本社への販売価格を輸入時の関税評価額とするものですが、日本においてはこの手法は認められていないようです。

プラン2 低い税率の適用を模索する方法

 現在の消費税は均一税率ですが、関税率はご存知のようにHS分類の税表番号に設定された関税率が適用されますので、この分類の再検証プランニンがあります。

 HS番号が決まっても、発展途上国からの輸入品に適用される特恵関税制度や、近年、対象国が着実に増加しているEPA協定の税率が適用されれば関税コストの大幅な低下が可能です(特恵関税率プランニング)。

① 物品の分類プランニングは、これまで使っていた分類番号や、税関から指摘されていない分類について、改めて検討するものです。例えば、完成品で輸入する場合と、部品で輸入する場合の総コストの検討や、少し組成や成分を変えることによって関税率が大きく変わらないか等を検討するものです。

② 特恵関税率プランニングは、輸入品の原産地がどの国のものかを、関係するルールに沿って検討するものです。

 どこで栽培や漁獲されたものか?どこでどのような加工がされたものか?輸入されるものの価格のうち、どの国でどれぐらいの割合の加工がされたものか?etc かなり根をつめた検討が要る場合もありますが、うまく特恵関税が適用できるようになれば、関税削減効果は大きいといえます。

 なお、特恵関税の適用は、その税節減効果が大きいため、輸出国での原産地証明書発給体制のおおらかさやずさんさを利用して、不正に特恵関税を適用して輸入しようとする事例が見られるようですので、こんなことは考えないように願いたいものです。

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 アメリカの大統領選が始まりました。次期政権の対日政策如何は、わが国にも色んな影響をもたらしますね。




533 輸入品の節税プラン雑感(その1)

2008-10-31 | 輸入
 税理士は、法人税や所得税の世界の専門家です。このような税は、総収入や営業利益から租税特別措置法などの規定によっての控除額をマイナスして、最終的な課税額が決まります。このことは、関連税法を詳しく知っておればそれを駆使することによって、合法的に税金を節税することができる要素が多々あります。つまり、税法を学べばプラスになることも多いといえます。

逆に、個人で商売をしていて、お得意への贈答や、飲食や、経費の負担など色んな支払があるけれど、法律を知らない(知ろうとしない)ので、どれも損金になる経費だとして税務申告して、本当は間違っていても、本人は正しい申告と信じ込んでいる幸せな人もいます。 

昭和40年ごろから始まった税関の税務調査は、調査で間違いが見つかっても、不足の税金と利息に相当する延滞税を請求されることで終わる、いわゆる「ばれもと」で殆どが終わっていましたが、近年、これじゃいかんということで、関税法の改正により加算税制度が導入されました。

ただこの加算税の徴収は、現在のところ税務署と比べると緩やかな運用のようで、輸入申告時に間違いが見つかるとしっかり加算税を請求されるけれど、過去の申告の誤りを調査直前に申し出ればそうでもないかもしれないのように、税務署に比べて優しい税関のように見えますが、昨夜の麻生総理の「3年後には消費税up」発言はさておき、いづれ税関が徴税官庁として税の適正な徴収に一層熱心になると考えられます。

 関税法の学習は「知れば知るほど得をする」、そういう構造になれば、荷主、商社、メーカーなど、日本の産業界がもっと真剣に取り組むと思いますが、もともと税関の手続きは、モノの動きの範囲や進み方に一定の約束事を守るように制約を加えるものですので、知れば知るほど得にはならず、むしろ知れば「知りませんでした」と心理的に言い訳できなくなるという面があります。

  税関は、従来、通関業者以外の者の「関税法の不知」に対して寛大な姿勢で、輸出入者にとってコンプライアンスを高めようとのインセンテイブはそう高くありませんでしたが、AEO制度の国際的導入で環境は相当変わってきています。

 アメリカは税関手続きを誤った場合のペナルテイは厳しいですが、日本では関税法の罰則や恩典の付与・取り消しは、米国ほどの厳しさはないと聞いています。

 これは法制度や社会制度などによる根本的な相違かもしれませんが、G(政府)とB(ビジネス)とが、パートナーとして手を携えて日本経済の国際競争力を高めていくためには、税関手続きについても、次の3点を徹底してグローバルな競争力を高めていく必要があるのではないでしょうか?

① ルールの徹底した公開による透明性の確保
② Bへの思い切った役割委譲
③ Bのルール違反に対するGの厳正な対処  

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 AEO制度のメンバーになることは、目先の手続きや検査のメリットはそう大きくないか知れないけれど、世界各国の税関で不利益にならない というところに大きなメリットが生じていくと考えられます。
できれば、関税法を学べば得することもあるという構造にしていきたいものです。

 そこで、ネットで、輸入品の税金について合法的に節税できる方法としてどんなものが取上げられているか調べてみました。いわば、関税法を熟知することによる、節税面のメリット追及です。
なんだか脱線してしまいましたが、ブログはもともと個人の独白や日記のようなものでしょうからご勘弁をお願いします。(つづく)
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 今日のアメリカはハローウインですね。あちらに住んだことがないので実感は薄いんですが、毎週買い物に行っていた、客の7割が外人といわれている東京・南麻布の有栖川公園そばにあるナショナル・スーパーマーケットの花屋さんには、10月に入ると、ハローウインのグッズがたくさん並んでいました。




521  輸入通関時の関税の納付方法アラカルト

2008-10-15 | 輸入
 輸入に伴う申告納税のための申告は、年間2000万件程度ありますし、延納を使わない限り、輸入品を受取るためには引取前の関税・消費税の納付が必須です。

 このことは、輸入品については、簡略、迅速、平易に税金を納付できることが特に重要であることを物語っています。

 つまり、法人税や、固定資産税のような税なら、年度で一回とか数回の納税頻度ですが、商社や、大メーカなら、毎日何十回も納税することになり、その度ごとに銀行に出向いてなんてことはおよそ時間とコストの無駄です。

 読者は、税金や社会保険料などの公金を税務署や税関に自分で収めたことがありますか?

 サラリーマンなら所得税や社旗保険料は会社が源泉徴収として天引きし、会社が納付していますし、消費税は、モノを買えば払っていますが、これもお店が借受をして納付してくれます。

 サラリーマンが公金を自分で納付するのは、自動車税や固定資産税など、ごく限られた機会ですが、10月までは、大きく分けて4つの手段がありました。

第一に、銀行や郵便局の金融機関窓口で振込む方法

第二に、コンビニの窓口で収納してもらう方法

第三に、ペイジーを利用するもので、これは、インターネットバンキングやモバイルバンキング、ATMなどを介して納付するもの。 国税では、マルチペイメントネットワークを利用しての納付があります。

第四に、神奈川県藤沢市などが始めたクレジットカードを利用するもの

 これらの納付方法は、いずれも納税者側が、納税の都度、窓口やATM,ネットなどで納付するというアクションが必要ですし、クレジットカードのような場合は、実際に市役所などにクレジット会社が立替払いをするのに数日かかります。

  このため、上記第1~第4の方法は、NACCSで、申告すれば即時に納税が済んで貨物を引取れるような環境を作るには不十分でした。

 (注)従来のNACCSは、通関のスピードを維持するため、1978年の導入時から、専用口座を設けその残高の範囲なら、納税があったと見なして輸入を許可する方法を採用していました、いわば、納税方法のシステム化が進んでいなかったので、法令の手当てをして、ダミーの納税方法を編み出していました。これは先人の知
恵ですね。

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 そこで、12日のSea-NACCSの更改にあわせて、「ダイレクト方式」という新たな国税収納サービスが始まりました。

 これは、マルチペイメントネットワークを利用した電子納付方法で、輸入(納税)申告と同時に納税者の預金口座から直接納付するリアルタイム口座振替方式です。

 リアルタイムに確実に納税されますので、輸入通関のように、「膨大な件数について簡易に、即時に納税可能」という、NACCSの納税方法に必須の特徴を備えています。

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 余談を付け加えますと、通関業界における話題の一つに関税の立替問題があります。

 通関業者が、受託した輸入申告の関税・消費税の納税を荷主に代わって一時立て替えることが、広く行なわれているようです。ところが、その荷主が経営破たんすると、立て替えていた税金を荷主から受取れない事態が生じます。これが立替問題です。

 このような立替関税等の焦げ付きを防止するため、今回導入のダイレクト方で、荷主がその都度直接負担することを求めていこうと通関業界は考えているようです。

 たしかに、立替えた税金の回収が焦付くなんて、通関業界からは有ってはならないことですね。
 左の絵は、日銀本店です。